あるBOX(改)

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映画「アイデン&ティティ」を観て来た

2004年02月11日 | 生活
みうらじゅん氏の原作漫画で感動したクチなんで。すんなり見れた。

つ~か、イカ天もリアルタイムで見てたし。

―――で、友人のデラマちゃんの彼氏のバンドの打ち上げで「全てのミュージシャンは読むべし」「映画も見るべし」なんて結論が出た作品なもんで、リキ入って見たワケだが。

やっぱり、すんなり見れた。

初監督作品となる田口トモロヲさんが、元ミュージシャンってのも安心できた理由だろうし。

主人公の組んだバンド「Speed Way」のメンバーを演じる峯田和伸・中村獅童・大森南朋・マギーらが、実際にバンド組んだも同然に実費でスタジオで練習したってのも、その理由だろう。

キャスティングも音楽経験を優先したという、トモロヲ監督の徹底ぶりが功を奏したか。
当時GOING STEADYのヴォーカルだった峯田和伸を主役に抜擢し、ダサ格好イイ役の好演に導いた。

また「原作を好きな人を」と、脚本に宮藤官九郎を選択。

ただし、ストーリーは原作通り。

「世はバンドブーム。それに乗って、メジャーデビューを果たし、1stシングル『悪魔とドライブ』がヒットしている『スピード・ウェイ』。しかし、ギタ-の中島(峯田和伸)は相変わらず四畳半住まい。ある夜、中島の部屋をボブ・ディランに似た『ロックの神様』が訪れる。それ以降、妥協した楽曲の演奏・ファンの女とのSEX・ロックとは掛け離れた『営業』の最中に『ディラン似の神』は現れる。一番の理解者である彼女にも浮気がばれ、途方に暮れる中島。事実上バンドブームは終わり、ライバルだった男は上手く立ち回っている。アルバムも延期、数少ない取材も『あのバンドは今』。しかも中島の癇癪でそれもパー。再起の掛かったロックフェス直前に、ヴォーカルのジョニー(中村獅童)がファンの女に刺されて入院。ジョニーの勧めでヴォーカル兼任を決意した中島だったが、自信が持てず・・・。そこに現れた“彼女”は『今日は私のためだけに歌って』と言うのだった。」

―――そんな感じで。
本番のロックフェスでヒット曲の演奏を土壇場で拒否して荒々しく歌う中島を祝福するようにハーモニカを激しく奏でる“ディラン”、クスッと微笑む彼女(麻生久美子)。

―――なんか、見事にイメ-ジ通りで。

これって脚本はクドカンじゃなくてもイイじゃん!・・・って感想抱いた人も多いだろう。

クドカンは、もっとブチ壊す人なんだが。最後、ディランがギターケースの中へ旅立って行くトコロでも「アダルト・ビデオ」を持ってくシーンを書いたらしいが。見事に却下。

・・・クドカン、単なる客寄せパンダか?

その他のキャストはGOODと言うか。
おっかけの女の子に、平岩紙(大人計画)。
元ミュージシャンの所属事務所社長に、岸部四郎。
中島の母親に、あき竹城。
ドラマー(マギー)のバイト先の親父に、三上寛。
三流週刊誌の記者に、大杉漣などなど。

最後に中島が語るディランの言葉「やらなきゃいけないことをやるんだよ。だからうまくできるのさ」。

そして、最後の最後に流れるディランの「ライク・ア・ローリングストーン」。

いい映画ですよ。まぁ「泣くかも」と思ったが、それは踏み止まった(笑)。

まぁ、心のドコかで「青臭い話だ」と思っているし。
「やらなきゃいけない事やっても、うまくいかないよ」って気持ちもある。
「やらなきゃいけない事が多過ぎるよ」とも。

皆、理想と現実の狭間で苦悶している。
オレも、大きな組織の最下層で地を這うように役割を果している。果そうとしている。

理想以前の体たらくな部分もある。蟻がナニ言っても無駄な状況もある。状況を動かせる立場ではない。

そんな中で最良を尽くすしかない。「やらなきゃいけない事をやるだけ」だ。

しかし、それで身を削らざるを得ない状況。持たないから遊びに走ったり・・・。

劇中にチラと隠喩されてた気もしたが。「理想を求める事は破滅にも繋がる」。

帰路にて、そんな事を考えた。