ニューヨークのアマゾン物流拠点で同社初の労組が1日結成された。米国の場合、国の労働関係委員会の管轄下で投票により過半数が賛成すると労組が結成される。労使双方が従業員に対し働きかけができ、経営者側も個々の従業員に手紙やメールで運動できる。
これまでも労組結成に対し、厚遇を訴え、労組の結成を阻んできたが、今回はこれまでと状況が違う。労組は18ドル(2160円)の最低賃金を30ドル(3600円)に引き上げる要求を掲げた。1000円前後の日本の最賃に比し現状でも倍近くの厚遇だが米国の労働事情はそれを許さない。
3月の米国雇用統計では失業率は3.6%と2月(3.8%)から低下し、市場予想(3.7%)も下回った。平均時給は前年同月比では5.1%増、週平均労働時間は34.7時間に増えた。一方、2月の消費者物価指数(CPI)の上昇率は前年同月比7.9%、変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は同6.4%となった。特に家庭用食品が8.6%上昇と大きく伸び、ガソリンは38.0%に急騰している。
つまり、人手不足で労働時間が長くなり不満が溜まるが、時給の伸びは物価に追いつけない状態なのだ。特に生活に直結する日々の食料品の上昇、公共交通機関が貧弱で車が必要不可欠の中、ガソリン代の急騰はまさに生活危機となっている。
スタバでは昨年12月にニューヨークで初めて労組が結成され、その後、4州10店舗に拡大、28州181店舗で労組結成を問う投票を労使関係委員会に申請している。スタバは労組結成を阻止すべく最低でも15ドル、平均で17ドルへ時給引き上げを実施すると訴えたが、人手不足による労働強化への不満は高まっている。