行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

カンボジャ、ミャンマー労使紛争防止セミナー

2018-08-10 22:52:23 | 労働
国際労働財団主催のセミナーに招かれ、今、日系企業が最も注目している2カ国の労使の生の声を聞いた。詳細は国際労働財団がいずれホームページで報告すると思うので、私なりの感想を述べてみる。
カンボジャは既に繊維産業のサプライチェーンとして国際有名ブランドが活動しているが、ミャンマーはこれからで日本を含めてグローバル企業の投資の伸び率はアジアではトップクラスだ。
 
カンボジャは伝統ある労組組織もあり、労使間での紛争も経験してきており、この数年、ようやく労働法、労働組合法の理解が進み、2017年に受理した紛争事件は50件に留まった。2016年に出来た労働組合法も労使関係が良い方向に向かう切っ掛けのようだ。また、カンボジャでの大きな紛争の種は最低賃金にあった。2014年の治安部隊出動による流血事件が起きた。政府はその後、2015年より、 月128ドル→140ドル→153ドル今年は160ドルと改善してきたことも良い雰囲気作りとなった。
 
ミャンマーは民主的組合組織(CTM)ができたのが2014年であり、歴史も浅く、労使関係は手探りの状態であった。2012年に労使紛争解決法ができ、争議に入る前に仲裁委員会が4段階にわたってそれぞれあり、企業内協議会から地域の仲裁委員会、そこでも解決しないときには争議行為となるが、最終段階の中央仲裁委員会での裁定が出たら労使は従わなくてはならない。おかげでストライキは紛争解決法ができる前は300から400件だったのが10分の一になった。しかし、労組が組織してない企業では不当解雇や賃金の不払いが原因で自然発生的にストライキが発生する。これを山猫ストと呼んでいるが日本では戦後の食糧不足の時によく起きた。これは暴力が伴い解決が難しく、労組の中央組織が介入し、地道に組合を組織して行くことが重要だ。
 
日系企業の代表でイオンの人事担当がマレーシア、カンボジャ、ミャンマーの事業展開(モール)での、事例を紹介した。現地企業建設と並行して、従業員教育だけでなく、イオン労組との連携でグローバルユニオンの協力も得て組合作りを入念に行った結果、開店から良好な労使関係を築いている。労組ということも解らない途上国ではこうした努力が必要だと感じた。

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