1993年に始まった日本主導のアフリカ開発会議(TICAD)が初めてアフリカで開催された。この種の会議はODAつまり税金をどのように配分するかということを綺麗な宣言でまとめている。今回は民間企業の投資が重きをなしつつあるが、各国が狙うのはインフラ整備だろう。しかし、日本のこれまでのODAの効果をこの機会に国民にもっと知らしめる必要があるが、その努力が足りない。私のJILAF(国際労働財団)での援助経験では今回も謳われているが人材の教育が目立たないが最も効果がある。
アフリカ特にサハラ以南の諸国はかつて欧州各国の植民地で、独立したときには資源を掘った穴を残し、統治機構や人材育成はゼロ状態とアフリカの人々は嘆いていた。教師を教育し学校を創り、職業訓練を施し、技能技術レベルを上げることをしてこなかったために民間企業の投資はのぞめなかった訳だ。かつては穴ほりだけだったのが今では石油の井戸を掘ることに投資が集中され外国に富が逃げているナイジェリアのような例をなくすことが必要だろう。サウジの統治機構がすぐれているとは言いがたいが、同じ石油産出国でも王家がしっかりしてた故に国民は富の分配に預かり、豊かな生活を享受してきた。最近は弊害も出ていて、若者がサービス業など仕事のえり好みをするため、失業率は40%をこえると贅沢な悩みとなっている。
アフリカの最大の国、南アフリカは希望の星で、ODAやJILAFも含め、多くのNGOが支援を行ってきた。金やプラチナの鉱山開発、アフリカでは珍しく自動車組み立て産業、ワイナリーなどバランス良い産業の発展で1人当たり国民所得は1万ドルを超えた。しかし現場の労働者とエリート層との格差はかつての白人黒人の格差以上になってきている。政府の中心部にいるANC(アフリカ民族会議)やそれを支える労働組合の高級幹部など富裕層と3割近くの失業者との格差は大きく、アパルトヘイトはなくなったが教育格差から貧富の格差となり、マンデラが苦労して組織したANCも国民の信頼を失いつつある。
いずれにしろ課題は多く、ODAの使途など透明性をどう確保できるかだ。