行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

狐の狩人が実は本物の狐だった

2016-04-12 18:36:31 | Weblog
ネット社会らしく大量の文書がパナマの法律事務所から流失した。文書の量が2.6テラバイト、ペーパーにすると1150万件というが、このパナマ文書は歴史的な衝撃をもたらすかもしれない。この法律事務所はタックスヘイブンといわれるバージン諸島などにオフショアカンパニーを設立することをもっぱら生業としていた。何千という会社を立ち上げ、各国首脳や関係者、大銀行、大企業、富裕層から手数料を得ていた。これらの会社はもっぱら税逃れのための資金を滞留したり、マネーロンダリングに利用されていた。そして怪しげな各国首脳の関係者が絡んでいることが徐々に明らかになり、アイスランドの首相は辞任に追い込まれた。昨日今日ではキャメロン英国首相がかつてオフショアカンパニーを利用して株を売却したとのことで苦境に陥っている。
 
この法律事務所の40%は中国人向けサービスで、香港に拠点を設けている。中国から外貨を持ち出すのは容易ではないから、もっぱら香港経由を利用したのだろう。これまで中国は狐狩りと称して、汚職で不正に得た金を外国に持ち逃げした有力幹部を摘発してきた。ところが今回のパナマ文書には習近平主席の義兄や常務委員2名、李鵬元首相の親族などがタックスヘイブンでオフショア企業を経営していたことが明らかにされた。ロシアプーチン大統領も、これまで大企業幹部がタックスヘイブンに資金を移すことを厳禁してきたが、親友のチェロリストが巨額の資金を運用しているとの名前が入っている。汚職撲滅を売りにして当選したマクリ・アルゼンチン大統領もオフショアを利用していることが判った。つまりパナマ文書は脱税や汚職を追及してきた張本人達がオフショアを利用していたことを明らかにしている。
 
中国などは一切このパナマ文書について報道を禁じ、NHKの海外放送も消されている。しかし、ネットでリークされたということは時間が経つにつれて、ネットで拡がるだろう。中国人を1人も海外に出さないなどということは不可能であり、中国最高幹部(常務委員)の狐狩りの対象は自分たちだと気づくことになろう。
今回のパナマ文書の特色は、膨大なデータなので解析には時間がかかることから、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)400人によって解析がされたことで、今後徐々に明らかになりその都度公開される。日本では朝日と共同通信が参加しており、政府は静観せず、オフショア企業で何が起きたのかしっかり調査してほしい。

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