リーマンショック以来財政が悪化した米国地方自治体では公務員の年金カットに踏み込みはじめた。まさに貧すれば鈍ずるで、警官や消防士の組合は反発をしている。私の友人達は定年退職してフロリダに移住し、ハッピーリタイアメントを楽しみにしていたがいまやそれも危うい。
カリフォルニア州、サンジェゴとサンホセで地方公務員の年金カットについての住民投票が行われたが圧倒的多数で可決された。GMが倒産し、レガシーコストとして年金が問題となり再建策としてカットされたことは記憶に新しいが、公務員の年金は多くの法律で守られているため、労組は法廷闘争に持ち込むことは確実だ。
サンジェゴでは節約するため、各地域の消防署をローテションを組んで閉鎖したり、サンホセでは四つの新図書館は建設したけどオープンしないといったことを実行して年金財源をひねり出そうと努力している。
しかし、他の地方自治体も年金コストが膨らむことに四苦八苦している。その原因は株式ブームの時、資産運用収益が大きく、年金を手厚くしてしまったからで、その後の運用益はマイナスとなっている。民主党のブラウンカリフォルニア知事は「このカリフォルニアの事例はこれから年金改革の嚆矢となる」と言明している。
民主党のエマヌエルシカゴ市長も退職者に適用していた生活費自動調整の中止を実行しようとしているし、イリノイ州知事も何とか退職者の年金カットが法的に出来ないか州議会議員と議論をしている。