資本主義の健全な発展・維持には健全な(Justes)企業の存在が必要だ。インドや中国の経済が今苦しんでいて成長が壁に突き当たっているのは政府官僚と企業の腐敗した関係が要因の一つだ。日本では企業を指導しなければいけない大手証券会社のインサイダー取引が何度も起こり、資本主義の基本である株式市場は危機に陥ろうとしている。市場の大半を占める外国の株主は逃げだし、これは日本の資本主義の危機だが金融庁を始め、証券業界は呑気に構えている。
一方、株主総会の報道を見ても、日本の株主は銀行や企業が大半を占め、一般株主の利害には疎い、いや利害に反する会社側提案を唯々諾々と決めている。
電力会社の株主総会を見ても、原発事故で企業価値が減り、東電の株価などは事故前の2000円台から今や150円になっているにも拘わらず何故そうなったかを反省せずに原発再稼働を第一義とする経営方針だ。大株主の銀行はこれからの原発稼働リスクより、当面の燃料代負担増による企業利益の圧迫を恐れているのだろう。
関西電力では大阪市や神戸市などが脱原発路線を提案したがいずれも否決された。今の状況から神戸市、京都市の共同提案した「原発に依存しない電力供給体制の構築を求める」という内容は大阪市単独提案の「可及的速やかな全原発の廃止」に比べれば常識的であり、受け入れ可能なものだが、それも否決した。関電の原発は老朽化しており、今後電力の供給をどうするのか住民は不安を払拭できない。
ソニーについては開いた口がふさがらない。大赤字で株価が暴落しているのにストリンガー会長に4億円も報酬を払うとは、まともな企業ではない。ここも一般株主の声が機関株主に押し切られた図式だ。