’08/08/07の朝刊記事から
中国、ギョーザ中毒発生認める
情報公開 意図は不明
捜査が手詰まりだった中国製冷凍ギョーザの中毒事件は、6月に中国国内でも中毒を引き起こしていたことが判明し、8日の北京五輪開幕を前に、新たな展開を見せた。
洞爺湖サミット直前に情報を受け取りながら、政府は公表を避け、中国が情報公開で批判回避を図ったとの指摘も。
捜査の行方について関係当局の見方は真っ二つに分かれ、食の安全を揺るがした事件の決着は依然見えない。
批判かわす狙いも
中国での中毒発生が報じられた6日朝。
平和記念式典出席のため広島市を訪れていた福田康夫首相は「(捜査は)進行中だと理解してほしい」と言葉を濁し、東京の警察庁では幹部が「外交の機微に触れる高度に政治的な問題。コメントできない」と口を閉ざした。
中国での被害が政府に伝わってから約1カ月。
中国での混入を確定的にする情報でありながら、政府が表立って動くことはなかった。
外務省幹部は「捜査機関でない我々が簡単に公表できる内容ではない」と釈明するが、中国の国運がかかる五輪前というタイミングについて配慮が働いた可能性は否定できない。
中国政府は6日、国内での中毒発生を認めた。
ある政府筋は「隠し続けるより、積極的に情報公開する方が、食の安全への決意が示せると判断したのではないか」と、中国側の意図を分析する。
捜査の行方 未知数
国内混入の可能性について「極めて低い」(公安省幹部)との立場を堅持し、一時は日本側に責任があると言わんばかりの対応を見せた中国政府。
それが五輪を前に「行政の透明性を高めないと、内外の批判は免れない」(日中関係筋)との判断に傾いたという。
しかし、中国政府が自らの責任を認めた場合、自国民の不信感を買うのは確実。
ただでさえ貧富の格差、環境問題など政府への不満が高まる中、対日交渉でエラーを犯した印象を与えれば「不満爆発のはけ口になりかねない」(日中関係筋)。
中国では6日、中国国内で中毒事件が起きたことを伝えるメディアはなく、国内ウェブサイトにも関連の書き込みは見当たらない。
捜査は進展するのか。
ある警察庁幹部は「中国次第で不透明。状況は変わらないかも」と悲観的だが、別の幹部は「中国も自国の事件を放置するわけにいかず、動きがあるのではないか」。
別の外務省幹部は五輪後に中国当局の捜査が進展するとの見方を示す。
「これで今までとは違ったストーリーが出てくる」
事件が食品業界や消費者に与えた影響は大きい。
撮影機材
Kodak DC4800