カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

店の名は琥珀亭・死亡確認(ただし百年後)

2017-02-16 19:52:03 | ワンフレーズで創作お題
たかあきで【白線死亡ゲーム】というテーマで創作してください。

 店の前で子供が大泣きしていたので店長が理由を尋ねると、最近流行っている遊びが原因だった。何でも所々にある色違いの赤色レンガだけを踏んで広場を横切れば願いが叶うが、失敗したら一年以内に死ぬのだそうだ。
「俺も子供の頃に似たようなまじないをやって失敗したが、この通り百年経った今でも元気で生きているぞ」
 そんな店長の言葉を嘘だと決めつけ、子供は大笑いする。
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店の名は琥珀亭・先生と、呼ばれる程のなんとやら

2017-02-15 21:34:53 | ワンフレーズで創作お題
たかあきで【獣の咆哮】というテーマで創作してください。

 祭の演目を実行する際の監督には腹心とでも呼ぶべき音楽家の友人が常に傍らに在って、周囲は彼を先生と呼ぶ。先生の主な仕事は港町から集めた歌才楽才の持ち主を鍛え上げ祭の謡を成功させることで、君達が打ち鳴らす太鼓や鈴の音は天地に繋がる鳥や獣の音色なんだ、つまりそれは天使の楽でもある訳だ、などと訳の判らないことを言いながら様々な技術指導をしている。
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店の名は琥珀亭・或いはパンドラの箱

2017-02-14 20:14:43 | ワンフレーズで創作お題
たかあきで【箱の中に詰めたもの】というテーマで創作してください。

 琥珀亭の店長は無口で無愛想だが不親切ではないせいか、意外にも老若男女幅広い層からの受けが良い。そうなると相手のことを知りたくなるのは世の常で、皆は事あるごとに店長に話し掛けて何か彼の情報を探ろうとするのだが、当の店長は普段通りの口調で「さあな」とか「教えない」とか答えるだけで、結局店長の過去は未だに謎のままなのだった。
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店の名は琥珀亭・揺り籠のある墓場

2017-02-13 23:10:52 | ワンフレーズで創作お題
たかあきで【オーバーヒートへのカウントダウン】というテーマで創作してください。

 酷い話だが港町は一部の国教教会関係者に「神官の墓場」と呼ばれ、非常に恐れられている。
 何しろ赴任した神官が街の雰囲気に馴染みすぎて教義から外れるわ下手をすると還俗するわ、逆に環境に馴染めぬまま心を病むわと問題が絶えないのだ。それでも赴任希望者が後を絶たないのは商人ギルドの寄進が莫大なので上手く立ち回れば一儲けが出来るのと、逆にそんな問題の絶えない街の悩める人々を導いて正道に立ち返らせたいという、ある意味では純粋な宗教的使命感に駆られてらしい。
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店の名は琥珀亭・瓶覗(かめのぞ)きの青

2017-02-10 19:57:51 | ワンフレーズで創作お題
たかあきで【水底】というテーマで創作してください。

「昔、僕が暮らしていた国には瓶覗きの青という言葉があってね」
 琥珀亭特製の香草茶が入ったカップを目の前に置いたまま、何やら懐かしげな表情になって店長に話しかける監督。
「瓶に張った水に映った空の青を覗いたときだけに見えるんだけど、決してこの世界に留め置けない、けれど確かにそこに在る色なんだ」

 そして結局は、僕が祭で表現したいのもそんな「瓶覗きの青」なのさと笑う監督に、珍しく頷いてみせる店長。
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店の名は琥珀亭・神の御名の元に

2017-02-09 19:08:07 | ワンフレーズで創作お題
たかあきで【破った読書感想文】というテーマで創作してください。

 港町で最大の実権を握っている商業ギルドの信条は「祈るより稼げ」で、その為に国教教会は露骨に言うなら「寄付は出すから口は出すな」という扱いを受けている。そして大概の坊主は港町の緩い気風に染まって今まで知らなかった人生の享楽を謳歌するようになるのだが、たまに派遣されたばかりの若い新人が義憤を発揮して改革を訴えることがあって、当然ながら周囲はそれを華麗に無視するのが常だった。
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店の名は琥珀亭・今は亡き王国の紋章

2017-02-08 20:14:42 | ワンフレーズで創作お題
たかあきで【獣の咆哮】というテーマで創作してください。

 琥珀亭の暖炉上に飾られている絵は元々更に大きな絵から切り出した一部らしいのだが、頭上に王冠をあしらった白い獅子に似た獣が描かれている。出自不明のその絵は、たまに目利きを自称する画商が是非とも売って欲しいと結構な金額を提示して来るが店長は常に無言のまま首を横に振るだけで、その絵の作者や描かれた獣の正体について語ることは無かった。
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店の名は琥珀亭・監督と呼ばれた男

2017-02-07 19:45:46 | ワンフレーズで創作お題
たかあきで【夢を喰らう人】というテーマで創作してください。

 琥珀亭には様々な客が訪れるが、中でも変わっているのが通称「監督」だろう。

 元は東方の国から文字通りこの街に流れ着いた小太りで風采の上がらない男だが、何処で鍛えたのか口の巧さと企画力は相当なもので、人が好さそうでいながら金儲けの匂いは敏感な商業ギルト長に金を出させ、祭を開催して大成功を収めた。以来、年ごとに開催するようになった祭が街と商業ギルドにもたらした経済効果は相当なものだったが、当人は相変わらず質素な身なりで飼い犬と共に街を散歩している。ただ、食い道楽でもある彼は琥珀亭の季節料理を非常に楽しみにしていて、その点について出費を惜しむことは無かった。
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店の名は琥珀亭・狼の目

2017-02-06 21:20:09 | ワンフレーズで創作お題
たかあきで【拝啓、あの日の・・・】というテーマで創作してください。

 昔々の話。
 ある港町に琥珀亭と言う名の酒場兼食堂があって、無愛想だが料理の腕は良い店長と賑やかで愛想の良い娘の二人が店を切り盛りしていた。暖炉の上に一枚の煤けた絵が架けられている以外は飾り気の無い店内の様子に店名の由来を尋ねると店長は決まって無言で目を見開いて見せて来て、怯えた客に向かって「見ての通り、狼の目の色(アンバー)からだよ」と娘が笑う。

 確かに店長の瞳は澄んだ琥珀色で、傍らで笑う娘の瞳も同じ色彩をしていた。
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日常

2017-02-03 20:26:29 | 字書きさんにお題出してみったー
たかあきさん、『天国』を舞台に、『猫』と『崩壊』と『トマト』の内二つをテーマにして話を書いてみませんか。

 一連の騒動が終わってから、俺はアイツとの血の繋がりについて酷く真剣な表情で訊かれたが、姪でなかったらお前のような小煩い女を側に置いたりしないと答えたら、何だか嬉しそうとも悲しそうともつかない表情になるなり思い切り蹴られた上に御嶽丸をけしかけられた。腹いせに、ちょうど新作である「蒸気魔人の花嫁」がヒット作となって映画化も決まったと嬉しそうに報告してきた鷹塔を思い切り殴り倒した。
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