電機連合の前組織内議員の矢田わかこ氏(パナソニック労組)を岸田首相が補佐官に任命するというニュース、国民民主党との連立を狙っているなど政治的な動きが取り沙汰されているが、雇用・賃金担当補佐官として労働組合運動の経験を活かし直接首相に補佐できることは凄いことだ。
かつて私の電機連合や金属労協での大きな仕事は自公政権に対して雇用や社会保障等の政策要求をすることだった。産業政策などは通産大臣、雇用問題は労働大臣との懇談会を持てた。しかし、景気対策など大きな問題についての要請はせいぜい官邸での官房長官への申し入れぐらいで、時の首相との会合は困難だった。逆に消費税の導入,労働者派遣事業法の導入や確定拠出年金の導入に対して担当省庁から協力を要請されたこともあった。
岸田首相はかねてから、賃金の引き上げが日本経済にとって最重要課題との認識を示し、27日の経済対策でも中小企業の賃上げ促進策を発表している。長い間のデフレを脱却するには政労使が知恵を出し合い、国民の可処分所得をどうしたら増やせるかが大きな課題だ。こうした状況の中で矢田わかこ首相補佐官の役割は大きい。労働組合の要請行動以上に直接首相を動かせる。大いに期待したい。