サウジアラビアの激しい行動は何故なのか、ほんのちょっと前まで中東動乱だと、ホルムズ海峡封鎖が連想され、石油価格が急騰した。イランの国際復帰によるのか昨今の中東動乱が石油価格を下げている。サウジはシーア派の宗教指導者を処刑し、イエーメンでは激しい空爆を反政府軍だけでなく病院まで爆撃している。国王が替わったからなのか、遠い日本にいると理解しがたい。
ただ、この背景には石油という重要資源が絡んでいることは間違いない。昨年の石油価格急落は中東産油国に5000億ドル(約60兆円)の損害をもたらした。逆に言うとその分日本をはじめ石油輸入国へ富の移転があったことだ。この結果世界で最も富んだサウジでも財政に大きな負担を負ってしまった。サウジはこの現代では珍しく王政の国、民主主義とは全く縁のない国で、豊かさで何とか国を維持してきたわけだから国家存亡の危機といってもいいだろう。
絶対王政を嫌う米国も、ダブルスタンダードという非難を飲み込んでサウジ王政を支えてきたが、この3年くらいで、シェールオイルやガスの生産が急増し、サウジを上回る世界一の産油国になったという歴史的な変化が生じた。そして米国は中東の石油がなくても国家安全保障が維持できるということになった。米国の関心は中東離れし、イラク、アフガンから撤退し、イランとの関係修復に動いた。
イエーメン内戦でサウジとイランは政府、反政府で闘っているわけで、サウジとしては何としても米国を巻きこみ、イラン経済制裁に巻き戻したいことだろう。日本のマスコミはどっちに付くかなどと呑気なことを云っているが最大の石油輸入先サウジが崩壊したらどうするのか準備しておくべきだろう。