たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

雪組『フォルティッシッシモ』『シルクロード』

2021年01月03日 17時02分17秒 | 宝塚






















明日から現実なので今のうちに少し備忘録。
1月2日(土)15時30分~、1階席後方、全体がよくみえました。
2,550席の宝塚大劇場、広い。

始まったばかりなのでネタバレになるかもしれません。
アクセス多いブログではないですが一応前置き・・・。

『フォルティッシッシモ』

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン;1770年12月16日頃- 1827年3月26日

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト :1756年1月27日 - 1791年12月5日

ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ:1749年8月28日 - 1832年3月22日

ナポレオン・ボナパルト:1769年8月15日 - 1821年5月5日


 抽象的な世界なので史実を知らない方がいいかもしれませんがわたしは整理したくなってウィキペディアで調べてみました。この物語の中ではすでに死せる作曲家として登場するモーツァルト、ルートヴィヒの言葉に、音楽は王侯貴族のためのものではないというものがあったと思います。観劇しながら、ミュージカル『モーツァルト』で二幕にパトロンだったコロレド大司教のもとを離れたヴォルフガングが、大衆のための音楽「魔笛」を完成させ、自ら指揮をして拍手喝さいをあびる場面があったことを思い出していました。ルートヴィヒはヴォルフガングより少しあとですね。ゲーテもナポレオンをあくまでもこの物語の中の登場人物、サリエリも。皇帝フランツ1世は、『エリザベート』のフランツ・ヨーゼフ1世(1830-1916年)ではなく、その妻もルドルフもあくまでも抽象的な存在なのかな。時間の行き来がけっこう多くて場面がとぶのでおのずと集中していました。ここはルートヴィヒの子供時代、ここは青年時代、恋人だったロールヘンの少女時代とついていくことができていたと思います。謎の女がトートみたいで面白い存在。まさかの笑いが起こる場面もありました。難聴となったルートヴィヒに彼女の声だけは聴こえる。陰のようにつきまとい現れるその存在は「不幸」でした。演ずる真彩希帆ちゃんの歌がたっぷり、歌うまだいきほコンビの退団公演が生演奏でないのが残念すぎますが、ルートヴィヒの指揮で演奏する抽象的な楽団員たちがオーケストラボックスで演奏するのは逆手にとった演出。物語に深みがましていると思いました。雪組屈指のダンサー、竿乃茅桜(しょうのちほ)さんの、ルートヴィヒが再び生きようと誓う場面のダンスが特に素晴らしいことも忘れず今書いておきたい。

 1時間半ではなくもう少し長い上演時間でやれるとよかったのかもしれません。次にショーがひかえる大劇場公演のむずかしいところ。一回だけでは理解しづらいところがあり、ライブビューイングの時にはもう少し面白さがわかるかな。ウエクミ先生らしい、意表をついた演出で抽象的な世界をうまくまとめ上げていると思いました。生きることは苦しみ、逃れるには死ぬしかない、人生に絶望したルートヴィヒが最後に書き上げたのは日本の年末によく演奏される「歓喜の歌」、ウエクミ先生の生への賛歌、そして明日への希望を託した終わり方だと思いました。さりげなく、だいきほコンビが大劇場に、観客に、雪組にお別れできるようにつくられているとわたしは感じました。のぞコンでピアノの腕前を披露した望海風斗さん、ルートヴィヒがピアノの弾く場面がなんどかありましたが、ほんとうに演奏していたのかな。「月光」も流れて月組からつながっていると嬉しくなりました。宝塚はひとつ。

「ベートーヴェンはおそらく、生きる苦しみを最後には受け入れたのでしょうが、そこにいたるまでは全力でもがき、抗い、あらゆる辛苦に対して最後まで強靭に立ち向かい続けたことを、忘れたくないと思います。」(作・演出、上田久美子)






『シルクロード』

 初めての海外渡航が、1991年春シルクロード天山南路をバスで走る旅だったので、舞台を観ながらカシュガルのバザールの光景などなつかしく思い出しました。これもほんとうにもう人生で訪れることはないシルクロード、今はどうなっていることかと心配な新疆ウイグル自治区へしばしタイムスリップしたような気分にさせてもらいました。その昔NHKの「シルクロード」、アニメ「マルコポーロの冒険」にもあこがれたので盗賊の場面などうれしかったです。歌詞のとおり、シルクロードは、涯てしなく砂、砂、砂が続く大平原。トルファン、コルラ、クチャ、アスクは文字通り緑のあるオアシス、カシュガルの遥か山の向こうはパキスタン、大陸を体で感じた旅を思い出しました。

 次期トップコンビ、彩風咲奈さんと朝月希和ちゃんのデュエットダンスがさりげなくもりこまれていました。青いバラを手に踊る望海風斗さんが彩風咲奈さんにバラを渡す場面、渡された薔薇を手に男役をしたがえて咲ちゃんが踊る場面、彩凪翔さんを中心とした退団者を主とした場面もあり、光あふれる新たな道へといったメッセージに、希望コンビの船出作品を送り届けた生田先生の雪組への愛を感じました。いずれの場面もいかにも的ではなくさりげなく、ショーの流れとしてあるのがよかったと思います。

 フィナーレの、のぞ様を囲む青いドレスの娘役さん群舞から、キラキラなしの男役燕尾服の群舞、そしてだいきほコンビが互いをねぎらいあい、いつくしみあいながら真っ白にキラキラ衣装で踊るデュエットダンスへの流れは羽山紀代美さん振付。これぞ宝塚、素敵でした。トップと二番手、三番手までがキラキラではなく、生地がしっかりしたシンプルな燕尾服、白いベストがすごく素敵、男役のカッコよさがより引き立つと思いました。

「人は何を遺すのか?

 憧れから憧れへ。思いから思いへ。世襲のない宝塚歌劇団はそうして続いてきた、のだと思う。
憧れて、歩み始めた道。そしてまた新たな旅へ。」(作・演出、生田大和)

壁掛け写真、何枚撮ってもうまくなくて雰囲気だけ。









































 
のぞコンでパロディにしていたゆきぐみびんぼうどころか、衣装代、かかっているだろうなと思いました。新幹線で往復しながら歌劇の殿堂に入ることはできませんでしたがだいきほコンビの卒業を劇場で見届けました。のぞコンの時また劇場で会えるとは思いませんでした。これがほんとに最後だったでしょう。あとはライブビューイング、どうか無事に上演が続いていきますように・・・。

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