◎朝鮮の一圜銀貨・十文銅貨・五文銅貨
昨日の続きである。『日本貨幣カタログ 1997年版』(日本貨幣商協同組合、一九九六)の二五九ページ以下に、「朝鮮貨幣類」の紹介がある。最初の二五九ページには、一圜銀貨、十文銅貨、五文銅貨の図版およびデータがある。図版は、いずれも、オモテ・ウラ両面。また、データによれば、これら三種の貨幣は、いずれも、「大朝鮮開国四百九十七年」=一八八八年(明治二一)に発行されている。造幣廠は、いずれも「京城典圜局」、発行枚数は、いずれも「不明」。
図版を見ると、三種とも、そのウラ面に、右書きで「大朝鮮開国四百九十七年」とある。 ウラ面には、この文字のほかに、次の文字がある
一圜銀貨 「・416・1 WARM・900・□□・」
十文銅貨 「・10 MUN・□□・」
五文銅貨 「・5 MUN・□□・」
□□の部分はハングルである。一圜銀貨には「一圜」を示すハングル、十文銅貨には「十文」を示すハングル、五文銅貨には「五文」を示すハングルが、それぞれ右書きで書かれている。
なお、「圜」の字は、朝鮮語では、二通りの発音があるらしい。ひとつは「環」の字と同じ発音、もうひとつは「圓」の字と同じ発音。「一圜銀貨」の「圜」は、後者の発音と思われる。【この話、続く】