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’08/05/20の朝刊記事から
四川大地震 日本救助隊 無念の撤収
厳しい山間地担当 都市型救命生かせず
【北川(中国四川省)19日時事】中国四川省を襲った大地震の被災者救援のため現地入りしている日本の国際緊急援助隊は19日、洪水など二次災害の畏れを理由に北川県での捜索活動を打ち切った。
条件の悪い山間地域で行われた4日間活動で、生存者救出はかなわなかった。
中国側は、「地震国・日本」の救助隊に対して過大とも言える期待をしており、実際に日本が対応可能な活動とのギャップが浮き彫りになった。
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地震発生からちょうど1週間を迎えた19日午後2時28分(日本時間同3時28分)、北川県曲山鎮にある北川第一中学校の校舎崩落現場で行われた追悼式は、現地で活動する軍や消防関係者が勢ぞろいした。
日本の緊急援助隊も要請を受けて参加し、被災地に無念の別れを告げた。
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中国政府は今回の地震で、初の外国救援隊として、胡錦濤国家主席が訪問したばかりの日本を選んだ。
救援活動中の17日には、王毅外務次官が緊急援助隊の同行者に直接電話をし、謝意を表明した。
期待が大きい分、日本隊には少数民族が多く住む山間地の青川、北川両県という厳しい現場が待ち受けていた。
後続組のロシアや韓国の救助隊が都市部に派遣されたのとは対照的だ。
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ただ、日本の緊急援助隊は都市型災害が専門。
初日は7時間かけてたどり着いた場所が条件に合わず、さらに4時間離れた別の捜索場所に移動するなど、両国の意思疎通不足も露呈した。
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しかも生存者の救出が目的の緊急援助隊が活動を始めたのは地震発生から4日目。
実質3日間の活動で、16遺体を収容するのが精いっぱいだった。
小泉崇団長は19日午後、「時間との勝負だった。非常に残念だ」と無念の表情で振り返った。