カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

幽霊その43・わたしのまわりに、だあれもいない

2022-01-08 15:33:29 | あなたが出会った幽霊に託されたもの
たかあきは先程、山奥で、いかにもな大人の幽霊に出会い、あの人に伝えて欲しいと微笑まれました。

 若い頃、死に場所を探して山の奥まで入り込んだ事がある。だが、先客の遺した無残な姿から現実に引き戻された私の前にわざわざ生前の姿で現れた先客は、自分の死を遺族に伝えてくれるなら帰り道を教えてくれると約束して街に還る事が出来たのだが、先客は幼い頃に既に天涯孤独の身となっていたと後に知った。
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骨董品に関する物語・携帯用の拡大鏡

2022-01-08 13:54:44 | 突発お題

 お爺ちゃんの持ってる拡大鏡を覗くと普通の眼には見えないものがはっきり見える。そして、レンズにはそういう役割があるんだよと教えて貰ったので、僕は拡大鏡というものは目には見えない色彩や妖精、魔物の類を科学の技術で見られるようにするのだと随分長い間信じて疑わなかった。
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骨董品に関する物語・凛々しいお顔のツバメのバングル

2022-01-08 13:43:41 | 突発お題
 王子の銅像が流した涙と痛みを知ったばかりに、本来なら身一つで自在に空を飛び交う身でありながら宝石や金箔を貧しき人の元に何度も運び続けた燕は雪の降る冬の町で力尽きて命を失ったが、誰かの哀しみを癒そうと己の肉体の重みすら捨て去る精神の持ち主にだけ、神々の住まう天国の扉は開かれるのだ。
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