九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

「世界のニュース」に、ある偏り  文科系

2023年06月21日 11時37分49秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
『中国、キューバに軍事訓練施設を計画』
 こんな報道、情報がニュースになるほど世界の報道機関の脳味噌が歪んでいるのだと、改めて驚いていた。

 アメリカはこんなことを世界中でやってるじゃないか。こちらは、やりすぎているという意味で当たり前のことだから、ニュースにはならない?

 アメリカの「軍事訓練施設」など、韓国や日本にいくらでも存在する。さらには、中国近辺では軍事演習さえバカバカやっている。それも日韓などと合同で。とすれば、中国のキューバ軍事訓練施設建設どころか、アメリカ近海での中国・キューバ合同訓練さえバカバカやっても抗議などできないはずだ。キューバは現に米国支援の軍隊まで密かに上陸・派遣された歴史があるのだから、最近の日本流儀で言えば、いともまっとうな安全保障策である。
    
 アメリカがやってきたことには、これ以上にひどいのもある。「敵視国」イランのすぐお隣のイラクに置いた米軍大要塞は、イラク国会で撤去要求が通った時でも、これを無視して居座っていた。つい最近のイラクが国賓として招いたイラン・スレイマニ司令官暗殺事件の時のことである。この事件自身も、後の軍隊撤去要求無視も、戦争行為になるはずのことだ。そして、こんなに酷い戦争行為でさえも、世界的には完全に無視されていて、ニュースになどならなかったのである。

 世界のニュース作り手は偏りすぎているから、もう少し公正になるべきだろう。アメリカや米中(比較)論については特に。世界のマスコミも頭を挿げ替えねばならない。中国に対する10分の1ていどでも、アメリカ非難「観点」を持つべきである。

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ウロ戦争、すぐやめろ  文科系

2023年06月19日 10時15分30秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
 4月から世界に喧伝されてきた反転攻勢だが、「百平方キロ取り戻したが、以降は困難な闘いになる」(米国防相がそう語っている?)とかで、どうもぱっとしない。「戦車塹壕を迂回すればよい」とかの荒唐無稽な話までがネットを騒がせて来た割りに、レオパルドもアメリカ製歩兵戦闘車も2~3割だかを喪失して、アメリカ国防相も「長期戦になる」などと悲観的になっている様相。そのせいなのだろうが、「ロシアで革命が起こりそう」というネットニュースがどんどん強められている。

 さて、ゼレンスキーとアメリカは「東南部国土回復無しの和平提案など論外」と吹き回っているが、今はもうこれは誤りだろう。ドンパス地域は元々ロシア人が8割だかの土地だからこそここを基盤に過去の親露政権が生まれていたのだし、2014年の暴力革命によって今の親米政権ができて以降ここでずっと「国境紛争」が続いてきて、1万人をゆうに超える死者を出してきた土地なのである。この紛争のウクライナ側に「ロシア人憎し」のネオナチがいたというのも、当時の日本政府でさえ認めてきたことであった。ちなみにこの軍隊もマリウポリ製鉄所要塞の陥落とともに、ほぼ消滅しているのだろうか。

 こうした歴史も含めた今となっては、ゼレンスキーは、これを奪還するためにどれだけのウクライナ人に死ねと叫ぶことになるのかという、そんな問題に転化してしまっている。こういう因縁のある国土だけに以降もずっと拘っていくというのは、為政者の面子だけ。普遍的正義は、国民の命である。これから死に、傷ついていく男たちの背後には、何百万の妻、子どもがいるのだ。

 こんな「反転攻勢」などは何年も続き、結局何も生まないはずで、このニュースもどんどん小さくなっていくだろう。戦車塹壕を何重にも張り巡らし、制空権まで持たれた土地を回復しようというのは、今となっては大変な命の無駄遣いである。


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ロシアへの革命輸出?  文科系

2023年06月18日 10時48分05秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
 標記のことをアメリカが今進めていると、僕は観て来た。これは「ロシア反体制派動向の(激励)報道」として以前からあった流れだが、ウクライナ戦争への強大支援と平行してこれが進められている。
「ナワリヌイ(反体制の象徴的存在)がどうのこうの・・・」
「すわ、プリゴジンの反乱か!」

 こういう革命輸出外交策はアメリカ外交史には多く見られるものだ。北アフリカや中東に吹き荒れた「アラブの春」では、多数の政権が倒れた。これと同じことが、キューバ、イラン、ベネズエラにも仕掛けられてきた。最後は「(当該国内世論としての)革命呼びかけ」に繋がっていくネット世論挑発工作という手口で執拗に繰り広げられていくものである。ベネズエラでは「すわ、政府に反対した軍隊の出動か」と軍隊行進の映像入りで騒がれるまでに持ち込んだという例までが存在する。

 ちなみに、今時の世界で戦争を起こすような国には革命が起こってもよいと言うならば、アメリカに対しては何度もこれが企てられてよかったはずと反論しておきたい。
 それがどうだろう、アメリカだけは例外なのである。直近のその証拠をいくつか上げてみよう。

 ちょっと前「NATOの事務所を日本に置く計画」が鳴り物入りで流された。が、こんなことの同類として勝手に仮定を建ててみるのだが、中国がベネズエラ辺りにその「連絡事務所」を作ったら、アメリカはどう反応するのだろうか。こういう連想ができる事件として、最近ネットでも物議を醸しているのが、この大騒ぎニュースだ。
「中国のスパイ機関がキューバに存在した」
 こう反論したい。日本や韓国には、アメリカのスパイ機関事務所は存在しないのか、と。

 アメリカが他国に厳重抗議をするときには、胸に手を当てて自らを振り返って欲しい。
「自分はこんなことをしていなかったか?」


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朗報、NATO東京事務所お流れ  文科系

2023年06月07日 10時21分20秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
 イギリスのフィナンシャル・タイムズが5日、標記に繋がるニュースを流した。例えば、ワシントンの時事通信の見出しは、
『NATO東京事務所に反対 仏大統領、対中国で懸念』
 ロンドンの共同通信も同じ事を伝えている。マクロン大統領が反対しているのだから、全加盟国の支持が必要なNATOの決定はお流れになるはずだ。
 マクロン氏が、先週開かれた会合で、NATOは北大西洋の外に領域を拡大すべきではないとの考えを示したという。また、事務所開設がNATOと中国の緊張につながるとの懸念があるとみているとあった。

 ちなみに、マクロン大統領は先の訪中時に「ウクライナ問題を、台中問題と結びつけるのは反対である」とはっきりと述べて物議を醸した。この点はドイツも同様のようだから、NATO東京事務所はもう無理だろう。米がNATO事務局を動かして、先走ったことになるのか?
 
 いずれにしても、ウクライナ戦争を台中問題に結びつけるのは、類推というだけのコジツケである。歴史もウクライナ戦争前の「10年近い戦争状態」という現状も台中関係とは全く異なったものだから。こんな類推的形式論理の牽強付会が認められるならばこういう論理さえも使いうるだろう。
「ウクライナが目指す実効支配地併合が正しいから、中国のそれも正しい」

「武力による一方的な現状変更は認められない」って、いつからの「現状」変更を指しているのか。例えば、イラクやシリアの米軍駐留巨大要塞は? 近年歴史的にこれを最も多くやって来たのがアメリカではなかったか。
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「中国の台湾侵攻、近し」??  文科系

2023年03月03日 09時30分36秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
 アメリカからのこの声が、侵攻が明日にもというばかりにおおいに騒がれてきた。これに対して「責任ある人の言葉ではないのに・・・」とここで何回も批判を繰り返してきたものだ。一司令官の言葉を政府の方針などと観る扱いはおかしすぎるだろう、と。
 ところで、2日の新聞に、国防総省次官の下院公聴会発言として、こういう記事が載ったが、これがアメリカの台湾侵攻に対する公式の立場なのだろう。記事の見出しはこういう物。『中国の台湾侵攻「兆候ない」』。というこの記事は、朝日新聞でも13面にあって、実に小さな扱いであった。内容はこういう物なのに。

『米国防総省のカール次官(政策担当)は2月28日、中国が2027年までに台湾に軍事侵攻する可能性をめぐり「中国の習近平国家主席や人民解放軍が『準備ができている』と考えている兆候はない」と述べた』 

『「(侵攻を)すると決めたわけではない」と指摘。「準備を加速させるであろう兆候もない」と述べた』

 日本にとってとても大事な記事なのに、扱いが小さすぎると考える。
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中南米が、親中国家ばかりに・・・  文科系

2023年02月19日 04時03分33秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
 去年の10月にブラジルのトランプ・ボルソナロを破って生まれたルラ大統領が、バイデンとの会談でウクライナ支援要請を断って、「話し合い解決の平和会議を組織するつもりだ」と応じたのは、すでに世界に知られた話。このブラジルがアルゼンチン、メキシコなどと並ぶG20加盟の中南米大国であって、こういう中南米左派政権林立を日本人のどれだけが知っているだろうか。
・キューバ、ベネズエラ、ニカラグアはもともと旗幟鮮明な反米国家。
・以下、近年の親中左派政権誕生を順に追ってみよう。
 18年、メキシコ。19年、アルゼンチン。20年、ボリビア。21年、ペルー。22年、ホンジュラス、チリ、コロンビア、そして10月にブラジル。
 そしてさて、これらの波が従来のアメリカ外交に対する反発から起こっていることも明らかである。一例、ルラが当選した途端に、もう一つの南米G20大国アルゼンチンと、共同通貨創設の話を始めたのは、ドルにより歴史的に重ねられてきた通貨戦争などへの反発、抵抗なのである。

 またアメリカは、中東イスラム国家からも嫌われ始めた。サウジやトルコが、アメリカから離れ、ロシア、中国に近づいているのはその典型だろう。アフリカは元々、中国や医療を通じたキューバが手を差し伸べてきた歴史があって、今やアメリカに付いている国は、表面上のG7国だけではないのか。ウクライナ支援でさえ、アメリカが熱を入れるほどにEU周辺国とG7と以外はどこも動かない状況では・・・。

 さて、それにしてはこの日本のマスコミは、ウクライナ関係でもG7のニュースしか流していないと思われないだろうか。同じように、中南米の上のようなニュースを、日本人はほとんど知らない。また、中国のウイグル問題はよく知っているが、それよりも酷く、国連総会レベルで遙かに反発が多いイスラエルによるパレスチナ人・ガザ地区爆撃問題はほとんど知らされていない。同じく、中国が上海協力機構と共にやってきたユーラシア外交、一帯一路も「借金漬け」批判しか流されて来なかった。

 今世界はアメリカ主導による対中ロの経済・軍事ブロック形成が急に進んでいる。ロ中を相手にしたそんな状況を前にして、日本マスコミがG7のニュースしか流さないように見えるのは、妥当なことなのか。これでは、アメリカによる対中「戦争」の最前線に日本が立たされるのを防ぐことなど、どんどん覚束なくなっていく・・・・・。
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天皇の戦争責任,史実  文科系

2023年02月04日 08時54分02秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
 標記のことについて、岩波新書「シリーズ日本近現代史第6巻」の「アジア・太平洋戦争」(吉田裕一橋大学大学院社会学研究科教授、専攻は日本近現代史)から抜粋する。

『その天皇は、いつ開戦を決意したのか。すでに述べたように、日本が実質的な開戦決定をしたのは、11月5日の御前会議である。しかし、入江昭『太平洋戦争の起源』のように、9月6日説も存在する。この9月6日の御前会議で決定された「帝国国策遂行要領」では、「帝国は自存自衛を全うする為、対米(英蘭)戦争を辞せざる決意の下に、概ね十月下旬を目途とし戦争準備を完整す」ること(第一項)、「右に並行して米、英に対し外交の手段を尽して帝国の要求貫徹に努」めること(第二項)、そして、「十月上旬頃に至るも尚我要求を貫徹し得る目途なき場合においては、直ちに対米(英蘭)開戦を決意す」ること(第三項)が決められていた。』

『このように、9月6日の御前会議の重要性は明らかだが、この時点で事実上開戦を決意したとするのには、やはり問題がある。なぜなら,この時点では、昭和天皇その人が対米英開戦に対して確信を持てないでいたからである。(中略) 海軍の資料によれば、9月5日の両総長(陸軍参謀総長と、海軍軍令部総長。6日御前会議の前日に会議に出す原案を話し合っもの)による内奏の際「若し徒に(もしいたずらに)時日を遷延(せんえん)して足腰立たざるに及びて戦を強ひらるるも最早如何ともなすこと能はざるなり」という長野軍令部総長の説明のすぐ後に、次のようなやりとりがあった(伊藤隆ほか編『高木惣吉 日記と情報(下)』)。
御上〔天皇〕よし解った(御気色和げり)。
近衛総理 明日の議題を変更致しますか。如何取計ませうか。
御上 変更に及ばず。』

 こうして、第一項概ね十月下旬を目途とした戦争準備の完整と、第二項外交交渉による問題解決とという順番を「この通りで変更に及ばず」と、天皇が決断したのである。後になって彼は、もしそう決断しなければ軍の一部などを中心に内乱が起こっていたはずだと、一種この決断を弁護している。としても、そういう時点まで情勢が進んでいたということも含めて、天皇主権国家の国家元首としての責任は免れない。
 国民に対してある国への敵愾心を煽り続けると、いつしか天皇でさえも国民の戦争希望を抑えられない時代がやってきたと、そんな法則を教えてくれているようだ。
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随筆紹介 「日本国民の衆愚」  文科系

2023年02月03日 01時03分50秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
随筆 「日本国民の衆愚」  S・Hさんの作品です


 録画取り置きのドキュメンタリー「ナチハンター 忘却とのたたかい」を観た。
 この題字が流れ冒頭の語りから、私の心はまるで悪魔に取りつかれたように画面に吸い付いた。「ナチハンター」とはナチによってこの世とも思えない地獄絵図の中で殺された人々の親族が戦後ナチの残党を探し出し告発する者を指す。ナチの大量虐殺はもはや説明するまでなかろう。私が最も心惹かれたのは戦後何年経っても執拗に探し求めて突き止めて行ったその行為にある。

 私はこの番組を見るまでは、ドイツという国は戦後ナチスをキチンと裁いて立派な国民性を持っていると思っていた。しかしながら戦後ドイツ政府は一定の期限を設け時効として戦犯追及を止めようとした。しかしながらナチハンターの熱意と行動と努力により、遂に国家としてナチの犯罪性を永久に追及する決意にさせたのだ。

 ドイツの国家が永久にナチを追求するに至った道は決して平たんではなかった。戦後組閣された内閣では、その何割かが元ナチ党員であることが「ハンター」により明らかにされた。そのような国家ではナチ追及はおぼつかなかった。また、国民もそういつまでも自分たちをナチ国家の一員だと思い続ける自虐的精神力を保ち続けるのには飽きてしまった。
 そういう雰囲気の中では、「ハンター」迫害が進んだ。しかし「ハンター」たちは諦めなかった。ありとあらゆる正当な方法で国民にナチの非人道性を訴え、またナチを許してしまったドイツ国民の衆愚を明らかにしていった。「ハンター」たちの様々な行動や告発の結果。前述のようなナチの残党を永久追放の決議が国会で議決されたのだ。

 現在でもナチの犯罪性を追求し続けている。最近、九十歳を超える老人がナチの幹部と判明して禁固刑を受けている。実際に大量殺りくを計画し命令した指導幹部だけでなく、死体を埋める墓を掘った者でも戦争犯罪人として告発されるのである。
「上官の命令に従っただけだ」という言い訳は一切通用しない。「あなたは人道の道を踏み外すことをたとえ上官の命令でしたとしても人間として許されない」そういう理念が貫徹しているのである。

 冒頭私が心を奪われたと述べたが、それはこのドイツの戦後処理と日本の戦後処理を比較しながら観ていたからである。
 岸信介はじめ戦争犯罪人が戦後内閣を引き継いだといっても過言ではない。現在でもそれを引き継ぐ「亡霊」が日本を支配していると言ったら言い過ぎであろうか。
 戦争中、中国で人体実験した石井部隊の残党は米進駐軍にその医学的資料をそっくり引き渡しその代わりにその戦争責任を問われないという密約をマッカーサーと交わし、のうのうと戦後医学会に君臨して「白い巨塔」を形成した。
天皇の戦争責任(文科系注を下に付けます)も全くとられていない。現人神宣言でうやむやにされた。
 いやいや、日本の国民自身が一番曲者である。日本人のこの衆愚性は一体何だろう? 戦前ほとんどの国民は戦争熱に浮かれ「大東亜共栄圏」の拡張に熱をあげた。中國人や韓国人を侵略し、植民地化しさげすんできた。天皇陛下万歳と旗を振って戦争を賛美した。

 戦後何年か経って、世間は「日本の戦後は終わった」と宣言した。しかし南方の戦線で餓死した兵隊の遺骨は異国の地に放置されたままである、いまだに。南京虐殺はなかったと豪語しても平然と政治家でいられるこの日本。こんな日本に住んでいて恥ずかしくないだろうか? 私は自問自答している。私は素直に思う。今からでも遅くはない。今一度日本や世界の歴史をきちんと勉強しよう。そしてきちんと歴史と向き合おう。今まで繰り返してきた衆愚には決してなるまい。


文科系注 この点については、明日、ある日本近現代史専門家の文献にある天皇の言葉を紹介し、その周辺事情などにも触れてみます。






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狂っていないか、世界ニュースの視点  文科系

2022年10月29日 10時37分09秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
 腎臓などの尿排出機能も悪い菌に感染もやっと落ち着いて、明日午前退院と決まった。退院が10日は遅れた分、毎日1キロ近く歩き、スクワットやストレッチにも励んできたので、体力も少しは戻っていると思う。ただ、睾丸にも手術が入っているので、ランニングより好きなロードバイクに普通に乗れるかどうかが今最大の不安材料。

 さて、「ゴーマニズム宣言 ウクライナ戦争論」とやらの新聞広告キャッチコピーにこんな文章があった。
『ウクライナがロシアに屈したら、次は強権国家・中国によって台湾が主戦場になるだろう。そうなれば、日本は戦争の当事国にならざるを得ない。いま、世界は大きな歴史の転換点に立たされ、日本人は覚悟を求められているのだ』
 なんと子どものような、連想ゲーム的で単純な地政学論理を振りまくものか。ウクライナへのロシア侵攻は、2014年の暴力革命による親ロ政権転覆から新政権の樹立以降、東部ロシア人地区の独立・その境界で戦争状態、これによって累計死者1万人などという事態があって、その上で起こったもの。が、これと同じ状況が中台間に今存在しているか? 台湾「独立」は1世紀近く前の話で、「国連代表権がある共和国の下で、中国は一つ」とはアメリカ含めて国連、世界が認め、尊重するとしてきた論理だったはずだ。「武力統一も」の言葉にも「平和統一が望ましい」という留保が必ずついている。
 また、そもそも「ウクライナが屈したら、すぐに台湾侵攻が起こる」などと、どうしてそんなことが言えるのか。こういうのこそ、連想ゲーム論理の典型である。

 さて、こう反論してただ笑っていられないのは、日本中のマスコミ主流世界情報もこの論理一色で塗りつぶされていると感じてきたからである。「ロシア、中国、イラン・・・これらの国がいかに悪辣であるか!」、G7国経由ニュースまで含めて、そんな外信ニュースばかりがこの日本に流されていないか。「こういう『彼ら』がすぐに戦争を仕掛けてくるから、西側は結束して戦争準備をしなければならぬのである」と、こう叫んで世界を2ブロック化し、相手を貶めるばかりの報道をしているのは、今やむしろ西欧G7国家の方ではないのか。世界の(軍事)ブロック化こそが世界戦争前夜だったという歴史的知識も無視しているのか、こういう知識自身が皆無であるような!

 こんなG7世界ニュース体制においては、アメリカの兵器がどんどん世界諸国に輸出され、ますます世界が軍事化していくだけである。世界の軍事(経済)ブロック化とは、地獄世界への一本道。むしろ、ロシアのウクライナ侵攻という時代錯誤のような暴挙あればこそ、G7の和平努力が求められると理解すべきではないか。それを、西欧とロシアを長年かかってやっと結んだパイプラインを破壊する行為にまで及んでしまっては、「ロシアが死ぬまで戦う!」ということにもなっていこうが、それで良いのか? 後戻りのない「核使用一直線」へと追い込んでいるようにさえ見えるのである。
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改めて、「ウクライナ戦争の起こり方」   文科系

2022年09月06日 11時05分50秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
 ウクライナ戦争の起こり方について改めて総集編をまとめてみる。以下の歴史的経過は、アメリカ発ニュースで覆い尽くされている西欧、日本マスコミ社会ではほぼ無視されてきたもの。これらの経過の無視がどうして起こっているかを論じたものも併せて紹介する。これはちょうど嘘の理由で始まったイラク戦争に本当の理由が別に存在したのと表裏の関係になるだろう。と言っても、プーチンの世界史的戦争犯罪が軽減されるわけでは全くない。これはイラク戦争が国連(総長)によって真っ向から非難されていたのと同じ理由のはずだ。
 
 二月二四日に始まったロシアのウクライナ侵攻は、人類戦争史を半世紀前に戻したような酷い蛮行。アメリカは二一世紀に入ってもこの野蛮を繰り返しているが、それ以外の大国のこんなあからさまな戦争は近年珍しいからだ。それだけに、戦争嫌いの僕はこの戦争までの彼の地の紛争経過を知りたくなった。この地の紛争と言えばまず、二〇一四年ウクライナ東南部を巡るロ・ウの暴力応酬、戦闘にまで遡らねばならない。

『(二〇一三年から一四年にかけての反政府運動において)二〇一四年二月に突然、暴力革命の様相を帯びるに到り、ヤヌコビッチ(二〇一〇年の選挙でウクライナ南部、東部を基盤として選ばれた同国大統領)は国外逃亡に追い込まれます。その背後の事情は明らかではありませんが、整然たる市民運動のなかに過激な暴力を持ち込む極右勢力が紛れ込んだようであり、そのなかにはネオナチ的な人たちもいたようです。このような「マイダン運動」の暴力革命化は、ロシア語系住民の多いクリミアやドンパス二州の住民を刺激し、前者のロシアへの移行、後者における「人民共和国」樹立を引き起こしました。これは国家秩序の非立憲的な変更であり、諸外国から強く非難されました。もっとも、当事者たちからすれば、その前にキエフで非立憲的な暴力革命があったということが正当化根拠とされるわけです』(月刊誌「世界 五月号」の塩川伸明東大名誉教授「ウクライナ侵攻の歴史文脈と政治理論」)
 次いでこの時の状況を、岩波新書「アメリカの制裁外交」(杉田弘毅元共同通信論説委員長、現在国際ジャーナリスト著。二〇二〇年二月第一刷発行)から、紹介する。以下のこの事件によってロシアがここから追放され、G八がG七になったのである。
『(二〇一四年の)クリミア併合とその後の(ロシアへの)制裁は、ロシアと米国の関係を決定的に悪化させ、中ロを接近させた。その結果、北方領土返還の道筋も見えなくなった。地政学的に大きなインパクトを持つ対ロシア制裁とはどんなものなのだろうか。
 クリミア半島は帝政ロシア時代の一九世紀から保養地として知られ、ロシア系住民が六〇%を占め、ウクライナ人は二五%と少数派だった。黒海に突き出ている半島にはロシア黒海艦隊の基地があり、ロシア海軍が地中海に出る戦略的要衝である。(中略)
 ウクライナでは二〇一三年一一月から親ロシアのビクトル・ヤヌコビッチ政権への激しい市民デモが起こり、翌一四年二月には政権が崩壊。これを受けて親ロシア派の武装勢力がクリミア半島の議会や空港を占拠し現地の政治権力を奪取し、さらには半島全域で行われた住民投票で九六・七七%がロシアへの編入を支持し、欧米が猛反発する中、三月一八日プーチンはクリミアの編入を宣言した』

 この後のことについては、この三月二四日の朝日新聞に、元国連難民高等弁務官事務所職員、千田悦子氏がこういう文章を寄せていた。
『一四年以降のドンパス地域は、ウクライナ政府の非制御地(NGCA)と制御地(GCA)との境界線を中心に戦闘が常態化し、人々が西へ逃げていた。親ロ派によるロケット弾発射や発砲、それを迎え撃つウクライナ軍の砲撃戦で、家や学校、病院、公共施設などが破壊されたそれらの修復を初めとするプロジェクトの進行調整を私は担当した。日中、砲弾の音を間近に聞きながら仕事をする日もあった・・・・ロシアの歴代大統領が恐れてきたNATO拡大についてロシアの言い分を聞きつつ、今後の緊張を緩和する方向性をNATO全体で探る必要があるのではないだろうか』
  この境界線戦闘によって以降一九年までに双方一万人を超える死者が出ているという資料もあったうえで、今年二月二四日のロシア侵攻である。ついてはこの侵攻直前まで、こういう事実があったと明記しておきたい。ウクライナの大統領はあくまでもNATOには加盟すると、それでも「ロシアは攻めて来ない。来るという人はその証拠を見せて欲しい」と表明し続けていた。なぜ、どういう根拠でこの表明があったのか。「BSフジ・『プライムニュース』三月二八日放送」のネット記事から、真田幸光 愛知淑徳大学教授の見解を以下に紹介してみよう。三菱UFJ銀行出身の国際金融学者である。

【 英米が真に狙うはロシアの先の中国叩きか。日本は慎重に様子見を
(前略)
新美有加キャスター 国際的な信用を落としてまでも各政策を行うプーチン政権。経済的にはどういう利益が出るものですか。
真田幸光 基本的にはない。むしろ、そこまでロシアが追い込まれ、貶められている。
反町理キャスター プーチンがそうするように仕向けていると。その主体は誰ですか?
真田 英米だと思います。今の覇権争いにおけるアメリカの一番の敵は中国。中国とロシアがくっつくことは極めて怖い。まず、ロシアの力である資源と軍事力を徹底的に落とす。最近の国際金融筋は、ウクライナ問題においてプーチンの力がかなり落ちていると見ている。そろそろ落としどころを探し、金融で中国の首を絞めることが始まるのでは。
反町 なるほど。ロシアに対して英米は、経済制裁や国際世論、武器供与も含めて追い込み、プーチン大統領が愚策を打たざるを得ないようにした。すると、武力をもってウクライナを救うつもりは最初からなく、ロシアを潰して中国を叩くことに向けたステップとしてウクライナ侵略を見ていたと聞こえるが?
真田 そう申し上げました。ウクライナが、そして大陸ヨーロッパが踊らされた部分が結構あるのでは。
反町 怖い話だ。畔蒜さんは?
畔蒜泰助 笹川平和財団主任研究員 これまでの米露の交渉を見ると、アメリカはロシアがウクライナに侵攻する危険性を相当感じていて、かなり警告をしたと思う。一方、私が知っているロシア人の専門家は皆、ウクライナへの侵攻などあまりにも愚策でやるはずがないと言っていた。今は当惑している。プーチンにはもっと別の手もあった。
反町 英米が本当に睨んでいるのがロシアの先の中国であるとすれば、日本はどのようについていけばよいのか。
真田 難しい。日本最大の同盟国はアメリカで、価値観の共有という意味できちんと合わせる必要があるが、先んじて対露制裁や中国への何らかの動きをし過ぎると、はしごを外される危険性がある。また場合によっては、世界の中でかなりの実体経済を握る中国の側が勝つ可能性もある。どう転ぶかわからず、とりあえず様子を見るのが生き延びる手だて】

 戦争嫌いの僕は例によって、この戦争を起こしたプーチン・ロシアを今でも、どれだけでも非難する。だからこそそれだけでは済まず、一般マスコミ物の他にもここまでの詳しい経過などをいろいろ読むことになった。そこで出会ったのが「プーチンもウクライナも英米によってこの『あまりにも愚策』へと追い込まれた」論なのである。すると、これを傍証するようなものをどうでも探したくなって、やっと一つ見つけた証拠が、これだ。

『「ヤツェニュクには政治と経済の経験がある。クリチコが入るとうまくいかないだろう。国際的に信頼されている人物を招いて一役買ってもらえるといいが・・・」
 政変のさなか、アメリカのヌーランド国務次官補とキエフ駐(ちゆう)箚(さつ)のパイアット大使のふたりが、この政変を支持し、暫定政権の人事について電話で話し合う様子がリークされたエピソード(BBC、二〇一四年二月七日)も、いまでは忘れられた感がある。
 果たしてその後、ふたりが描いた筋書きどおり、クリチコはキエフ市長になり(プロボクシングの元世界チャンピョンで、ロシア軍と戦う現キエフ市長である)、ヤツェニュクはマイダンで開かれた勝利集会で〝革命〟政権の暫定首相に指名される。』

 この文章の出典は、月刊誌「世界」四月臨時増刊号「続・誰にウクライナが救えるか」。二〇一四年マイダン革命当時のウクライナ政権人事をアメリカが握っていたと示されている。筆者はエコノミスト・西谷公明氏。早稲田の大学院を出て、長銀総合研究所、ウクライナ日本大使館専門調査員、その後トヨタロシア社長という経歴の東欧専門家である


 最後だが、この戦争から中台も危ないとか、地球で戦争が増えるとかの論議が、日本でもしきりに語られるようになった、そのことについてのべておく。反政府地域が存在するというのは、確かに両国共通だ。だが、現政府が最近の暴力革命で生まれて、反発する反政府地域との「国境」で10年近く戦闘状態が続き、その間に1万人が死んでいるなどという状況は台中間には存在しない。
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ウクライナ政権で仲間割れ深刻  文科系

2022年07月21日 00時01分49秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
 ウクライナ政権で重大な仲間割れが起こったと、19日火曜日の新聞にあった。検事総長と国家情報局長をゼレンスキーが解任したというのである。検事総長は大統領選挙のゼレンスキー選対顧問格の法律学者、ゼレンスキーの幼馴染でもある情報局長は、テレビプロダクションの同僚であった人物とあっては、いったい何が起こったのかということになる。

 2014年のウクライナ暴力革命に端を発したロ・ウ長年のドンパス戦争や、ゼレンスキー政権人事やなどにはアメリカの工作が働いていたとの明確な証拠も挙がっているが、今回の解任にあたって僕が真っ先に思いつくのは、このこと。2月のロシア侵攻・開戦をゼレンスキーはあくまでも「侵攻はない。あるという人はその証拠を示してほしい」とまで言い続けてきたこと。これについてはウクライナの情報局長が絡んでいないはずがないのである。ここでゼレンスキーは騙されていたことになるが、だましたのは誰か? アメリカが糸を引いたウクライナ情報局なのだと僕は考えるのである。開戦前のアメリカは表立っては「ロシア侵攻必至」と叫び、ゼレンスキーには情報局長を通じて裏から「開戦なし」と抑えていた・・・・?
 検事総長の解任は、ロシア兵捕虜の裁判を急ぎすぎたことで大統領の不興を買ったと言われているようだが、この裁判急ぎすぎについても何か「対ロ急進派の画策」と感じられてならないのである。ロシア兵捕虜問題は、ロシアのウクライナ兵捕虜の無事に結びつく「捕虜交換問題」でもあるという、極めて微妙な問題なのである。

 いずれにしても、今こんなことをやっているようでは、この戦争がまだまだアメリカのいいようにされて長引いていく気がしてならない。つまり「アメリカの代理戦争」という泥沼・・・。ちなみに、ドル・石油世界体制死守という真の原因を隠して「大量破壊兵器」という嘘の理由で国民を熱狂させて起こされたイラク戦争とまさに同じような様相にもなってきていることだし。
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世界の経済軍事ブロック化は暗黒の未来   文科系  

2022年07月02日 16時19分26秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
 初めの友人諸氏への報告だが、膀胱がん治療で1日(金)に予定されていた二回目の抗がん剤投与(一種類予定)が、第一回目の抗がん剤(24日投与、2種類)で白血球が減りすぎて、来週に延期となった。胸のムカつきも続いていて食事は無理に食べている状況から、体重も1キロほど減った。でも、手術の予定は従来通り9月になるようだ。抗がん剤がよく効いて、癌が小さくなっていくと良いのだが。


 さて、以下は、ここに前回書いた「米中争覇とアジア」の続きである。

 ウクライナ戦争をめぐるNATOの声明で『中国こそ脅威』という表現に独仏が反対して、『中国による挑戦』と替わったというニュースは、日マスコミにおける扱いは小さすぎるにしても、ひとまず、とにかく、ほっとした。独仏は結構わかっているのだろう。うその理由開戦・イラク戦争に乗せられて足をすくわれた苦い経験もあるのだしして。それでもアメリカは今後も「中国が世界の脅威」という表現へと、米中争覇をエスカレートさせ続けていくはずだ。NATO、欧米が目指す「自由と民主主義」世界への敵、「権威主義」と、その「ブロック経済」を打ち砕くことに執念を燃やしつつ。「中国は、国際秩序を変える『意図』と力をもつ唯一の国」とアメリカは断定して来たのだし、さらには、日本が、米欧までをアジア・太平洋地域にも引き込んでくれることを強力に求め続けてきたのだから。

 ところで、問題のウクライナの駐日大使が、こんなことを話しているのを1日の朝日新聞で読めたのは幸いであった。
「中国はロシアと違って世界第2位の経済大国で、世界経済と深く結びついています。中国を経済的に孤立させることは不可能です。ロシアと同列に論じることはできません。日本を含む自由民主主義国家は、中国と対話のメカニズムをつくらなければなりません。様々な国際会議で中国と話し合う試みがあります。これは非常に重要です」
 このウクライナ駐日大使はこうして、日本の外交として、以下を強調されていた。「中国との対話」、「日米同盟を賢く活用」、「韓国との関係改善」

 すべて聞くべき意見と思う。アメリカが中国に対して新たに世界経済的ブロック対立だけではなく、世界軍事的ブロック対立を猛烈にしかけ始めたこの今だからこそ。ウクライナ戦争は、ロシアだけではなくアメリカが起こしたものでもある。これはここで何度も実証してきた通りだ。日本がこの経済・軍事ブロック路線に乗っていくことは、二つの世界大戦と同様に世界を再び大変な暗黒時代へと陥らせていくことにしかならない。世界史を知っている歴史学者ならば、そういう警鐘をかならず鳴らしているはずである。日本としては特に、アメリカに代わってどこまでも戦争させられていくしかないウクライナのようにされてはならない。

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米も戦争ができなくなった? 文科系

2022年05月21日 03時53分06秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など

 ロシアのウクライナ戦争はどれだけ非難しても良いというその上で、以下の朗報を書いてみる。

 ロシアのウクライナ侵攻に「・・・だから失敗、苦戦になっているのだ」という「専門家」諸氏の解説を読んだ。その要点はこういうもの。
「キエフ近辺の軍事拠点を一週間ほど爆撃で叩いてから地上進軍と進めなかったから」

 まさにこういうやり方として思い出すのがイラク戦争。軍事拠点の爆撃を一週間近くだったか徹底したその後に地上軍が侵攻していった。だが、このやり方で起こるのは一般市民をも巻き込む大虐殺先行なのである。言い換えれば、ロシアがこれをしなかったのは、アメリカのイラク戦争ほどは残虐になれなかったということだろう。とするとこうなる。

 アメリカは今、ロシアのウクライナ戦争がいかに残虐なものかというニュースを世界に配信している。日本などはそんな米配信ニュース垂れ流しとさえ言える。そのアメリカの姿は、まるで世界平和の守り手のよう。アメリカは、いつからこんなに変身したのか? 

 このウクライナ戦争以降は、イラク戦争のような絨毯爆撃徹底という(ロシアよりはるかに)残虐な戦争はアメリカももう起こせなくなったと信じたい。としたら、アメリカももう(目に見えた)戦争一般が起こせなくなったということにならないか。開戦時の重点部分絨毯爆撃が不可能になったのならば、今回のロシアが示したように人的資源消耗が激しすぎるからである。これは今後世界にとっては大きな朗報ではないだろうか。例えば、アメリカがベネズエラやイランに対して実際に行ってきた「戦争脅迫外交戦略」ももう効果は無くなったということになるのだから。としたら、こんな事も覚えておきたい。どうして、敵基地攻撃能力とか「反撃能力」とかが必要になったと言えるのか。

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ウクライナ関連拙文への友人ご批判に応える  文科系

2022年04月20日 12時14分31秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など

 当ブログのウクライナ関係拙文・拙考に対して、仲のよい友人から率直なご批判をメールで頂いた。彼に感謝しつつ、このような解釈もありうるかというところから、この応答をエントリーにしたい。なお、拙文は一部加筆修正した。

  友人によるご批判

『 九条バトルのウクライナ侵攻を拝読。これは極端にロシア思い。2014年の協定違反、レオナチスの暗躍、黒幕のアメリカ、中国を叩く前哨戦、イラク侵攻のアメリカの犯罪性を力説する。しかし肝心な今回のロシアの暴力、侵略、帝国主義、独裁政治には甘い。イラク問題でアメリカを叩く様に、ウクライナ侵攻でロシアを叩く。これができない。』


『 拙ブログのウクライナ戦争の件に、以下お応えします。
① 拙文のどれにも必ず、「ロシアの歴史的戦争犯罪は大前提として」と付しています。なんせ僕の立ち位置が何度もブログにも書いてきたように、「戦争を無くしたい。そのためには、将来的に国連とその(警察)軍とに世界国防体制がまとまっていって欲しい」というものですから。「江戸幕府の日本統一で徳川の平和があったように」という発想です。米国が、中国が国連に提案してきたような「国連軍による世界国防体制」でやっていこうと決めたらよいのにと述べてきました。
② 「その上で」2014年以来の「ドンパス戦争」(僕の用語ではなく、そういう戦争が続いてきたという学者論文からとりました。一例が、昨日の拙稿にある月刊誌「世界」4月14日臨時増刊号の「未完の国民、コンテスタブルな国家」松里公孝・東京大学大学院法学政治学教授)経過を観てきました。すでに一種の内乱戦争が起こっていたと示したわけです。それでも①は①なのですが。キエフを攻めるというのは、ウクライナを潰すこと、ドンパス戦争とは違いますから。念のために。
③ ついては、ウクライナ・ネオナチについて説明します。これは日本政府・外務省もアゾフ連隊などをそう認定してきた用語です。「ウクライナ・ロシア人への右派民族主義的ヘイトがドンパス戦争の一方の元」という②などの現象をそう捉えたのでしょう。
④ この戦争に関わるアメリカ批判についてですが、①の議論立ち位置からすると、現在どの戦争を論じてもこれにも触れぬ訳にはいきません。しかも、ドンパス戦争以来、アメリカがウクライナ・ネオナチをずっと支援してきたのは、最初のアフガニスタン戦争で親ソ派の政府を倒すためにタリバンを支援したやり口と同じと観てきました。

 最後ですが、僕はプーチンは大嫌い。戦争と同じように嫌いな、安倍晋三氏と同じようなポピュリズム独裁者(彼が独裁者であることはここで種々示してきた通りです。国会に諮らずに重大事項を決めたり、国権の最高機関・国会で何百と嘘をついたり、堂々と国家を私物化したりしてきた所業からのことです)と観ています。ただ、独裁者とか人権問題とかは、国際法上の知恵によれば内政問題と扱うのがよいのであって、「価値観外交」とやらで外からこれに干渉し出すと最後は戦争というもっと悲惨なエスカレートになるものと考えてきました。これは20世紀人類に初めてできた世界平和組織運営上の知恵の1つだと思います』

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2014年の「ドンパス戦争」   文科系

2022年04月19日 07時20分42秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など

   これまでのエントリーで、2014年ウクライナ・マイダン革命の暴力を焦点にしてこの戦争の淵源を観てきた。「地上から戦争を無くする」と言う立場の僕として、当然のことながらロシアの開戦を憎んでも余りあるものとしてのことである。

『(2013年末から14年初頭にかけての反政府運動において)2014年2月に突然、暴力革命の様相を帯びるに到り、ヤヌコビッチ(2010年の選挙でウクライナ南部、東部を基盤として選ばれた大統領)は国外逃亡に追い込まれます。その背後の事情は明らかではありませんが、整然たる市民運動のなかに過激な暴力を持ち込む極右勢力が紛れ込んだようであり、そのなかにはネオナチ的な人たちもいたようです。』(月刊誌「世界5月号」の塩川伸明東大名誉教授「ウクライナ侵攻の歴史文脈と政治理論」)』

  次いで、この塩川論文を一歩詳論した形の以下を紹介した。岩波新書「アメリカの制裁外交」(杉田弘毅元共同通信論説委員長、現在国際ジャーナリストの著作。2020年2月第一刷発行)から。
『 クリミア半島は帝政ロシア時代の19世紀から保養地として知られ、ロシア系住民が60%を占め、ウクライナ人は25%と少数派だった。黒海に突き出ている半島にはロシア黒海艦隊の基地があり、ロシア海軍が地中海に出る戦略的要衝である。
(中略)
 ウクライナでは2013年11月から親ロシアのビクトル・ヤヌコビッチ政権への激しい市民デモが起こり、翌14年2月には政権が崩壊。これを受けて親ロシア派の武装勢力がクリミア半島の議会や空港を占拠し現地の政治権力を奪取し、さらには半島全域で行われた住民投票で96・77%がロシアへの編入を支持し、欧米が猛反発する中、3月18日プーチンはクリミアの編入を宣言した。(中略)
 米ロ関係は冷戦時代に逆戻りしたと称されるほどのものだ。ロシアは主要8カ国会議(G8)からも追放された。もはやロシアは仲間ではない、という宣言だ』

 さて、以上で述べられた2014年ウクライナの「激しい市民デモ」とか、「ネオナチ的な人たち」の「過激な暴力」とかはどんな様相であったのか。月刊誌「世界」4月14日臨時増刊号の「未完の国民、コンテスタブルな国家」(松里公孝・東京大学大学院法学政治学教授)から紹介してみよう。このような歴史から、ドンパス二共和国とクリミア領有が問題になっているわけである。
 2月20日キエフの独立広場周辺で「スナイパー虐殺」事件が起こり、数十人が犠牲になった。「銃で人が殺されている、スナイパーを探し出せ」から起こったものだ。この時、キエフに上京していたヤヌコビッチ支持派がこの事件に恐怖を感じて8台のバスでクリミアに帰ろうとした途中、暴力事件が起こった。マイダン活動家(右派民族主義者)にバスを止められて数時間にわたる暴行を受けたのである。これらに連動して、クリミア議会で、またオデッサの労働組合会館放火事件で、多くの死者が出る襲撃事件が起こった。この論文末尾にはこんな文章もあった。

『特徴的なのは(右翼)革命派が、これら暴力事件を携帯電話で録画し、自らソーシャルメディアに盛んに公開したことである。これは常識ある市民を恐怖のどん底に突き落とした。ユーロマイダン革命中は、凄惨な死体の録画がユーチューブ上に溢れていた。(中略)残虐シーンのソーシャルメディア上での公開は、ドンパス戦争から今日に到るまで変わっていない。(中略)ドンパス戦争による人民共和国側の民間人死者が約2600名に達していること、戦争犯罪を命令または執行したウクライナ軍人ほかの名が現時点で85名特定され、400以上の刑事事件がすでに立件されている』

 なお、この筆者・松里公孝は、「露ウ戦争」の歴史的構造的背景を3つあげている。「ソ連解体の後始末」、「(アメリカ)一極世界の終焉」、そして「今回の戦争の遠因は、2014年のユーロマイダン革命である」というものだった。

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