新鹿山荘控帳

山荘管理人が季節の移ろいを、書きとめました
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杉山隆男「兵士は起つ」

2016-03-19 17:02:49 | 読書
東日本大震災を読み返すシリーズの2冊目です。
杉山隆男「兵士は起つ」 新潮文庫

前回紹介した石井光太「遺体」とは違う視点からのルポです。カバーに書かれた解説を紹介します

「津波に呑まれながらも濁流の中を自力で泳ぎ、人々を救助した隊員達がいた。自らの力で家族の安否も確認できないままでの救助活動、遺体と向き合う苛烈な日々。そして非常事態に陥った福島第一原発では、世界が注目する中、全国から様々な部隊が招集されていたーー。」

涙を誘うようなドキュメンタリータッチと違い、静かな語り口に最初は戸惑いました。次から次へと津波に遭遇しながら最善の対処をしていく隊員が登場しますが、同じような静かな姿に彼らの区別がつかなくなりました。読み進める内に著者があえてそのような書き方をしているのでないかと思いつきました。自衛隊と言う組織の立場から、ヒーローの活躍するような映画の様な書き方をしないようにしているのでしょうか。

いざという時のために普段から厳しい訓練を行っていた隊員たちのその成果が発揮された記録です。その成果が示された記録です。
けが人を探し死体を探す隊員たちの向こうに、コンビニの商品を略奪し自動販売機の金を盗もうとしている人たちがいる対比はショックでした。
数日間飲まず食わずですから食料品を探しに来たのは分かるとしても、販売子を壊す事とは許せません。
大勢の隊員がその隊の目的に沿ってそれぞれの任務を果たしていった姿を忘れることはできません。
ご苦労様でしたと言います。




折角ですからと思うのですが、警察や消防の方々全国から駆け付けた隊員の活躍のお話もたくさんあると思いますが、そのルポルタージュはないのでしょうか。探してみます。

後、派遣され現地に向かう自衛隊や警察の車両に向かって「ありがとう」のプラカードを振り続けた幼い兄弟の映像も、もう一度見たくなりました。
You Tubeに残っていないか探してみます。



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