カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

憔悴

2017-01-20 23:56:56 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『遺跡』を舞台に、『愛憎』と『火』と『窓』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。
  
 壁に鎖に繋がれ傍らの蒸気犬に爪と牙、それに吠え声によって絶えず脅かされ続けていたらしいアイツは俺の姿を見ても暫く反応しなかった。だから御嶽丸で蒸気犬を威嚇しながら思い切り大きな声で名を呼ぶと、ようやく気付いたように先生と掠れた声で呻く。怒りで表情をなくした俺に奴はこの子もボク達の物語には大切な駒だからねと嗤った。
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断絶

2017-01-19 21:48:57 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『荒野』を舞台に、『帽子』と『笑顔』と『運河』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 貴様の目的は何だと俺が叫ぶと奴は極めて心外そうに、だから言っただろう、君と僕が帝都を舞台に華々しく戦うんだ、そしていずれ蒸気魔人と名探偵の物語は伝説となるのさと答えた。この時点で俺は奴が完璧に俺とは違った世界に生きているのだと見切りを付けざるを得なない。俺は別に伝説を打ち立てたくて探偵をやっている訳では無いのだから。それに、そんな逝かれた世界にアイツを巻き込む訳にはいかない、絶対にだ。
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案内

2017-01-18 20:14:11 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『路面電車』を舞台に、『靴底』と『ペン』と『沸騰』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 その不愉快な笑顔を思い切り蹴り飛ばしてから靴底で踏みにじってやりたい衝動を何とか抑えつつ、アイツは何処にいると奴の襟首を掴んで激しく揺さぶると、奴は相変わらず大してダメージを受けた風も無く、知りたいなら案内するけど付いてくるかいと問うてきた。念のためにシャツで腕を縛ってから促すと、複雑な屋敷内の通路を迷い無く歩き出す。
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嘲笑

2017-01-17 21:04:48 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『殺人現場』を舞台に、『仇』と『釣り』と『反逆』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 自分で自分を焼かせた背中の傷を痛がる風も見せない奴に苛立ちと不気味さを感じながら、俺は奴を邪魔が入らない部屋に引きずり込んだ。扉の鍵を掛けてから長年の疑問、つまり何故俺の家族を殺したのかと奴に問う。すると奴は僕の人生を仕切り直そうとしただけだよ、君に邪魔されて実行が遅れたけどねと答え、俺が怒りのあまり銃を向けると、僕が今ここで死んだらあの子も死ぬよと囁いて嗤った。
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反撃

2017-01-16 23:08:47 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『猫カフェ』を舞台に、『渡り鳥』と『眼鏡』と『司書』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 俺の頬に鉤爪を当てた直後、いきなり部屋に飛び込んできて激しく吠え立ててきた蒸気犬の姿に奴は眉を顰める。そして吠えるのを止めろ黒雪丸と奴が命令するのと殆ど同時に俺は蒸気犬に向かって合図を送り、蒸気犬は迷わず奴に飛びかかって奴を引き倒す。そのまま俺を押さえていた男達に体当たりを仕掛ける蒸気犬御嶽丸。普段は猫好きの俺だが、こう言う時は蒸気犬の戦闘の雨量が頼もしい限りだ。
「お前がアイツを御岳丸そっくりの蒸気犬で騙したのなら、同じ手でお前を騙そうとする相手のことを想定するべきだったな!」
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創傷

2017-01-13 22:38:38 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『図書室』を舞台に、『自転車』と『楽譜』と『呼吸』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 だからきちんと準備をしないと、奴が笑顔のままそう続けると俺はいきなり現れた眼に光の無い男達に数人がかりで押さえ付けられ、無理矢理シャツを剥がされた。奴は露わになった背中の火傷を見ながら結構大きく跡が残っているねと呟いて自分もシャツを脱ぎ、傍らの男に暖炉の火掻き棒を取らせ、指示通りに自分の背中に押し付けさせる。更に肉の焼ける音と匂いに愕然とする俺に向かって鉤爪を向けてくると、今度は君の顔の傷だと笑った。
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幻想

2017-01-12 22:05:43 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『真冬』を舞台に、『靴紐』と『火』と『錯覚』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 どうしてコイツの笑顔は邪気も無いのにここまで冷たいのだろう。そんな事を考える俺の前で奴は笑顔を崩さぬまま、でも君が自分から来てくれて良かった、これで準備に取りかかれると言葉を続けた。何をするつもりだと尋ねると、君と僕以外は何も変わらないよ。そして名探偵と彼を助ける探偵助手、そして名探偵の宿敵である蒸気魔人は帝都を舞台に何度でも戦いを繰り広げるのさと言い切った。
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散華

2017-01-11 21:58:13 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『桜の下』を舞台に、『茶碗』と『水玉』と『独立』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 家の庭にあった桜が咲いて散るのを繰り返す中、奴はじわじわとアイツを支配しようとして、それは半ば成功した。もし俺が気付かずにいたら完全に成功しただろう。だがそれでも俺以外の家族は奴が危険だと声を張り上げる俺を柔らかく窘めながら奴を長い間信じ続け、特に姉夫婦は恐らく最期の最期まで奴を疑う事無く接し続け、最後には殺されてしまったのだ。
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物語

2017-01-10 23:55:31 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『本の中』を舞台に、『外套』と『縞模様』と『おでん』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 僕には小さい頃からささやかな夢があってね、そんな事を言いながら珈琲カップを片手に奴は微笑む。
 あの雨の日、両親に疎まれ俺の家に連れてこられた外套姿の奴は冷たい雨に濡れながら自らも両親を見限ることを誓い、代わりに俺の家庭に久遠の平穏を求めた。が、どうにも理想とは違うものを感じながら歳月は流れ俺の姉が結婚してアイツが生まれ、その時点で「仕切り直し」の必要を感じたと言う。
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突入

2017-01-09 23:42:45 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『坂道』を舞台に、『竜』と『斜面』と『キャベツ』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 なるべく気付かれずに行動したつもりだったが孤島上陸早々に一番警備が厳重な場所にぶち当たったらしく、あっさり発見された俺は奴の部下と思しき奇妙な程眼に光を感じられない連中によって奴の元に連れて行かれた。どうやら俺を待ち受けていたらしい奴は心から嬉しそうに俺を歓迎したが、アイツの事を訊ねると事も無げに謹慎中だよと答える。それよりお茶でもどうだいと笑う奴の誘いに俺は頷いてみせた。
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