「友がみな我よりえらく見える日は」
2011年春に書いた旅雑文です。期間限定公開中。
最高気温22度。
皆さんお元気ですか。ひさしぶりに「旅雑文」書いてます。
あたたかな風が北の国にも吹きはじめ、サクラのたよりが東の国に届く頃。
南国四万十は、若葉が初夏の陽差しにきらめいています。
風、水、草木が輝く四万十の春の川べ。
沈下橋にこしかけた僕は、早足で駆け抜けてゆく南国の春を、ぼんやりとながめてました。
しかし、昨今の世情では、「のんびりと春をながめている余裕はないよ・・・」
といった気分の方も多いのではないでしょうか。
「落ち込んだ時や、傷ついたときに、どうやって気分を回復させるか?」
・趣味に没頭する・酒や美食にはしる・スポーツやジョギングに打ち込む・旅に出る
・好きな人と過ごす・四万十川でカヌーを漕ぎ焚き火を囲む(笑)などなど。
あと、聞いた話では、
「人間の体や脳のためには、人間が作ったものではないものを、毎日10分でいいから見つめると良い」
とのことです。
ひとそれぞれ、いろいろなやり方があると思いますが、
本を読んで過ごすのなら、この一冊も「なかなか良いかも・・」と思ったので紹介します。
その容貌ゆえに四十五年間、一度も男性とつきあったことのない、独身OL・・・
人は劣等感にさいなまれ深く傷ついたとき、どのように自尊心をとりもどすのか。
読むとなぜか心が軽くあたたかになる、新しいタイプのノンフィクション。
文庫本の裏表紙より
「友人が本物の不幸におちいった時、私は友人になにもしてあげられないことに驚き、とまどった。
私にできることといったら、友人が自力で不幸を克服するのをみていることくらいだった」
「人は自分でつちかってきたやり方によってのみ、困難な時の自分を支えることができる」
友よ、より。
今という時代に生きる市井の人の16のストーリー。
一篇が短く、淡々とした文章が読みやすい。
登場するほとんどの人物は、それぞれの人生でつまずき、痛み、
先の見えない不安を抱え、あまり幸福とはいえないような日常を暮らしている。
読者である僕らは、そのストーリーの風景や様子を、ありありと心に映し感じるコトができる。
なぜなら「生きてゆくほとんどの時間には、映画やドラマのような、
華やかなクライマックスやハッピーエンドはなく、負けるコトが多く、ぱっとしないコトばかりだ」
ということをよく知っているから。
先の見えない状況にあっても、主人公たちの、
「それでも、それなりに、なんとかやってゆくしかないのだ・・・」
と、かすかな希望(光)のようなものをたよりに、
自分を励まし支え、日々を生きる姿が、読者のココロをじんわりとあたためてくれるのです。
「友がみなわれよりえらく見ゆる日よ花を買ひ来て妻としたしむ」
石川啄木の「一握の砂」所収。
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