2008年11/8(土)からレイトショー上映された。
「ザ・フー:ライヴ・アット・キルバーン」
2007年 上映時間:64分/カラー/ビスタ/DLP上映
配給:ヘキサゴン・ピクチャーズ
70年代のドキュメンタリー映画「オールライトキッズ・アー・
オールライト」用にライヴ映像を撮ろう・・・として準備された、
コンサート模様。
ただし、約1年コンサートのブランクあったバンドは不出来を理由に
同映像をオクラ入りさせ(特にキースの不調が目立ったと言われた)、
収録は翌年シェパートンのスタジオで改めて行われ
その時の「Won’t Get Fooled Agein」の
映像は同映画のハイライトとなった。
(個人的には全ロック映像中、最高にカッコいい曲だと思う)
キルバーンで行われたライヴは、
1977年12月15日、同ゴーモン・シアターで撮影を目的とした、
シークレット・ギグであり
撮影監督が映画用のカメラ6台を会場に持ち込んで、その一部始終を
フィルムに収めたイベントだった。
以下、当日のセット・リスト。
1. I Can't Explain
2. Substitute
3. Baba O'Riley
4. My Wife (by John Entwhistle)
5. Behind Blue Eyes
6. Dreaming From The Waist
7. Pinball Wizard
8. I'm Free
9. Tommy's Holiday Camp (by Keith Moon)
10.Summertime Blues
11.Shaking All Over
12.My Generation
13.Join Together
14.Who Are You
15.Won't Get Fooled Again
注目点は、発表前の「フー・アー・ユー」が既に演奏されて
いるところ。
アレンジは微妙に違うが、この曲が収録されている同名アルバム
発表後にドラムのキース・ムーンが亡くなった事を考えると、
実に感慨深い・・・。
「Won't Get Fooled Again」のレーザー・ライトを使ったステージ演出、
「キッズ・アー・・・」で見られたシェパートン・ライヴと同じメンバー衣装、
メンバー同士の掛け合い・・・。
70年代の The Wh♂ が、そこにいる。
キース・ムーンは放蕩がたたって往年の可愛らしい風貌から程遠い
デブオヤジになりつつあり、
「最後のアルバム『Who Are You』でもマトモに叩けなく
なっていた」と、まことしやかに語られていた時期だが。
「キッズ・アー・・・」の「Won’t Get Fooled Agein」で
見せた彼等のカッコいい演奏が大好きな私からすると、それは大した
問題では無い。
※画像は「DVD/BD」の商品パッケージ。(もっとイイの無いのかよ・・・)
さてさて、不出来といわれた「キルバーン」だが
それでも、やっぱり70年代 The Wh♂ である。
もともと完成度より勢い重視のライヴ・バンドである。
一種異様なエネルギーが全編を支配する。
私にとっては充分な映像です。充分すぎです。
ぶっちゃけ非公式なモノを含め色々とThe Wh♂のライヴ音源は聴いたが
みな荒かったですよ。
メチャメチャな物も少なくなかったですよ。
むしろ、ライヴ盤の代表作「ライヴ・アット・リーズ」(1970)は、
「初の実況録音盤収録用のライヴだから、必死に合わせて上手く
演ったんだろう」と思うくらいまとまって聴こえたもんです。
だから、私はキルバーンの演奏に落胆する事はなかった。
たしかに、キース・ムーンは2曲目くらいで息上がってるっぽいし、
ロジャーは「オレたちも年とったな」とか言うし、
ピートのギターはチューニング狂うし、
ロジャーは「Dreaming From The Waist」の歌詞を忘れるし、
(せっかくジョンが神がかったベース弾いてるのに・・・)
「ダメだ、やり直しだな」とかライヴの出来を否定するような言葉もあるし、
中盤は演奏が一丸となれずにバラバラになりかけるトコロもあったし
「Won’t Get Fooled・・・」のレーザー光線は、
まだ完成度イマイチだし・・・
アラは見えますよ。
「次、なに演る?」ってトコロで
ロジャーが「オレは Summertime Blues だな」って言ってるのに
キース・ムーンが「Tommy's Holiday Camp がイイ」と捻じ込んだ同曲の
グダグダな演奏は、「あんたら、それでもプロか?」と言いたくなる程だし。
※キースの歌唱もヒドイ。、裏声なのに声が出ない・・・。まぁ、
「キッズ・アー・・・」で「バーバラ・アン」を見た人なら想像
出来るだろうが・・・
でもね、
続く「Summertime Blues 」では何事も無かったかのようにワイルドに
同曲をキメるし。
(当時パンクの台頭で The Wh♂ は充分にベテランバンドだったが、
それでいながらアレだけ初期衝動を失わない演奏は凄いとしか言いようが無い。
本人達の持つ「過剰なエネルギー」あればこその離れ業・・・だ)
ロックバンドではフロンティア的存在の彼らは、ロックバンドの将来なんて
分からない。
彼らの先輩は、「ラスベガスでディナーショー」やってるエルビス・プレスリーだ。
「オレたちも、ああなるのか?」
漠然とした不安もあっただろう。パンクにも追われ、脅威を感じていただろう。
※映画の中で、そういう記述もあった
しかし、60を過ぎても枯れることの無いピートとロジャーのアドレナリンと、
ジョンのミュージシャンシップと、キースの奇矯さは
時代も国境もイデオロギーも超越した音の塊となって、ロック・ファンの胸を打つ。
「30以上のヤツは信じるな」と言ってたヤツが、30歳にもなって「若いうちに死にたい」、
「たかが10代の荒野じゃないか」と歌う事は滑稽・・・
そう言われ始めた時期だろうか。
80年代には「ギャグだよ」と吐き捨てる若手バンドも居た。今でも居る。
しかし、「10代の荒れ地(Teenage Waistland)」は、20才を過ぎても
心の中でくすぶり続ける。
物心ついて以降、10代で固まり始める自我は、一生、身の回りとの折り合いが付かない。
要するに、我々は30になっても40になっても50になっても
「Teenage Waistland」で足掻き続けるのだ。
そして、それに疲れてヘタリ込んだ時
ピートの声か聞こえてくるのだ。
「嘆くな、下を向くな、たかが10代の荒野じゃないか!」・・・と。
ロジャーの声が聞こえてくるのだ。
「さあ、顔を上げろ、歩き始めるんだ」・・・と。
*画像はシアターNのポスターより
ドキュメント「アメイジング・ジャーニー」で、観客の将棋倒しによる圧死を
悼むシーンもあったが。(敢えて取り上げるのが彼らの良心だろう)
The Wh♂ ほど観客とバンドの関係に誠実なグループも居ないだろう。
「やらさせられた」再結成も、ファンの要望が無ければ受けまい。
でも、自ら湧き出すような「演奏したい」欲求も無いから、それなりの
エネルギーしか放出できないのも彼(等)らしい。
21世紀のThe Wh♂は、やりたくてやってるし。
キルバーンも「ファン感謝」の招待コンサートだ。
なによりピートのエネルギッシュな動きは、久々に観客の前で演奏する意気込みに
満ちていて素晴らしい。
テンション上がると何しでかすか分からない彼が、アンプ上の備品を荒々しく
叩き落しても、「ああ、やってるなぁ」くらいにしか思えない。
(識者からは「不出来に苛立ってのもの」との指摘もあるが・・・)
クライマックスであり「見せ場」でもある「Won’t Get Fooled Agein」の
エンディングでも、
「上空に放り投げたギターをキャッチして床に叩きつけてキメ!」の筈が、
受け止めにミスしてギターを床に落とし
ノイズを吐き出すギターを「あ~あ」とばかりに見下ろしたあとでステージを徘徊、
そのままエンディングを他のメンバーに任せるピートの姿も、もはや微笑ましいほどだ。
私なんて
途中で「ダメだ、やり直しだな」なんてメンバーが言った時点からが
「本当のThe WHoのLiveだ!と」思いましたよ。
「ここからが本当の世界最強のライヴバンドThe Whoの本領だ」・・・と。
記録用に上手く演奏してる風に見せよう・・・なんて時点で本当のライヴじゃないし。
(だから世に言うLIVE盤は本当のコンサート・パッケージじゃない・・・と)
よって
「ライヴ・アット・キルバーン 1977」は、私にとっちゃ充分に興奮モノだった・・・と。
フーは雑でも荒くても当たり前。
そう思ってる私からすると、充分に満喫できたライヴ映画だった。
ブルーレイでの国内版発売が計画されているようだし、輸入盤でボーナス曲が多数
確認されてるから、出たら絶対に買おう。
シェパートンのも出ないかな・・・。
「ザ・フー:ライヴ・アット・キルバーン」
2007年 上映時間:64分/カラー/ビスタ/DLP上映
配給:ヘキサゴン・ピクチャーズ
70年代のドキュメンタリー映画「オールライトキッズ・アー・
オールライト」用にライヴ映像を撮ろう・・・として準備された、
コンサート模様。
ただし、約1年コンサートのブランクあったバンドは不出来を理由に
同映像をオクラ入りさせ(特にキースの不調が目立ったと言われた)、
収録は翌年シェパートンのスタジオで改めて行われ
その時の「Won’t Get Fooled Agein」の
映像は同映画のハイライトとなった。
(個人的には全ロック映像中、最高にカッコいい曲だと思う)
キルバーンで行われたライヴは、
1977年12月15日、同ゴーモン・シアターで撮影を目的とした、
シークレット・ギグであり
撮影監督が映画用のカメラ6台を会場に持ち込んで、その一部始終を
フィルムに収めたイベントだった。
以下、当日のセット・リスト。
1. I Can't Explain
2. Substitute
3. Baba O'Riley
4. My Wife (by John Entwhistle)
5. Behind Blue Eyes
6. Dreaming From The Waist
7. Pinball Wizard
8. I'm Free
9. Tommy's Holiday Camp (by Keith Moon)
10.Summertime Blues
11.Shaking All Over
12.My Generation
13.Join Together
14.Who Are You
15.Won't Get Fooled Again
注目点は、発表前の「フー・アー・ユー」が既に演奏されて
いるところ。
アレンジは微妙に違うが、この曲が収録されている同名アルバム
発表後にドラムのキース・ムーンが亡くなった事を考えると、
実に感慨深い・・・。
「Won't Get Fooled Again」のレーザー・ライトを使ったステージ演出、
「キッズ・アー・・・」で見られたシェパートン・ライヴと同じメンバー衣装、
メンバー同士の掛け合い・・・。
70年代の The Wh♂ が、そこにいる。
キース・ムーンは放蕩がたたって往年の可愛らしい風貌から程遠い
デブオヤジになりつつあり、
「最後のアルバム『Who Are You』でもマトモに叩けなく
なっていた」と、まことしやかに語られていた時期だが。
「キッズ・アー・・・」の「Won’t Get Fooled Agein」で
見せた彼等のカッコいい演奏が大好きな私からすると、それは大した
問題では無い。
※画像は「DVD/BD」の商品パッケージ。(もっとイイの無いのかよ・・・)
さてさて、不出来といわれた「キルバーン」だが
それでも、やっぱり70年代 The Wh♂ である。
もともと完成度より勢い重視のライヴ・バンドである。
一種異様なエネルギーが全編を支配する。
私にとっては充分な映像です。充分すぎです。
ぶっちゃけ非公式なモノを含め色々とThe Wh♂のライヴ音源は聴いたが
みな荒かったですよ。
メチャメチャな物も少なくなかったですよ。
むしろ、ライヴ盤の代表作「ライヴ・アット・リーズ」(1970)は、
「初の実況録音盤収録用のライヴだから、必死に合わせて上手く
演ったんだろう」と思うくらいまとまって聴こえたもんです。
だから、私はキルバーンの演奏に落胆する事はなかった。
たしかに、キース・ムーンは2曲目くらいで息上がってるっぽいし、
ロジャーは「オレたちも年とったな」とか言うし、
ピートのギターはチューニング狂うし、
ロジャーは「Dreaming From The Waist」の歌詞を忘れるし、
(せっかくジョンが神がかったベース弾いてるのに・・・)
「ダメだ、やり直しだな」とかライヴの出来を否定するような言葉もあるし、
中盤は演奏が一丸となれずにバラバラになりかけるトコロもあったし
「Won’t Get Fooled・・・」のレーザー光線は、
まだ完成度イマイチだし・・・
アラは見えますよ。
「次、なに演る?」ってトコロで
ロジャーが「オレは Summertime Blues だな」って言ってるのに
キース・ムーンが「Tommy's Holiday Camp がイイ」と捻じ込んだ同曲の
グダグダな演奏は、「あんたら、それでもプロか?」と言いたくなる程だし。
※キースの歌唱もヒドイ。、裏声なのに声が出ない・・・。まぁ、
「キッズ・アー・・・」で「バーバラ・アン」を見た人なら想像
出来るだろうが・・・
でもね、
続く「Summertime Blues 」では何事も無かったかのようにワイルドに
同曲をキメるし。
(当時パンクの台頭で The Wh♂ は充分にベテランバンドだったが、
それでいながらアレだけ初期衝動を失わない演奏は凄いとしか言いようが無い。
本人達の持つ「過剰なエネルギー」あればこその離れ業・・・だ)
ロックバンドではフロンティア的存在の彼らは、ロックバンドの将来なんて
分からない。
彼らの先輩は、「ラスベガスでディナーショー」やってるエルビス・プレスリーだ。
「オレたちも、ああなるのか?」
漠然とした不安もあっただろう。パンクにも追われ、脅威を感じていただろう。
※映画の中で、そういう記述もあった
しかし、60を過ぎても枯れることの無いピートとロジャーのアドレナリンと、
ジョンのミュージシャンシップと、キースの奇矯さは
時代も国境もイデオロギーも超越した音の塊となって、ロック・ファンの胸を打つ。
「30以上のヤツは信じるな」と言ってたヤツが、30歳にもなって「若いうちに死にたい」、
「たかが10代の荒野じゃないか」と歌う事は滑稽・・・
そう言われ始めた時期だろうか。
80年代には「ギャグだよ」と吐き捨てる若手バンドも居た。今でも居る。
しかし、「10代の荒れ地(Teenage Waistland)」は、20才を過ぎても
心の中でくすぶり続ける。
物心ついて以降、10代で固まり始める自我は、一生、身の回りとの折り合いが付かない。
要するに、我々は30になっても40になっても50になっても
「Teenage Waistland」で足掻き続けるのだ。
そして、それに疲れてヘタリ込んだ時
ピートの声か聞こえてくるのだ。
「嘆くな、下を向くな、たかが10代の荒野じゃないか!」・・・と。
ロジャーの声が聞こえてくるのだ。
「さあ、顔を上げろ、歩き始めるんだ」・・・と。
*画像はシアターNのポスターより
ドキュメント「アメイジング・ジャーニー」で、観客の将棋倒しによる圧死を
悼むシーンもあったが。(敢えて取り上げるのが彼らの良心だろう)
The Wh♂ ほど観客とバンドの関係に誠実なグループも居ないだろう。
「やらさせられた」再結成も、ファンの要望が無ければ受けまい。
でも、自ら湧き出すような「演奏したい」欲求も無いから、それなりの
エネルギーしか放出できないのも彼(等)らしい。
21世紀のThe Wh♂は、やりたくてやってるし。
キルバーンも「ファン感謝」の招待コンサートだ。
なによりピートのエネルギッシュな動きは、久々に観客の前で演奏する意気込みに
満ちていて素晴らしい。
テンション上がると何しでかすか分からない彼が、アンプ上の備品を荒々しく
叩き落しても、「ああ、やってるなぁ」くらいにしか思えない。
(識者からは「不出来に苛立ってのもの」との指摘もあるが・・・)
クライマックスであり「見せ場」でもある「Won’t Get Fooled Agein」の
エンディングでも、
「上空に放り投げたギターをキャッチして床に叩きつけてキメ!」の筈が、
受け止めにミスしてギターを床に落とし
ノイズを吐き出すギターを「あ~あ」とばかりに見下ろしたあとでステージを徘徊、
そのままエンディングを他のメンバーに任せるピートの姿も、もはや微笑ましいほどだ。
私なんて
途中で「ダメだ、やり直しだな」なんてメンバーが言った時点からが
「本当のThe WHoのLiveだ!と」思いましたよ。
「ここからが本当の世界最強のライヴバンドThe Whoの本領だ」・・・と。
記録用に上手く演奏してる風に見せよう・・・なんて時点で本当のライヴじゃないし。
(だから世に言うLIVE盤は本当のコンサート・パッケージじゃない・・・と)
よって
「ライヴ・アット・キルバーン 1977」は、私にとっちゃ充分に興奮モノだった・・・と。
フーは雑でも荒くても当たり前。
そう思ってる私からすると、充分に満喫できたライヴ映画だった。
ブルーレイでの国内版発売が計画されているようだし、輸入盤でボーナス曲が多数
確認されてるから、出たら絶対に買おう。
シェパートンのも出ないかな・・・。