
Kodak DC4800
’08/05/04の朝刊記事から
高値のパンダ レンタル料 年1億円
中国への貸与要請に批判も
中国の胡錦濤国家主席が6日から来日するのに合わせ、日本政府がジャイアントバンダ2頭の貸し出しを中国政府に要請している。
チベット問題や中国製ギョーザ中毒事件など課題が山積みの中、「パンダ外交」で日中友好をアピールするのが狙い。
都立上野動物園のリンリンが死んだばかりとあって歓迎の声が上がる一方、高額のレンタル料がかかることもあり、同動物園には反対意見も寄せられている。

中国は1960-80年代、国交を結んだ国などにパンダをプレゼントするパンダ外交を展開。
米中国交正常化のきっかけとなった72年のニクソン大統領訪中を記念し、米国に初めて贈られた。
日本にも、国交が正常化した72年にランランとカンカンが贈られ、日本中がパンダブームに沸いた。
79年に日本の対中政府開発援助(ODA)が始まると、ホアンホアンとフェイフェイが相次いで”来日”。
天皇、皇后両陛下が初訪中した92年には、2頭の間に生まれた子との交換でリンリンがやって来た。
パンダは英国やフランス、西ドイツ(当時)などにも次々と贈られ、愛くるしい「親善大使」は中国のイメージ改善に大きく貢献した。

中国はパンダの減少などを受け、82年のフェイフェイを最後に外国への寄贈をやめ、レンタル方式にした。
ワシントン条約で絶滅の虞がある種に指定されたこともあり、国外から得た資金をパンダの保護や研究に充て、新華社によると、現在は約1800頭にまで増加した。
日本でも神戸市立王子動物園で2頭、和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドで6頭を飼育している。
王子動物園によると、神戸市が払うレンタル料は年間計百万ドル(約1億円)。
「パンダのおかげで来園者は増えたが、赤字経営」という。

高額のレンタル料もあって、借りることには反発もある。
「高すぎる」「(チベットを弾圧する)中国から借りる必要はない」。
上野動物園には最近、反対の電話が後を絶たない。
レンタルした場合、費用を負担する可能性の高い東京都の石原慎太郎知事は「費用対効果を換算して考えればいいこと。ご神体ではないんだから」と突き放している。