今日、甘利大臣は記者会見で「自分自身なんら恥じることはしていなくても、国民の政治不信を秘書のせいと責任転嫁することはできない」とも指摘。「私の政治家としての美学、生きざまに反する」と述べ、辞任した。どんなかっこいいことを言っても独立行政法人都市再生機構(UR)の補償交渉に関して、建設会社から口利きを依頼され、その謝礼として二回に渡って現金100万円を受け取っていたことは「政治資金規正法違反」「あっせん利得処罰法違反」の疑いで追求される。
そもそも、URの事案が何故政治家に賄賂がわたるのか?政治家が行政(今回の場合は国土交通省)に圧力をかけられるからなのだ。日本の欠陥は役人が政治家と接触できるから利権が生まれる。英国のように役人と政治家の接触が禁止されればこういったことは起こらない。大物政治家となると秘書の影響力も巨大化し、政治家本人より力が強くなることがある。
もう一つ、今回のケースではURが民間企業であれば当然起きなかった。公務員改革だとか岩盤規制打破とか政治家は言っているがこれまでの民営化で役人の頑張り(天下り確保のため)でURは民営化からのがれてきた。かつて住宅不足の時はUR(かつては住宅公団とか供給公社)の役割は大きかった。私が35年前最初に供給公社のマンションを買った時は、10倍の高い競争率だった。場所も選べず買わざるを得なかった。
今は人口が減少傾向にある中で、賃貸住宅の空室率は日本の人口がピークだった2008年の空室率は18.8%、この時点で、アメリカの10.8%、イギリスの9.3%と比較しても高い数値だが、2010年になると日本の空室率は23.07%とアップしている。首都圏のアパート・マンション空室率は東京都16.5%、神奈川県19.25%、埼玉県22.44%、千葉県25.84%、栃木県32.01%、群馬県32.58%と住宅はだぶついている。URの存続理由はなくなっているのだ。URは国土交通省からの出向者で役員は構成されている(天下り批判をのがれるために出向というかたちにしている)。そこに公務員改革を遅らせるため政治家の意向を斟酌しなければならない役人の事情があり、利権が生まれる。