カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

骨董品に関する物語・ヴィクトリア朝の印章

2020-10-17 18:00:31 | 突発お題
 優秀だった兄は錬金術師を目指して都で学んだが、結局故郷に戻って普通の会計士になった。それから常に持ち歩くようになった鎖付きの印章は卒業制作品だそうだが、夢が叶わなくても、それでも人生は続くと笑う兄が見せてくれたそれは、まるで涙を思わせる透明な石に小振りな字体で寂しげな言葉が刻んであった。
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