アテネで36年間、伝統と格式を重んじる高級スーツの
仕立て屋を父と営んできた寡黙なニコス。
店は銀行に差し押さえられ、父は倒れ・・・。
本国ギリシャの映画祭で三冠達成した作品。
セリフは極限まで削られ、ナレーションもない。
状況や心情は察するしかないのですが、
字幕が少ないので、美しい風景や俳優陣の表情に集中、
淡々と物語が進むものの飽きない不思議さも。
人力の移動式テーラーがスズキのバイクに、
真っ白なシトロエンの車で、
オーダーメイドのウェディングドレスを届ける。
これからも腕一本で生きていくのでしょう。
ギリシャの金融破綻は、雇用者の3分の1が公務員、
コネ重視の国民性も問題であったというのは、
ギリシャを旅した時にも耳にしましたが、
こうして財政危機から立ち直ろうとしているのですね。
欲望にストレートな国民性など
ギリシャの生活をリアルに感じさせてくれました。
監督・脚本:ソニア・リザ・ケンターマン
出演:ディミトリス・イメロス/タミラ・クリエヴァ
2020年/101分/ギリシャ・ドイツ・ベルギー合作
ヒューマントラストシネマ渋谷
2021.9.10