母は普段から緻密な細工の入った金属製の容れ物を腰に下げていたが、そこに何が入っているのかを尋ねても何故か教えてくれなかった。やがて母が病に倒れ、そのまま還らぬ人になってから初めて開いた容れ物には、見覚えのない男性のスペルが刻み込まれた古い鍵と石の外れた古い指輪。
母は普段から緻密な細工の入った金属製の容れ物を腰に下げていたが、そこに何が入っているのかを尋ねても何故か教えてくれなかった。やがて母が病に倒れ、そのまま還らぬ人になってから初めて開いた容れ物には、見覚えのない男性のスペルが刻み込まれた古い鍵と石の外れた古い指輪。
ある日、星型の石を丘の上で拾った。きっと空から降ってきたに違いないと装飾品に仕立てて師匠に見せると、それは星の海からもたらされたものではなく、かつて太古の海に群生していた百合の欠片だと教えられた。星はしばしば人が焦がれる高みではなく、足元に広がる世界で生まれる。