春場所、千秋楽大関陥落をかける栃ノ心と大関を賭けた一番で得意の一直線押し相撲で勝ち、貴景勝は大関を掴んだ。身長175cm、体重170kgと、私の記憶ではこれまでの大関の中で一番小柄だと思う。入門当初、現在と変わらず小柄で、碧山の腕の太さや栃ノ心の太ももの太さを見て、大相撲では戦っていけないと自信を喪失し、周囲も予想では関取は無理だと見ていた。運命というかその栃ノ心を一方的にやぶって大関を掴んだ。
この新大関の特異はところは、馬車道を走る押し相撲一本だけという点だ。逆に言えば、まわしをつかまれた四つ相撲に弱点がある。押し相撲だけで大関になった力士はこれまでにいない。もちろん押して隙があれば叩く、引くことも2割ぐらいはあるのではないか。それにしても相手を観察しながら突き、押しをし、機を見て叩くという技能にはかなりの身体能力が備わっていると見て良い。
今日のインタビューでは、早くも横綱を狙うと言っている。四つ相撲が弱くて横綱になった例はない。突き押しだけで横綱になれば歴史的なことだ。四つ相撲を鍛えるより、突き押しに磨きをかけて、当に押しの一手で横綱になってもらいたい。前回ブログで触れたイチロー選手と共通しているのは、栄養学を学び参考にしながら食生活をおくっているとのことだ。怪我の多い大相撲で、飲食を研究し、身体を鍛えてもらいたい。楽しみな力士が誕生した。