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たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

『木靴の木』シナリオ(12)

2016年04月06日 22時17分06秒 | 映画『木靴の樹』
(フランス映画社発行のパンフレットから引用しています。)

*畜舎の庭(朝)

 降りしきるみぞれ。男たちは煮立った大釜に水を足す。冷たい空気の中で沸かす湯けむりは白い。子供達がせわし気な大人たちの様子を見つめている。そんなあわただしさの中、今日もミネクは大きな傘をさして学校に出かける。

*フィナールの家・台所

 テーブルの上を洗っているフィナール。

 テレジーナ「来たよ!」

  豚のを行なう男たちがやって来る。

*畜舎の前

 フィナール「来たね。今日はきついね」

 の男1「よく降る!」

 の男2「雪の日の豚は味がいい」

 フィナール「葡萄酒も同じだ」

 の男1「天候が左右する」

 フィナルダ「煮立っている?」

 の男2「湯は多いほどいい・・・火を絶やすね」

 ベッティーナ「管理人よ」

 管理人が馬車でやってくる。

 フィナール「地主はまだか?」
 
 管理人「まだだ、後から来るよ」

 フィナール「誰が計量を?」

 管理人「おれが計る」




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『木靴の樹』シナリオ(11)

2016年02月20日 13時49分46秒 | 映画『木靴の樹』
(フランス映画社発行のパンフレットからの引用です。)

*畜舎(夜)

 寒い冬の夜、話のうまいバティスティを囲み、皆は和やかなひとときを過ごす。マッダレーナとの交際を認められたステファノの姿もある。

バティスティ「”狼が羊を食べる。骨は犬に、肉は肉屋に。殿方の小便は共同便所へ、麦わらは椅子の尻へ、箒は魔女の馬。つぐみは小麦の穂をついばみ、なめくじはバラに、若者は恋を。骨は犬に、肉は肉屋に、血はパイの材料に。おれの話を聴く人の尻には栓を」

フィナルダ「(笑って)一体何の話?」

ブレナの妻「よく考えつくこと」

フィナルダ「毎晩違う話なのよ」

フィナール「面白い」

バティスティーナ「ではお祈りを・・・・子供が睡いわ」

フィナールの次男「まだ早い」

フィナルダ「疲れると祈りが粗末になるよ」

若者「バティスティ、小川に落ちた話を頼む」

ブレナの妻「”栄光みてる主なる父よ・・・”また今度、話してもらいましょう」


*ルンクの後家さんの家の戸口

仕事を終え、帰宅するベビーノ。

*バティスティの家・寝室

バティスティーナが、子供達を寝かしつけている。

バティスティーナ「(夫に)もっと暖かい服が必要だわ。寒くなってきたわ」

バティスティ「今の所は何とか済むが、先ざき産婆の心配をせんとな」

バティスティーナ「ここの女の人達で大丈夫よ。初めてではないし」

バティスティ「バカを言うな。失敗でもしたら大変だ」




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『木靴の樹』シナリオ(10)

2016年01月24日 15時54分46秒 | 映画『木靴の樹』
*厩

 雪が舞いはじめたなかで、犬が、兎が、馬が、雪を感じている。

*ルンクの後家さんの家・寝室(夜)

 アンセルモがこっそり起き上がり、窓の外を窺うと服を着はじめる。

ルンクの後家さん「(気配で目覚め、小声で)じいちゃん今頃どこへ?真夜中よ」

アンセルモ「雪だ。野菜畑にニワトリの糞をまいてくる」

ルンクの後家さん「ニワトリの?」

アンセルモ「(服を着ながら)そうだ、春にトマトを植える準備だよ。牛のふんより効き目がある。少しまくだけで、地面が凍らない」

ルンクの後家さん「夜中でないといけないの」

アンセルモ「人に知られたくない。これでうちのトマトは、よそより早く色づく。2、3週間早い」

ルンクの後家さん「とっぴな事を考えて、かぜなんかひかないで」

 うなずいて、寝室を出るアンセルモ。赤ん坊が泣きはじめる。

ルンクの後家さん「(そっとあやしながら)お眠り、お眠り」

*厩

 オルガン曲<我を憐れみ給え、主なる神よ>

静かに流れる。

アンセルモ「[動物達に)わたしだよ」

 彼はランプと糞の入った桶を持って、畑に向かう。

*畑

 柵囲いの畑に置いたランプが、雪を青く照らす。丁寧に糞を埋める掌。

*雪化粧をほどこした畑の遠景(朝)


(1990年フランス映画社発行のパンフレットより引用しています。)




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『木靴の樹』シナリオ(9)

2016年01月23日 14時49分30秒 | 映画『木靴の樹』
*畜舎の外

バティスティ「子供たち、風笛が聞こえるぞ」

 音に惹かれて外に出て、大人達はそれぞれ小さな子供を抱き上げる。

ピエリーノ「そうだ、風笛だ、本当の風笛だよ」

ベッティーナ「母さん、風笛だよ」

オルガ「どっち?」

ウスティ「地主の家だ」

ペピーノ「あっちの方角だ」

ブレナ「今夜はとても冷える。(小声で)しずかに!」

バティスティーナ「上手に吹くこと!」

フィナルダ「もうクリスマスよ」

 澄んだ空気が肌をさす。空を見上げる人々。

ベッティーナ「じいちゃん、お月さん」

アンセルモ「お月さんが笠をかぶると、雪がどっさり降る」

バティスティ「だが寒さが続くと・・・」

ベッティーナ「なぜ笠を?」

アンセルモ「大地が雪を待っている」

 ステファノとマッダレーナは黙って見つめあう。目をふせるマッダレーナ。

*ポプラの並木道

 暗闇の中、歩くステファノの顔。

ステファノ「(自分を励ますように歌う)“トーネ、トーネ、狼の所へ走れ“(梟の泣き声に更に大声で)”トーネ、トーネ、ぼくはここにいる”」

*地主の屋敷

 遠景。真っ暗な中、アーチ型の石垣の門の中に、“淡い光を放つ屋敷が見え、夜空にオルゴールのように響くピアノの音。ステファノが門をくぐると、人の気配を感じた犬が吠える。

地主「だれだ? だれだ?」

 地主が明るい灯の下で母親に見守られ、<トルコ行進曲>を弾く息子の姿を窓の外からのぞいている。室内には、母方の親戚らしい者達が10人ほど、神妙に坐っている。<トルコ行進曲>を奏き終えて、母や来客の拍手をうけ、エレガントに次の曲をひきはじめる息子。風笛のメロディーに似た曲。窓の外から見つめて、一瞬、顔をゆがめる地主。庭にいた管理人が、折から降りはじめた雪に、「雪だ」とつぶやく。

*地主の屋敷の庭こけ

 雪明かりに包まれる。屋敷のロングショット。

*農村の外

 しんしんと降る雪の中、分益農場の夜も静かにふけてゆく。

*四家族の寝室

 それぞれの寝室で、眠りこけるみんなの寝顔。


(1990年フランス映画社発行のパンフレットより引用しています。)


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『木靴の樹』シナリオ(8)

2015年12月25日 16時54分22秒 | 映画『木靴の樹』
1990年フランス映画社発行のパンフレットより引用します。


*製粉場(朝)

 ペピーノは、ブレナと共に荷馬車に積んできた粉トウモロコシの袋を降ろし、製粉場の中に運びこむ。

ペピーノ「どこに?」

主人「そこに。(手を休め)ルンクの息子か?死んだルンクの?いい奴だったよ。立派な男だった」

ブレナ「子供を6人残して・・・・。気の毒に、後家さんは洗濯女をしている」

 粉砕機械のトウモロコシがなくなり、カラカラ音をたてている。

主人「(トウモロコシをふるいにかけ、ペピーノに向かって)年はいくつだ?」

ペピーノ「15才です」

主人「人手がほしい。ここで働くかね」

ペピーノ「はい、喜んで」

主人「母さんに相談してごらん。来なさい、明日にでも」

 嬉しそうなペピーノ。ブレナも我が事のように喜んでいる。



*冬の夜・農村の外

 ステファノと2人の若者が暗闇を行く。

ステファノ「だれが先にはいる?」

若者1「先に入れよ。犬は心配ない」

 不審な人影に、犬が吠えたてる。

ステファノ「静かに!吠えるな。この小屋だよ、どうする?」

若者1「はいれ!」

 ステファノは畜舎の中の様子をうかがいながら、扉をそっと開ける。

*畜舎

アネッタの声「だれ?」
 
 いっせいに戸口に向けられる全員の目。

フィナルダ「臆病な若者達よ」

 若者達はおずおずと中に入る。はっと目を上げるマッダレーナ。そんな彼女を見て、視線を合わせる彼女の両親。すぐに何事もなかった様な、和やかな雰囲気が戻る。男達はタバコを吸い、女達は編み物に励む。ステファノの視線を感じ、編み物の手を休めて優しい目で見つめるマッダレーナ。

バティスティ「(耳をすまして)しずかに!」

 静まりかえった夜のしじまに、風笛が響いてくる。





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『木靴の樹』シナリオ(7)

2015年10月03日 23時05分06秒 | 映画『木靴の樹』
1990年公開映画パンフレット(フランス映画社発行)より引用します。

パティスティの家・寝室

 興奮して寝つけないミネクに、パティスティーナが気づく。

パティスティーナ「(ベッドの中から優しく)ミネク、早くお眠り。朝になれば神様がかならず、勉強ができるようにしてくださってるよ。」

 こっくりうなづいても眠れないミネク。



農園の中庭(朝)

 真っ白い霧が一面に立ち込める早朝。冬支度に忙しい大人達の間を、ミネクがカバンを下げて元気に登校する。後姿をいつまでも見送るパティスティ。ブレナとベビーノを乗せた馬車が出て行く。

ニワトリ小屋

 ベッティーナはニワトリを小屋から追い出し、アンセルモがその糞をスコップですくっている。

ベッティーナ「なぜ、ニワトリのふんを集めるの?」

アンセルモ「(声を落として)トマトの肥料だ・・・。人に言うなよ」


蓄舎の外

 それぞれの仕事に励む人々の間で、フィナールと次男は親子喧嘩の真最中だ。

フィナール「この怠け者のあくたれが!今夜家で、灸をすえてやる!」

オルガ「母さん、けんかしているよ」

フィナルダ「大丈夫だよ。まるでイヌとネコだよ」

 石垣の外に逃げ出す次男を追いかけて、棒切れを投げつけ、ののしるフィナール。


***************************************************

ささやかな当たり前の生活が続いていくことを祈る毎日。
ささやかな当たり前の生活を取り戻していけるように祈る毎日。
ほんの一握りの人たちだけが利益を享受するような社会へと加速しています。
非常にあぶないです。
こんな小さな島国。
弱いもの同士、片寄せあって助け合いながら生きていくのはだめなんでしょうか。


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『木靴の樹』シナリオ(6)

2015年05月13日 21時44分03秒 | 映画『木靴の樹』
1990年公開映画パンフレット(フランス映画社発行)より引用します。


紡績工場の作業場(夕)

  午後の光のさす作業場で、女達が歌いながら働いている。
  ブレナの美しい娘マッダレーナもいる。終業の音が鳴ると、
  女達は先を争うように階段を降りる。


ポプラの並木道

  鐘の音。家路を急ぐマッダレーナ。
  後ろから彼女を追ってきた若者ステファノが、声をかける。

ステファノ

 「あんたに挨拶してもいいかい? “こんばんは”だけでも言いたい」

マッダレーナ

 「それだけなら構わないわ」

ステファノ

 「君は黙ってるの?」

マッダレーナ

 「(控えめに微笑み)”こんばんは”なら私も言うわ」

嬉しそうなステファノ。歩み去る彼女の後姿を見送り、来た道をひき返す。

畜舎

  二人の様子を不安気に見る父親ブレナ。

ブレナの家・台所

  無言の娘の様子を、黙って見守る両親。
  当のマッダレーナは、何事もなかったように食事を始める。


バティスティの家・台所(夜)

  バティスティはお湯をわかしている。ミネクの明日からの学校にそなえ、
  バティスティーナがカバンを縫っている。


バティスティーナ

 「湯かげんは? お湯がぬるすぎない?」

バティスティ

 「大丈夫だ。とても熱い。(裸のミネクをつからせ)中に入ってしゃがむんだ。
 背中を洗って、それから首と耳をよく洗うんだ。目をとじて、石けんで洗うよ。
 きれいになったぞ、そおら」

トゥーニ

 「ぼくもお湯につかりたい」

 出来上がったカバンに、ノートとえんぴつを入れるバティスティーナ。

トゥーニ

 「これ、学校へ持っていくの?」

バティスティーナ

 「(小さなトゥーニの手をそっとおさえ)さわらないで」



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『木靴の樹』シナリオ(5)

2015年03月26日 20時36分16秒 | 映画『木靴の樹』

1990年公開映画パンフレット(フランス映画社発行)より引用します。

町、クルナの農園(昼)
 
 女が3階から次々と洗濯物を投げる。注文とりに来たルンクの後家さんの長女のテレジ―ナと次女のアネッタが、手押車に積んでいく。

女「土曜までにと頼んでよ」




 姉妹が手押車を押していると、突然表通りが騒がしくなる。

 男達の声「つかまえろ!(姉妹に)中に入ってろ!馬が逃げたぞ!」

 門の陰に隠れた2人の前で、あばれ馬が捕えられ、男達によって連れ戻される。


村道

 汚い水たまりの道を、姉妹がゆく。

アネッタ「テレジ―ナ、私も乗せてよ」

テレジ―ナ「いいわ、代わりばんこよ(妹を手押車に乗せる)」オルガン曲<片足は墓穴にありて我は立つ>、静かに流れ出す。

アネッタ「いいわ、数えなさい」

テレジ―ナ「1、2、・・・49、50」

アネッタ「大へんだわ、あたしの番ね」

 村の道で、アネッタは姉と交替する。

アネッタ「あんたの方が重いから、40数えるまでよ」

 よろよろと手押車を押すアネッタはしかし、姉の重さに耐えかねて、洗濯物をひっくり返してしまう。怒るテレジ―ナ。

アネッタ「私には無理よ!」

テレジ―ナ「みんな落としたわ。(仕方なく)私が押すわ」

農園わきの小川

 ルンクの後家さんは、洗濯で生計を支えている。ベッティーナに赤ん坊のお守りをさせて、
小川のほとりで汗まみれで洗濯物を揉んでいるところへ、娘達が手押車でやって来る。」

テレジ―ナ「クルナのおばさんが、土曜までにだって」

ルンクの後家さん「そんなに洗いきれないわ」

テレジ―ナ「土曜までよ」

ベッティーナ「(姉達に)きれいな石ころを拾ったわ」

 泣き出した赤ん坊を姉達があやす。

ルンクの後家さん「(テレジ―ナに)赤ん坊を頼むわ・・・おじいさんを見に行ってね。
 ピエリーノに手伝うように言ってよ」


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『木靴の樹』シナリオ(4)

2015年03月13日 23時08分27秒 | 映画『木靴の樹』
1990年公開映画パンフレット(フランス映画社発行)より引用します。


農園の中庭(昼)

 石垣の外から物乞いジョバがやって来る。子供達が「ジョバさんだ」とはやしたて、家にかけこむ。


フィナールの家・台所

 食事どき。ジョバが入って来て、隅のマリア像に向かってぼそぼそと祈る。常の事なのでさして驚きもせず、(妻の)フィナルダが食前の祈りを上げる。

フィナルダ「”父と子と聖霊の・・・。主よ我らを健やかに働かしめ、不自由なきようにさせたまえ”(パンの一片をジョバに与え)そら、気の毒なお前さんにも」


ルンクの後家さんの家・台所

 続いてルンクの後家さんの家に入ったジョバは、再び祈り出す。またパンをもらい、嬉しそうに去っていく。そんな彼を、面白がってくすくす笑う子供達。


ルンクの後家さん「笑ってはダメよ。貧しい人ほど神様に近いのよ」


**************

寝台列車がまたなくなっていくんですね。
札幌から上野までの「北斗星」に20年以上前ですが乗ったことあります。
快適でなんだかワクワク感がありました。
眠ってしまうと景色をみることができないので
もったいない気がしたような・・・。
急ぐばっかりで、こんなゆっくり、のんびりの旅路は許されない社会にどんどんなっていく。
ゆっくり、ゆっくりじゃダメなのかな・・・。

『木靴の樹』シナリオ(3)

2015年01月24日 22時39分03秒 | 映画『木靴の樹』
1990年公開映画パンフレット(フランス映画社発行)より引用します。


計量の日(朝)

 鐘の音。粒状のトウモロコシを袋詰めにするバティスティと、それを手伝うミネク。

バティステイ
「しっかりもて、ひろげてはしっこを持つんだよ」

 袋を荷馬車に積み、ミネクも荷台に乗せると、バティスティは馬に話しかけて出発し、石門を出る。アンセルモ爺さんとペピーノ、フィナールと次男が続き、朝もやの中、3台は地主の屋敷へ向かう。幼いベッティーナやトゥーニまで馬車に乗せてとせがむ、にぎやかな朝。


地主の屋敷・2階
 地主が新しい蓄音器をいじっている。そこに管理人が入って来る。

管理人
「 とうもろこしの計量日です」

地主
 「お前がやれ。あとで勘定する。(使用人のローザに)家内に来るように言ってくれ」



地主の屋敷の庭
 農夫達が荷馬車で続々と集まって来る。


村道
 道すがら、フィナール親子が重量を増やすために、荷馬車に石ころを積み込む。

フィナール
「(次男に)早く!早くしろ、みつかる!」



地主の屋敷の庭

管理人
「次の者!早く!(フィナールの馬車がくる。)12と少々・・・13キンタル。(フィナール、ほっとする)袋をそこへ並べろ。もう少し前へ・・・前に出て袋をおろすんだ。鷲鳥みたいに歩くな。袋に気をつけろ、破けるぞ!」
 突然、2階の窓から朗々たるオペラ、モーツアルトの<ドン・ジョバンニ>の歌声が流れてくる。


地主の屋敷・2階
 地主が得意気に、妻に蓄音機を聴かせている。

地主の屋敷の庭
 農夫1「おい、なんだ」
 農夫2「静かに」
  全員が驚いてつっ立ったまま2階の窓をみつめ、歌声に聴き入っている。