行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

デフレ的春闘

2019-03-15 16:40:11 | 労働
13日に金属労協への回答が示され、今春闘の流れが判明した。一口で言うと3%にも達しない昨年マイナスαの回答で、マスコミ各社の反応は厳しい。日本の企業は450兆円とかつて無いほど内部留保を貯め込みながら、従業員への配分は渋かった。日本経済の永年の低成長は偏に実質賃金の低迷とその結果の個人消費の不振にあることは明らかで、殆ど労働組合の影響力が無い米国の最近の賃金増3.4%を見ても、日本の労働組合の力不足が目立つ。
 
最近では麻生財務大臣までが物価は2%上がらなくても良いと言いだしている。まさにデフレ的低成長を容認というか先進国の中で最低の成長を受け入れだした。今春闘の回答はそうした背景が色濃く反映された結果ではないかと思う。今や日本は格差社会、大企業の賃金が低迷している中、欧州のように最低賃金を5%ぐらい引き上げる政策を採るべきだ。
 
労働組合の委員長は最近賃金アップより生産性向上を言いだしている。高齢化社会では生産性向上がない以上成長はプラスにならない。正論を言っていると思うが、具体的にどうするか連合を中心に労働改革と共に提案する必要がある。1980年代エレクトロニクス革命の折には、大企業での工場をストップしてまで従業員教育を行い見事乗りきった。国からの各種支援もあったが主体は各企業であった。公的職業訓練は技術革新に対応できず役に立たなかった。
 
これからのAIやブロックチェーンなどに対応する人材をどう育成するか、転換教育をどうするか、連合をはじめ労働組合はドイツの職業訓練制度をはじめ欧州の具体的制度を研究し、政府に要求すべきだ。企業は貯め込むばかりで当てにならない。米国では貯め込んだ金を自社株買いなどに集中し、大問題となっている。
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