「The Wh♂ アメイジング・ジャーニー」
ザ・フー:アメイジング・ジャーニー
2008年11/22(土)~ロードショー
2007年 アメリカ 上映時間:120分
配給:ヘキサゴン・ピクチャーズ
原題: The WHO:Amazing Journey
監督: マーレイ・ラーナー
出演: ロジャー・ダルトリー、ピート・タウンゼンド、
ジョン・エントウィッスル、キース・ムーン
ケニー・ジョーンズ、キット・ランバート、
シェル・タルミーなどなど・・・
ビートルズ、ストーンズやキンクスらと共もに、ブリティッシュ・
ロックの創世記を飾り、数々のミュージシャンに影響を与えてきた、
ザ・フー。
「ザ・フー アメイジング・ジャーニー」は、1964年のデビューから
現在までの軌跡を追ったロック・ドキュメンタリー映画である。
「キッズ・アー・オールライト」という、これまた自曲タイトルを
付けた70年代ドキュメント映画もあり、これが最強と言われていたが。
メンバーの監修も緻密に行われ、「後日談」も含んだ「アメイジング・
ジャーニー」も、実に印象深い作品となった。
シアターN館内は、いかにもミニシアター然とした印象で、音響など
「もっと轟音で聴きたい」と思ったが
まぁ、小規模上映なのも仕方ないから我慢した。
「日本じゃ不当に過小評価」が常套句の同バンドだ。
ドキュメンタリー映画を商業ベースに乗せて上映してくれるだけでも
良しとすべきか?
映画館の客席には、オジキから若いのから女性まで、多種多様。
ターゲットマークTシャツ着た外人客もいた。(続く)
画像はパンフレット。
「アメイジング・ジャーニー」は、
存命のピート&ロジャーのコメント、過去のライヴ映像、関係者や
ミュージシャンのコメントなどを織り交ぜた長尺ドキュメント映画。
モンタレー・ポップ・フェスティバル、ワイト島、ウッドストック
などの60年代イベント映像はもちろん、
現存する最古のライブ映像や「ライヴ・アット・リーズ」収録公演の
白黒映像など、今回初公開となる貴重な映像を眼のあたりにしたら、
ファンは感動するしかないだろう・・・。
~というか、
話の始まりが、第二次大戦直後の映像から始まるのに驚いた。
空襲を受けて瓦礫まみれのロンドン・・・(あそこまでやられていたとは・・・)
復興の中で育ったのが、The Wh♂世代のバンド・メンバー。
「ピートは愛国者だから日本には来ない」「ピートの身内が第二次大戦の
苦難を味あったから”敵国ジャパン”を嫌っている」なんて
昔、「なぜ彼らは来日しないのか?」を語られる時に使われた理由の意味が、
すこし分かった気がした(信憑性は別として・・・)。
時系列でバンドの歴史を追うなか、
キース・ムーンとジョン・エントウィッスルの死や、バンド創設者にして
親分だったロジャーの権力衰退と追放未遂事件、ドラッグ・アルコール
問題など、内情も明らかに・・・。
初期のモッズ・ファッションもキマってるし
※ウチの連れは「この頃が好き」と平気で言う。
「長髪になってからは苦手」ですと!
まぁ、「恋のヒートウェイブ」歌うロジャーは確かに格好イイですが。
ウッドストックの長髪フリンジ・ロジャーもカッコイイじゃん!)
スティングが演奏家として「マイ・ジェネレイション」のベースプレイの
凄さを語るトコロ・・・とか。
※あれは衝撃的だったろうなぁ・・・。
最初あれはベースと気付かない面々も多かったらしいし。
結局、プレイヤーとしてのスケールも凄かったのよね。
他のビートバンドが後発グループの影に隠れていったのは、それがネック
になっての事だし。
ピートが影響を隠さないキンクスみたいなグループだって、ヴァン・
へイレンのカヴァーで「えっ、『ユー・リアリー・ガット・ミー』って、
こんな凄い元祖ハードロックチューンだったんだ!」と気付かされたのだが
The Wh♂ は「自分達」で演奏スケール上げて初期曲の凄さを
増大させてったんだよな。
※「アイ・キャント・エクスプレイン」とか、
「ボリス・ザ・スパイダー」とか・・・
「ボリス・・・」なんて即興で作ったような曲で
(ホントにそうだったらしいが)
余り好きじゃなかったが、70年代になっての演奏は
破壊力すごくて参った・・・
ビートルズが解散で逃れ、R・ストーンズでさえメンバー変えて
順応した「70年代=演奏の時代」に、オリジナル・メンバーで
真っ向勝負を果たしたThe Wh♂ は、とにかく凄いとしか
言いようが無い。
~他にも興味深いコメントは続く
ケン・ラッセル監督の映画『トミー』が、関係者やミュージシャンから、
かなり否定的に捕らえられているのは意外だった。
個人的には、怪作・奇作として印象深いのだが・・・。
(あと、単純にロックオペラ「Tommy」を理解する指針として)
そして、まだまだ続くコメントの数々。
キース・ムーンのエキセントリックなキャラクター、エントウィッスルの
着道楽(ロンドンの有名デパート=ハロッズで買い物三昧)、ロジャーと
ピートの反目を経た友情・・・。
印象深いエピソード満載。
やはり、初期エピソードが興味深かったなぁ。
学生時代のロジャーのワルぶりも相当だった模様で
ピートは何だかんだ行って通学してたのに、ロジャーは素行が悪くて退学。
(学校に放火した・・・の一説には客席から笑い声が)
ザ・フーの前身バンド、ザ・デトアーズってロジャーが組んだ
「不良バンド」だったのね・・・。
~で、The Wh♂になっても大将気分が抜けず。
クスリにウツツを抜かす他メンバーを鉄拳制裁して総スカン・・・。
演奏者として各パート最高級のセンスを持った他メンバーが、劇的な
成長を見せるなか(そのうえピートは作曲能力も開花)、普通の歌い手に
過ぎないロジャーの心境を思いやれなかった・・・と吐露するピート。
「キースもジョンも天才だ。オレも才能があった。しかし、ロジャーは
ただのシンガーだった」
・・・そんな身もフタも無い言葉を口にするピート。
だが、ピートが大半を歌うつもりだったロックオペラ「Tommy」を
「自分が歌う」と志願して、ついにトミーを演じ切り、トミーになり
きったロジャー。
昔のような、ただのワルじゃない、素晴らしい存在感を手にしたのだ
・・・と敬意さえ見せるピート。
ミック・ジャガーやヴァン・モリソンに比べ、「黒っぽくなく」
「存在感も薄い歌い手」に過ぎなかったロジャーが、パフォーマーとして
進化(深化)する様は感動的だ。
(中学時代に映画「ウッドストック」でフーを知った私からすると、
ロジャーは最初からド派手なヴォーカリストだが)
もちろん、Tommy期で反目は終わったワケではなく、
相変わらず「ちょっと年上だからって仕切りたがりやがって」と
ピートは煙たがり
ロジャーは「自分だってThe Wh♂に身を殉じている」と、
ピートの「ヤツは無関心だ」コメントに反論。
ロジャーは「ピートの作曲を邪魔しないようにヤツを構わなかった」と、
当時の「凡人なりの心情」を吐露。
※「ジョンはもっと無関心だったじゃないか」とも言いたかったろうなぁ・・・
雑誌のインタビューでも、
「ロジャーの何がムカつくかというと、普段は仲が悪いのにステージ上では
寄って来てオレに笑顔を向けたりするところな。あのワザとらしい笑顔が
堪らなく嫌だったよ」とも語っていたピート。
もうこうなると夫婦喧嘩に近い(笑)。
「家に帰れば俺を責めるくせに、外じゃオシドリ夫婦を演じる嫁」・・・みたいな。
夫婦の方が別れられるだけマシだろう。
人気バンドは一生別れられない。解散したって再結成が待っている。
~そんな二人も60才を余裕で過ぎて
山あり谷ありバンド人生を笑顔で語れる時期になりました。現在進行形で。
この映画は、そんな映画です。
ザ・フー:アメイジング・ジャーニー
2008年11/22(土)~ロードショー
2007年 アメリカ 上映時間:120分
配給:ヘキサゴン・ピクチャーズ
原題: The WHO:Amazing Journey
監督: マーレイ・ラーナー
出演: ロジャー・ダルトリー、ピート・タウンゼンド、
ジョン・エントウィッスル、キース・ムーン
ケニー・ジョーンズ、キット・ランバート、
シェル・タルミーなどなど・・・
ビートルズ、ストーンズやキンクスらと共もに、ブリティッシュ・
ロックの創世記を飾り、数々のミュージシャンに影響を与えてきた、
ザ・フー。
「ザ・フー アメイジング・ジャーニー」は、1964年のデビューから
現在までの軌跡を追ったロック・ドキュメンタリー映画である。
「キッズ・アー・オールライト」という、これまた自曲タイトルを
付けた70年代ドキュメント映画もあり、これが最強と言われていたが。
メンバーの監修も緻密に行われ、「後日談」も含んだ「アメイジング・
ジャーニー」も、実に印象深い作品となった。
シアターN館内は、いかにもミニシアター然とした印象で、音響など
「もっと轟音で聴きたい」と思ったが
まぁ、小規模上映なのも仕方ないから我慢した。
「日本じゃ不当に過小評価」が常套句の同バンドだ。
ドキュメンタリー映画を商業ベースに乗せて上映してくれるだけでも
良しとすべきか?
映画館の客席には、オジキから若いのから女性まで、多種多様。
ターゲットマークTシャツ着た外人客もいた。(続く)
画像はパンフレット。
「アメイジング・ジャーニー」は、
存命のピート&ロジャーのコメント、過去のライヴ映像、関係者や
ミュージシャンのコメントなどを織り交ぜた長尺ドキュメント映画。
モンタレー・ポップ・フェスティバル、ワイト島、ウッドストック
などの60年代イベント映像はもちろん、
現存する最古のライブ映像や「ライヴ・アット・リーズ」収録公演の
白黒映像など、今回初公開となる貴重な映像を眼のあたりにしたら、
ファンは感動するしかないだろう・・・。
~というか、
話の始まりが、第二次大戦直後の映像から始まるのに驚いた。
空襲を受けて瓦礫まみれのロンドン・・・(あそこまでやられていたとは・・・)
復興の中で育ったのが、The Wh♂世代のバンド・メンバー。
「ピートは愛国者だから日本には来ない」「ピートの身内が第二次大戦の
苦難を味あったから”敵国ジャパン”を嫌っている」なんて
昔、「なぜ彼らは来日しないのか?」を語られる時に使われた理由の意味が、
すこし分かった気がした(信憑性は別として・・・)。
時系列でバンドの歴史を追うなか、
キース・ムーンとジョン・エントウィッスルの死や、バンド創設者にして
親分だったロジャーの権力衰退と追放未遂事件、ドラッグ・アルコール
問題など、内情も明らかに・・・。
初期のモッズ・ファッションもキマってるし
※ウチの連れは「この頃が好き」と平気で言う。
「長髪になってからは苦手」ですと!
まぁ、「恋のヒートウェイブ」歌うロジャーは確かに格好イイですが。
ウッドストックの長髪フリンジ・ロジャーもカッコイイじゃん!)
スティングが演奏家として「マイ・ジェネレイション」のベースプレイの
凄さを語るトコロ・・・とか。
※あれは衝撃的だったろうなぁ・・・。
最初あれはベースと気付かない面々も多かったらしいし。
結局、プレイヤーとしてのスケールも凄かったのよね。
他のビートバンドが後発グループの影に隠れていったのは、それがネック
になっての事だし。
ピートが影響を隠さないキンクスみたいなグループだって、ヴァン・
へイレンのカヴァーで「えっ、『ユー・リアリー・ガット・ミー』って、
こんな凄い元祖ハードロックチューンだったんだ!」と気付かされたのだが
The Wh♂ は「自分達」で演奏スケール上げて初期曲の凄さを
増大させてったんだよな。
※「アイ・キャント・エクスプレイン」とか、
「ボリス・ザ・スパイダー」とか・・・
「ボリス・・・」なんて即興で作ったような曲で
(ホントにそうだったらしいが)
余り好きじゃなかったが、70年代になっての演奏は
破壊力すごくて参った・・・
ビートルズが解散で逃れ、R・ストーンズでさえメンバー変えて
順応した「70年代=演奏の時代」に、オリジナル・メンバーで
真っ向勝負を果たしたThe Wh♂ は、とにかく凄いとしか
言いようが無い。
~他にも興味深いコメントは続く
ケン・ラッセル監督の映画『トミー』が、関係者やミュージシャンから、
かなり否定的に捕らえられているのは意外だった。
個人的には、怪作・奇作として印象深いのだが・・・。
(あと、単純にロックオペラ「Tommy」を理解する指針として)
そして、まだまだ続くコメントの数々。
キース・ムーンのエキセントリックなキャラクター、エントウィッスルの
着道楽(ロンドンの有名デパート=ハロッズで買い物三昧)、ロジャーと
ピートの反目を経た友情・・・。
印象深いエピソード満載。
やはり、初期エピソードが興味深かったなぁ。
学生時代のロジャーのワルぶりも相当だった模様で
ピートは何だかんだ行って通学してたのに、ロジャーは素行が悪くて退学。
(学校に放火した・・・の一説には客席から笑い声が)
ザ・フーの前身バンド、ザ・デトアーズってロジャーが組んだ
「不良バンド」だったのね・・・。
~で、The Wh♂になっても大将気分が抜けず。
クスリにウツツを抜かす他メンバーを鉄拳制裁して総スカン・・・。
演奏者として各パート最高級のセンスを持った他メンバーが、劇的な
成長を見せるなか(そのうえピートは作曲能力も開花)、普通の歌い手に
過ぎないロジャーの心境を思いやれなかった・・・と吐露するピート。
「キースもジョンも天才だ。オレも才能があった。しかし、ロジャーは
ただのシンガーだった」
・・・そんな身もフタも無い言葉を口にするピート。
だが、ピートが大半を歌うつもりだったロックオペラ「Tommy」を
「自分が歌う」と志願して、ついにトミーを演じ切り、トミーになり
きったロジャー。
昔のような、ただのワルじゃない、素晴らしい存在感を手にしたのだ
・・・と敬意さえ見せるピート。
ミック・ジャガーやヴァン・モリソンに比べ、「黒っぽくなく」
「存在感も薄い歌い手」に過ぎなかったロジャーが、パフォーマーとして
進化(深化)する様は感動的だ。
(中学時代に映画「ウッドストック」でフーを知った私からすると、
ロジャーは最初からド派手なヴォーカリストだが)
もちろん、Tommy期で反目は終わったワケではなく、
相変わらず「ちょっと年上だからって仕切りたがりやがって」と
ピートは煙たがり
ロジャーは「自分だってThe Wh♂に身を殉じている」と、
ピートの「ヤツは無関心だ」コメントに反論。
ロジャーは「ピートの作曲を邪魔しないようにヤツを構わなかった」と、
当時の「凡人なりの心情」を吐露。
※「ジョンはもっと無関心だったじゃないか」とも言いたかったろうなぁ・・・
雑誌のインタビューでも、
「ロジャーの何がムカつくかというと、普段は仲が悪いのにステージ上では
寄って来てオレに笑顔を向けたりするところな。あのワザとらしい笑顔が
堪らなく嫌だったよ」とも語っていたピート。
もうこうなると夫婦喧嘩に近い(笑)。
「家に帰れば俺を責めるくせに、外じゃオシドリ夫婦を演じる嫁」・・・みたいな。
夫婦の方が別れられるだけマシだろう。
人気バンドは一生別れられない。解散したって再結成が待っている。
~そんな二人も60才を余裕で過ぎて
山あり谷ありバンド人生を笑顔で語れる時期になりました。現在進行形で。
この映画は、そんな映画です。