行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

「沈まぬ太陽」を見て2つのことを思った

2009-11-18 22:35:11 | Weblog
途中10分間の休憩がある長編であるが見終わっても中途半端な気分であった。国策会社の悲劇はよく判ったが、要するに言わんとするところがはっきりしないのだ。JALが置かれている現在の悲劇のルーツということで見るのが妥当だろう。見ながら二つの感想を持った。

一つは、民営化以前のJALの経営は政権与党や運輸官僚に左右され、時の権力者や官僚の意向でトップが交替する様は今の日本郵政(株)を思いおこさせた。小泉首相時代にトップになり民営化を指揮してきた西川社長は民主党との連立与党であり、小泉首相の政敵であった亀井国民新党党首によって交替させられ、トップは官僚出身で占められた。このあたりは沈まぬ太陽を地で行っている。

もう一つの感想は、主人公の恩地だけでなくJAL全体の社風が途上国への転勤が左遷ということで固まっていたかのように描かれている。現在のグローバル企業では考えられない。もしそのような社風であれば経営は成り立たない。これからの飯の種は新興国ということが明らかになってきている今日、航空会社でも、発展地域は中国、アジア、中近東など新興国だ。JALの社風がこの映画のとおりであるとすれば、キャセイやシンガポール航空に遅れをとった原因がわかったような気がした。

現実のJALはいよいよ正念場だ。問題の企業年金基金だが、年金生活者として企業年金を減額されるのは大変ことは判るが、現役共々痛みを分かつことで再建も国民から支持されるだろう。JALで海外旅行した多くの日本人にとって、かつてのパンナムみたいに消えて欲しくない。私も1973年石油危機の中、初めての欧州行きでJAL南回りでローマへ飛んだ。空の貴婦人と呼ばれたDC-8機での30時間の旅は最も印象深い思い出で、フラッグシップはよみがえって欲しい。
コメント
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