日鉄のUSスチール買収阻止にアメリカ政府が乗り出してきた。トランプ政権になればこの姿勢はさらに強硬になっていくだろう。トランプはさらに、アメリカ高関税設定に関わって諸国を脅しているのだから。ここまで他国に迫り続けてきた「自由主義経済の旗手」が聞いて呆れる所業の数々だ。
さらには、14年にウクライナ問題によってG8から追い出されたロシアがBRICS強化に励み、そのG7はウクライナ、イスラエルを熱烈擁護している。この二つの戦争では、諸国に憎しみ合い・分断の連鎖がどんどん増幅されていく真っ最中だ。
こうして、世界諸国の経済分断、友好分断、ブロック化が異様に進んでいるが、「世界の経済分断は、戦争前夜、戦争の前提」ではなかったのか? この命題は、二つの世界大戦などから人類が痛切に学んだ遺訓だったはずだ。世界一致の場・国連は、あからさまに無視され始めている。ちなみに、イスラエルが国連職員を何百人も殺しているというのは、世界周知の事実である。国連のような組織が強化されねば、地上から戦争はなくならず、核兵器使用の恐怖も増すばかりというのも、人類が20世紀に学んだ教訓だった。
と、こんな歴史知識はとうにご存じのはずのマスコミも、世界の感情的分断をどんどん増幅させているやの昨今である。世界史的知識など端から期待できぬ最近の貧素な政治家らはいざ知らず、昨今のマスコミは「世界分断・憎しみ合いの連鎖」を無自覚に報道、増幅するばかりしていてよいのであるか?
ここでもう一つ、気になる世界分断をあげたい。宗教分断もどんどん強化されているのではないか? トランプの支持者最大勢力の一つがキリスト教・福音派だということは、今や世界の知る人ぞ知っている。福音派もユダヤ教徒も信じている旧約聖書とイスラム教徒との分断が「影で進められている」のではないか。それも意外に深く深く。トランプの最大助言者・娘婿クシュナーは、イスラエルの熱烈支持者だとも聞いているし。宗教者こそ、世界分断に抵抗すべき存在だと思うのだが。人間を神の似姿と見るならば。なおさらのことではないか。
今人類は、20世紀二つの世界総力戦と、国連創出とから生み出された歴史的教訓を改めて思い出すべき時である。
「アメリカは、国連が大嫌い。拠出金を出さなかったり、この国連機構には入らぬ、あるいは、ここからは脱退すると叫び続けたり・・・」
アメリカと日本右翼とが、この点で似ているのが、日本の深刻な問題だ。
見ないフリするのは、当然の事では?
「国連は先の大戦の戦勝国組織」
「戦勝国裁判で日本が裁かれた」
「大東亜戦争は文字通り正義だったのに」
と、語り続けてきたのが日本の右翼である。
そのことの証明になる文章である。