教育とカウンセリング①②講義メモ
2004年6月12日(土)教育とカウンセリング①②-補足
ユングは、フロイトから決別して独自の理論と治療法を発展させていったが、その人格理論の体系には、ペルソナ、自我、個人的無意識、集合無意識(普遍的無意識)が含まれる。
とくに無意識な意を個人的・集合的な二層に分けてとらえたことは、大きな特徴である。
個人的無意識は、かなりフロイトに近いとらえ方がなされているが、心的内容の複合体(コンプレックス)が重視されている。一方、集合無意識は、祖先から受け継がれてきた潜在的記憶を内容とする。それは個人的なものではなく、民族、人類、さらには動物にさえ普遍的なものであり、いわゆる原始類型としてあらわれる。
自我は意識の中心に位置し、一個の人格としての安定性と統合性を保つ働きをしているが、これに対して集合無意識までも含めた全体療育の中心をなすものが自己である。自我は影やアニマ(男性がもつ女性像)、アニムス(女性のもつ男性像)等の原始類型までも含めた自己の統合を志向するものであり、ユングはこのような自己の統合を獲得していく過程を己性化、あるいは自己実現と呼び、人生の目標と見なしている。
(放送大学教材『心理学入門』)
自己(self)
自我が人間の行動や意識の主体としてあるのに比して、客体としての自我を自己と呼ぶのが一般的である。「認知された自己」「経験された自己」というように、自己概念と呼び、治療における重要な概念としているものも含む。いずれにしても、学説によって概念規定が異なるが、発達的には自分を人的・物的環境から区別するようになるにつれて、自己という概念が形成され、意識されるようになる。
(有斐閣『心理学小辞典』
コンプレックス(complex)
ユングの造語。感情複合体とも訳す。
無意識にはある一定の情動を伴う心的要素のまとまりが存在し、それが意識とは分離した形でそれなりに自律的に機能している。そして、それがときおり意識に突出して人間にさまざまの影響を及ぼす。
(有斐閣『心理学小辞典』
ペルソナ(persona)
ユングの用語。人と関わる部分の原型→シャドー
意識の核ともいえる自我が対社会的関係のうちに発展させるものをペルソナと呼び、これが内面的な「こころの像」であるアニマ(アニムス)と相補的な関係をもうと考えた。
(有斐閣『心理学小辞典』