カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

店の名は琥珀亭・新しい神官

2017-05-17 21:55:11 | ワンフレーズで創作お題
たかあきで【接続不要】というテーマで創作してください。

 やがて、新しい神官が港町にやって来た。
 極めて寡黙な彼は機械的に神官としての勤めを果たすばかりで監督に喧嘩を売ることはなかった。むしろ監督の方が近付いて色々と論議を持ちかけるが相手にされず、最後の手段とばかりに琥珀亭に連れて行ったが、何と店長の料理を殆ど残されて初めての惨敗を喫した。愕然とする監督の前で残された料理を片付けながら、何故か店長は不審げに眉を顰める。
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店の名は琥珀亭・財布の中身

2017-05-16 21:14:53 | ワンフレーズで創作お題
たかあきで【指の意味】というテーマで創作してください。

 街の皆に祝福された式を終えて店を再開した店長の娘は、その首に革紐を通して架けた指輪を飾るようになった。何でも結婚祝いとして楽師から贈られたもので、料理をする関係上で指に嵌めることは出来ないが常に身に付けておくことにしたのだそうだ。実は高価な品で、いざというときに売れば結構な金額になるよと笑う娘。
 店の客から冷やかしを受ける楽師の笑顔が引きつっている理由を知る者は、店長しかいなかった。
 
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店の名は琥珀亭・婚礼の日

2017-05-15 19:36:31 | ワンフレーズで創作お題
たかあきで【想いは飽和せず】というテーマで創作してください。

 琥珀亭店長の娘と楽師が結婚するというので、街の皆は様々なものを持ち寄って協力することにした。例えば女達は婚礼衣装を仕立て、商人ギルドは祝儀を弾み、監督は披露宴の企画を立てて断られ、式の当日は花嫁の美しさと店長が腕を振るった料理が話題となった。
 なお、楽師がむせび泣いていたのはきっと嬉し泣きだろう。
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店の名は琥珀亭・年貢の納め時を決めるのは

2017-05-12 23:19:10 | ワンフレーズで創作お題
たかあきで【もしもの話をしよう】というテーマで創作してください。

 しかし結局のところ、お前はアイツをどう思っていると店長に尋ねられた楽師は暫くの間頭を抱えていたが、やがて観念したように嫌いではありませんと答えた。すると店長はそうか、では決まりだなと言って部屋を出て行き、戻った時には娘を連れて来て、それじゃ後は若い者同士でと一人で部屋を出て行く。

 結局、楽師に逃げ場は無かった。
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店の名は琥珀亭・楽師の旅立ち未遂

2017-05-11 21:03:30 | ワンフレーズで創作お題
たかあきで【財布の中身】というテーマで創作してください。

 結局俺は団長が最期に使った「取替」で飛ばされて半死半生のまま見知らぬ山道に落ちて、ここで死ぬんだと思っていた時に店長の娘に拾われました。でも、もう傷は癒えたし祭は終わったし路銀も貯まったし、だから、もう俺がここに居る必要はないんですと呟く楽師の前に、店長は空になった楽師の財布を差し出した。
「俺が散々足止めを企むアイツに……娘に使われた手だが、どうする?」
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店の名は琥珀亭・楽師の能力

2017-05-10 22:21:25 | ワンフレーズで創作お題
たかあきで【白線死亡ゲーム】というテーマで創作してください。

 俺を含む旅芸人の仲間は大体が手品の種になるような能力を持っていて、例えば団長は「取替(とりかえ)」と言って手を触れす箱の中身を任意に入れ替える、俺は「透視(とおみ)」と呼ばれるモノの情報を読む能力を演目に使っていた。

 教会の連中はそれがインチキじゃないと見破って、俺達は『獣の末裔』として僧兵に狩られました。
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店の名は琥珀亭・楽師の流転

2017-05-09 21:24:19 | ワンフレーズで創作お題
たかあきで【根元から折った鍵】というテーマで創作してください。

 実は俺には特技があって、それを利用して同じ様な特技を持つ旅芸人の一座に紛れ込むことが出来たんです。三線もそこで弾けるようになりましたと楽師の昔話は続く。
 けれど、結局はその特技が禍して仲間は教会の連中に皆殺され、俺だけ遠くに飛ばされて助かりました。きっと俺だけが助かったんですと声を震わせる楽師。

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店の名は琥珀亭・楽師の故郷

2017-05-08 20:46:21 | ワンフレーズで創作お題
たかあきで【転がる蝉の死骸】というテーマで創作してください。

 夜中に騒ぐな馬鹿野郎と店長の娘にぶん殴られた頭をさすりながら、楽師は小さな声で店長に向かって仕切り直す。それによると楽師は恐らく監督と同じ東の島国の生まれで、監督と同じように外を見たくて国の外に出ているうちに国から物理的に閉め出されて帰れなくなった、謂わば難民のようなものだと言う。
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店の名は琥珀亭・楽師以前

2017-05-05 20:11:07 | ワンフレーズで創作お題
たかあきで【転がる蝉の死骸】というテーマで創作してください。

 俺の人生を一体何だと思っているんですか!と悲鳴を上げる楽師に、店長は重々しい口調でお前の人生はお前のものだ、好きにすると良いと宣言してみせるが、楽師は当然のように誤魔化されなかった。いかにももっともらしい事を言ってうやむやに事を収めようとしないで下さいよ、第一俺はこんな処で平和に暮らせる身分じゃないと叫ぶ。
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店の名は琥珀亭・その理由を、なるべく簡潔に述べよ

2017-05-04 21:28:14 | ワンフレーズで創作お題
たかあきで【指の意味】というテーマで創作してください。

 ところでお前は何処に惚れられたんだと店長が無責任に問うと、楽師は躊躇いがちに三線を奏でる指の動きだそうですと答えた。すると店長は納得したようにああ、あの指の動きには嘘も誤魔化しも混じっていないからな、アイツは単純だからそういうのが好きなんだ。それじゃ、まあ宜しくなと店長は勝手に話を打ち切ろうとする。
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