自民党内のリベラル派で中心的な存在だった加藤紘一氏の死去を惜しむ声が10日、政界から相次いで上がったとの報道、それは今の安部政治と対極にあったからだろう。加藤紘一氏は私が専務理事を務めていた国際労働財団(JILAF)の設立に尽力されたと聞いていたので、勉強会などにお招きして、お話を何回か伺った。生真面目で率直な物言いをされ、好感を持たれる政治家との印象が残っている。
勉強会でのお話しは多分時々の話題だったと思うがだいぶ前のことで思い出せない。しかし、会が終わった後一杯やりながら故郷鶴岡のことをよく話され、訃報を聞いた時、そのことは思い出した。特に藤沢周平の小説の舞台海坂藩はわが庄内藩のことで映画の撮影も鶴岡で行われたと説明された。私は藤沢ファンで小説も映画もテレビも見た作品「たそがれ清兵衛」「隠し剣鬼の爪」「武士の一分」「蝉しぐれ」など海坂藩での出来事だが、庄内藩でもそれに近いことがあったようだ。蝉しぐれのラストシーン、主人公が浜辺を乗馬で去っていくシーンは日本海のきれいな砂浜が印象的だ。
加藤紘一氏は庄内藩の藩主酒井氏は今でも家系が続いており、正月には必ずお殿様の屋敷にあいさつに行くと言っていた。調べてみると、庄内藩は幕府の親藩で、西郷隆盛率いる討幕軍と会津とともに戦ったが、後に恭順し、会津のごとくつぶされることなく、酒井家は明治政府より伯爵を賜り、健在しているとのこと。