行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

ルネサス社長の認識不足に驚く

2024-03-28 15:19:19 | 労働
今時こんなことを株主総会で公言する経営者がいるとは驚いた。
ルネサスエレクトロニクスの柴田英利社長は26日、日本の賃上げが画一的だとして苦言を呈した。「日本企業は『グローバル』と言う割に、賃上げの議論だけはすごくローカルだ」と指摘。「何年か後には日本企業の発想が変わると期待し、ルネサスが日本を誘導することに貢献したい」とし、古い慣習を見直して国際競争力を高めるべきだと訴えた。
柴田氏は「ベースアップなど日本以外ではほぼ聞かない。海外では事業環境が軟調な中で賃上げを実施することは考えられない」と述べた。
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日本の企業は長い間、賃金引き上げについては定期昇給とベースアップで対応してきたが、欧米の企業は定期昇給というのは無く、ジョブ対応の賃金なので賃上げはジョブが変わるか、あとは全てベースアップとなる。この30年間、日本企業はほとんど定期昇給のみの対応で、G7で見ると、グラフのように他国はきちんと毎年ベースアップをしてきたので日本の労働者は企業の業績に較べ割を食らってきた。それが日本のデフレ経済脱却ができなかった原因で、本年30年ぶりで政労使呼吸あわせで遅まきながら大幅ベースアップが実現した。


賃上げが画一的という指摘もおかしい。同一労働同一賃金というのが欧米をはじめ先進国の労働組合の目標で、賃上げもそれを目標とした画一的なものが理想だ。人間が生活していくためには最低賃金も画一的に決められなければならない。ドイツ等では地域での賃金が労働協約により画一的に決められているケースも有り、毎年の賃上げも画一的だ。

日本には欧米企業とは違い、年間のボーナス制度が歴史的にあり、企業経営者は業績に応じて従業員に報いており、自動車産業では6ヶ月~7ヶ月支給されている。この部分こそ画一的で無い部分であり、欧米企業と違うところだ。

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