名探偵の解答その9・愛国無罪

街ではよく知られた探偵であるたかあきに、父親から『簡単な虐殺』事件解決の依頼が入りました。今回の事件は意外に難解のようです。

　絶縁して久しかった親父がいきなり事務所に訪ねて来て、かつての戦争中に起こった市民への虐殺について調べろと言われた。無視しても良かったが厳格な軍人である親父の闇を窺う事が出来そうだと調査を始めたら、信じ難い事実が明るみになると共に、想像もしていなかったとんでもない目に遭わされた。

骨董品に関する物語・FROM FRIEND（友人より）と刻まれた印章

　伯父は手紙を封緘する際、常に溶かした蝋を垂らした封筒に懐中時計の飾りを押し付けるのだが、私がやってみたいと言ってもこれは伯父さんの仕事だと触らせてもらえなかった。そんな伯父の手紙が嘗て死なせてしまった幼馴染の家族宛だと私が知ったのは大人になってからの話だ。

骨董品に関する物語・ブラッドストーン製の印章

　この印章は世界に二つしか存在しないと語った祖父は、同じものを見付けてきたものに自分の遺産を譲ると言い出した。親戚連中は必死に骨董品屋界隈を探し回ったが、僕は郊外の古い修道院を訪ねた。年老いだシスターは相続人として名乗り出るのを拒んだが、結局祖父の遺産は神の家の浄財となった。

骨董品に関する物語・鳥籠型の印章

　家族の反対を押し切って海軍に入隊した挙句、名誉の戦死を遂げた兄を葬儀の席で役立たずのライミーと罵っていた父が亡くなった。遺品を整理していると鳥籠を象った外観でHeart of Oakと刻まれた見慣れない印章が見つかり、息子や夫の葬儀中にも涙一つ見せなかった母が号泣した。

註・ライミーは英国海兵に対する蔑称で、Heart of Oakはイギリス海軍の公式行進曲。