ルセフ大統領が議会の弾劾裁判で失職した。国民が選んだ大統領を少数与党の議会が弾劾をしたが、どのような不正が大統領にあったのか明確に報道されないままだ。議会のクーデターという見方もでき、マスコミを含めた旧体制勢力が貧民や労働者といった下級勢力を駆逐した疑いがぬぐいきれない。ブリュッセルに本部があるITUC(国際労働組合総連合)は次のように大統領を弾劾して自ら大統領になったテメル新大統領を非難している。
腐敗した議会によってジルマ・ルセフ大統領は弾劾され、これから企業の貪欲さが表に出て来ることを危惧する。ルセフ大統領が停職中、あまり知られてないテメル副大統領が最初にやったことは女性や人種平等、人権を担当する閣僚の罷免、そして家内労働者への賃金・年金保障と不当解雇制限を盛り込んだ2014年労働法を覆したことだ。白人だけの内閣で予算削減計画を作成していた。
テメルと24人の閣僚の内15人は腐敗の疑惑で刑事告発に直面していた。ルセフ大統領はその腐敗調査を中止することを拒んでいた。
新政府による政府支出や社会保障支出の制限は貧民層の生活を直撃することになる。テメル新大統領は労働法の改定や、年金制度を停止すれば今後20年間耐乏生活を強いられる。ブラジルは政治危機に直面し、政府は大企業と腐敗した富裕層以外からは信を失う。石油価格の下落で始まった経済危機も解決できない。ブラジルの全ての労働組合は労働法を弱める動きに反対する。