たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

『レ・ミゼラブル』

2013年11月24日 22時47分33秒 | ミュージカル・舞台・映画
(地方公演を経て)人間として成長した姿で11月の帝国劇場に戻ってくる。
カンパニー一人一人がきっとみんな同じことを思っている。

プロローグ バルジャンが囚人から市長になって工場に登場するまでの展開が早くてよくわからないのは演出家の意図。最後でああこういうことだったのかと観客が振り返ってくれればいい。

このプロローグの場面、囚人から市長になって登場するまで2分40秒の早替わり。メイクも汚しも落としてし直すので、マネージャーに靴をはかせてもらい、衣装を着せてもらわないと間に合わない。

バリケード戦のあと、下水道でバルジャンとジャベールが出会う場面。演じる人にまかされているところで、吉原さんジャベールは(バルジャンの姿をさがし求めて)駆け込んで行く。
ジャベール役4人それぞれ。


以上は、朝日カルチャーセンターでの川口さん、吉原さんのお話からのメモ書きでした。

原作を読んでいないので私自身のために、無料配付されたコミックのお試し読み小冊子(新井隆広;漫画、豊島与志雄:翻訳・岩波文庫刊)と2011年のプログラムを参照しながら復習と予習です。


「地上に無知と悲惨がはびこる限り、この物語は光輝を放ち、我らに問いかけ続ける。

1795年 フランス・ブリー地方 ファヴロール

この時代、フランス国民は三つの身分に分けられていた。
免税など多くの特権を持ち豊かな聖職者と貴族。特権を持たず重税に苦しむ貧しき平民。
翼を与えられた者は空を飛び、与えられなかった者は地を這う。
18世紀末フランス。それは“生まれ”が全てを決定する社会。

かの英雄ナポレオンですら覆せなかった運命。
彼の名はジャン・バルジャン。
ナポレオンと同じ1769年生まれ。貧しき枝切り職人の家に生まれた男。


富める者はさらに富み、貧しき者はさらに窮す。
ただ貴族に生まれただけで、何不自由なく暮らし、明け方まで舞踏や賭け事に興じるなか、
俺は・・・、俺たち家族は・・・ただ平民に生まれただけで、飢えと困窮に苦しんでいる。

パンだ。パンがあれば・・・ひとつでいい・・・子供たちは飢えをしのげる。
今夜だけでもパンを・・・。
子供たちのために・・・・。


冬、仕事を失ったバルジャンは姉と姉の7人の子供たちを救うために教会前の広場にあるモーベル・イザホーのパン屋の窓ガラスを割り、パンを盗む。5年の懲役刑。囚人番号24601号。


1796年4月22日 パリ郊外の刑務所でバルジャンは首を鎖に繋がれる。27日間の旅のはて、南フランスのツーロンの徒刑場に到着する。

1799年末服役4年目、7人いた姉の子が1人になったことを知ったバルジャン、一度目の脱獄、脱獄の罪により刑期は3年延長される。


1801年服役6年目、再び脱獄。造船場にて潜伏のち発見、その際に抵抗。5年の増刑に加え、そのうち2年を二重鉄鎖の刑とする。

1806年服役10年目、脱獄未遂により増刑3年。

1809年服役13年目、脱獄4時間後発見。増刑3年。


確かに、俺は己を潔白な者とは決して思わない。
責められるべきひどい行いをした。
しかし俺が犯した罪に対し、あまりに罰が酷過ぎはしないか。
パン1個を盗んだ罪は、7人の子の命が左右される罰に値するのか。
俺は働きたかった。
しかし、労働者たる自分に仕事は与えられなかった。
社会が、飢える労働者に仕事を与えないのが罪ではないのか。
答えはない。
”彼ら”は自らの足元にある、堕ちた者の存在に関心は払わない。
堕ちた者たちに、人類社会の全重量が押しかぶさっていることを想像だにしない。
見捨てられたのだ、たった一度のあやまちで。
それは不条理で、酷薄な裁き。


1815年10月初め仮釈放されたバルジャン(46歳)。ツーロンから4日歩いてディーニュの町に現われる。目的地はポンタルリエ。


人間の宿業を背負いし男、ジャン・バルジャンの物語が始まる。」


こうしてあらためて読んでみるとすごい物語ですね。
コミック本には19年間で負のエネルギーをためこんだバルジャンの姿がリアルに描かれています。
舞台の物語はバルジャンの仮釈放から始まっていきます。
これをミュージカルにしようとした発想が本当にすごいです。


「冒頭のバルジャンは、ものすごく獰猛なエネルギーを持っています。のちにミリエル司教によってネガティブからポジティブに転化され、真人間として生き直そうとするバルジャンですけど、基本的には19年間の牢獄での負のエネルギーを最後まで持ち続けているという演出です」(『月刊ミュージカル』12月号より)

バルジャンが着ている黄色と赤の上着は史実に基づくもので窃盗犯だと示す上っ張りだそうです。


長くなりました。切りがないのでここでおしまいにします。
ここまでおつき合いくださり、ありがとうございました。