若者よ、選挙に行くな 【2023年ver.】
知人から上記の動画を紹介されたので観ました。「若者は生活に不満があっても選挙には行かないので、政治家は選挙に行って投票する高齢者の意見ばかり聞いて政策を決める。若者よ、選挙に行こう!」と訴えている動画でした。でも、私はその動画を見て、共感よりもむしろ違和感を覚えました。何故そう感じたのか?その理由を今から述べます。
まず一つ目。そもそも、この動画制作者も、あと数十年経てば高齢者の仲間入りをします。その時も同じように高齢者をやり玉にあげるのでしょうか?そんな事したら、自分で自分を攻撃しなければならなくなりますがw。そんな事して一体何の意味があるのでしょうか?もう動画の内容以前に、話の前提そのものが支離滅裂WW。
二つ目。動画に出て来た婆さんが「同性婚?ベーシックインカム?憲法を変える?そんな事したら社会が変わっちゃうじゃない」と言っていました。でも実際は、同性婚に反対している保守派が、憲法を変えようとしているのですがw。「変える、変えない」の中身を問わずに、同性婚も憲法もごちゃ混ぜにして、印象操作に落とし込もうとしているのが見え見えです。
三つ目。この動画の中で「コロナで生活が苦しくなった」若者を揶揄した場面がありますが、コロナで生活が苦しくなったのは若者だけではありません。低年金の高齢者も同じです。むしろ、わずか月数万円の国民年金だけで生活していかなければならない貧困層の高齢者の方が、何だかんだ言っても厚生年金ももらえるサラリーマンより、生活困窮の度合いは激しいです。
私の勤めている物流センターの現場でも、非正規雇用の高齢者が大勢います。彼らの生活が裕福だとはとても思えないのですが。彼らよりも、大企業正社員や株やFXで大儲けしている自営業者の壮年世代の方が、よっぽど裕福だと思います。ところが、この動画では、「コロナで修学旅行に行けなくなった学生」「生活が苦しい若者」と「旅行を税金で支援してもらった裕福な高齢者」をことさら対比させ、まるで後者が前者を搾取しているかのような語り口で話が進んでいます。じゃあ、その中で、私の勤務先の非正規雇用の高齢者は、生活困窮に対する怒りを、一体誰にぶつけたら良いのでしょうか?
そりゃあ、物流センターの経営者も、高齢者よりも若者を雇いたいのが本音だと思いますよ。でも、幾ら募集をかけても、うちのような低賃金の職場には、若者なぞなかなか来ない。それだったら、高齢者でも雇わざるを得ない。その中で、この動画のように高齢者を排除していたら、仕事が回らなくなります。日本の国も、それと同じではないでしょうか?
実際、うちの職場でも、高齢者と若者がいがみ合っている姿なぞ、見た事ありません。そりゃあ、心の中では色々葛藤はあると思います。「うちの爺は頑固だなあ」「あの外国人、全然仕事しないやん」「今度来た派遣の若者、全然使い物にならないなあ」等々。でも、そうじゃない人(頑固でない爺、仕事の出来る外国人、使い物になる若者)もいる訳で。その中で、個人の出来不出来をことさらあげつらって、いちいち排除していたら、現場が回らなくなります。
四つ目。老害批判を展開しながら、実際に権力を握っている(た)老害(麻生太郎や安倍晋三、森喜朗、石原慎太郎など)には絶対に批判の矛先を向けない。矛先を向けるのは「同性婚には賛成で、憲法を変えるのに反対している」左派・リベラル・人権派ばかり。そうして、「老害批判」や「反体制」を装いながら、実際は権力支配層の老人を守ろうとしている。
この動画制作者「たかまつなな」の政治的立場は三浦瑠麗なんかと同じ。「右でも左でもない」「無党派層の一般市民」を装いながら、実際は左派リベラルの揚げ足取りばかり。でも、余りそればかりやると、さすがに自民党べったりの体制擁護が鼻に付くので、たまには自民党批判や体制批判も少しする事で、自分の政治的立場を誤魔化しているのです。
「たかまつなな」は、「今の政治は高齢者の意見ばかり聞くシルバー民主主義だ」とネットで批判しています。しかし、私に言わせると、麻生などの権力層の老人は巧妙に矛先からはずして、同じ貧しい者同士のワーキングプアの若者と非正規雇用の高齢者をことさらいがみ合わせて、貧しい者同士の団結を阻害しているようにしか見えません。非正規雇用の高齢者からすれば、同じワーキングプアの若者は、連帯こそすれ、敵対・反目しなければならない理由なぞ、何一つないのですが。
それよりも、自分達は富裕層として各種の特権を享受しながら、年金削減や消費税増税で非正規雇用の高齢者を虐めまくる、前記4名の右翼ブルジョア老人の方が、「老害」度ははるかに大きいです。だって、彼らのせいで、いくら年金削減され、消費税がどんどん上げられても、その利益は全て法人税減税に回され、福祉の充実には全然回されず、社会保険料も全然下がらないのですから。今の政治を批判するなら、「シルバー民主主義」ではなく、むしろ「ブルジョア民主主義」として批判すべきだと思います。
今回の記事拝見しました。
>まず一つ目。そもそも、この動画制作者も、あと数十年経てば高齢者の仲間入りをします。その時も同じように高齢者をやり玉にあげるのでしょうか?そんな事したら、自分で自分を攻撃しなければならなくなりますがw。そんな事して一体何の意味があるのでしょうか?もう動画の内容以前に、話の前提そのものが支離滅裂WW。
いやいや、たかまつさんはじめこんな考えをする人は「自分は絶対ああいうような人(今回の例でいえば福祉サービスに頼る高齢者)にはならない」と思っていますよ。
いい例が「特殊詐欺」に対する私の父親の態度です。
「オレオレ詐欺だとか特殊詐欺に引っかかるやつはアホや」といつもおっしゃっておりまして、私が「モシアナタガコレニ直面シタラヒッカカルカモシレナイヨ」と言うと「そんなんなるかいな!アホなこと言いなや!こんなんわかっていればひっかかることなんて絶対ないんや!」と言い返してきます。
私のブログにも綴りました。
https://sgtyamabuunyan2nd.hatenadiary.jp/entry/2020/03/02/192047
まさに「分断」ですよね。それではまた。
拝読して1点気になる点が。
21年1月6日の米連邦議会の件、お書きになっているのは、民主党側が喧伝したプロパガンダの「事実」で、実際、事実はそれとは正反対だったというのが最近では明らかになってきました。
要は、民主党・グローバリスト側がトランプ支持者を嵌めたということ。トランプ支持者を議会内に引き入れたのは一体誰だったのか・・それを知れば今回の「事件」のカラクリが分かってくると思いますよ。
米帝国の闇はこのように実に深いのです。表に出ている情報・報道を鵜呑みにしてしまうと、事態の本質を見誤ってしまいます。
後で気が付いたのですが、この動画制作者は、若者vs老人の対立構図だけでなく、ネットvsリアルの対立構図も暗示しているのではないでしょうか?「ネットの選挙なら投票するのに?そうやってずっとネットでつぶやいてなさい」「(私達はあなた達とは違って)選挙に行く(実際に投票所に足を運ぶ)」という会話のやり取りに、それがうかがえます。
でも、パソコン通信の頃のようなネット黎明期ならいざ知らず、政治権力や大企業もネットを積極的に利用し、世論操作や企業CMをネットで行うようになった時代に、単にネットをリアルと対比させて、手放しにネットを礼賛しているだけでは、かえって権力の意のままに操られてしまうだけだと思います。
その一例を挙げます。私は鉄道や競馬が趣味なので、それらの記事をよく見ます。そうすると、パソコンの方でも、AIの働きで、その手の記事を検索サイトのトップに持って来るようになります。
これが趣味の記事なら実害はそんなにないのですが、政治絡みの記事になると、その実害は想像以上に甚大となります。その良い例がネトウヨ(ネット右翼)です。元々、中国や韓国の事を良く思っていない人がネットをしても、見る記事は中国や韓国に批判的な記事ばかりです。そんな記事ばかり見ていると、パソコンのAIの働きで、ますますそんな記事ばかりが検索エンジンのトップに表示されるようになります。これでは「頑固ジジイ」がますます「頑固ジジイ」になるだけです。
以前、米国で、トランプ元大統領の支持者が連邦議会を占拠する事件がありました。これも、Qアノンなどの陰謀論の書き込みを真に受けた米国のネトウヨが、ネットに煽られて民主主義破壊の暴挙に出てしまったものです。日本でも、ネットの書き込みに煽られたネトウヨが、朝鮮学校に押しかけたり、在日コリアンの家屋に放火する事件が頻発しています。
なのに、この動画では、ネットとリアルを対比して、「ネット=自由な若者空間」「リアル=因習に囚われた老人空間」と暗にほのめかすばかりです。
維新が関西圏で異様に選挙に強いのは、彼らが関西マスコミを味方に付けて、テレビ番組で維新を持ち上げるからでもあります。それが証拠に、維新の得票率の高い地域は、全て関西ローカルの放送局の電波が届く所ばかりです。勿論、それだけが維新躍進の理由ではありません。彼らの宣伝が上手い事も理由の一つですが。
維新は野党だからまだ良い。また、影響が関西圏に留まっているからまだ良い。でも、与党が全国規模で同じ事をやり出したらどうなるでしょう?その悪影響たるや、今の維新をはるかに上回るのではないでしょうか?
消火に当たっている人間は、きっと焼け死ぬ最期を迎えます。この期に及んでは、死んでほしくない人には、こう言うしかないです…
「ここは俺たちに任せて早く逃げろ!」