国道16号をママチャリで走破する旅。
この日の昼食は、ふと目にした「大衆食堂 半田屋」でとることにしました。
「大衆食堂 半田屋」は、以前は「めしのはんだや」という名称でした。
入店すると、冷蔵陳列棚に入っている冷えたおかずを取り出します。
次におばちゃんが待ち受けるカウンターでめし、汁物をオーダー。
おかずは適宜レンジで温めた上で、めしや汁物を受け取ったら、カネを払わずにそのまま食べることができます。
めしにがっついていると、後ろからおばちゃんが静かに近づいてきて伝票を記入し、脇にスッと置いて立ち去ります。
食事代は店を出るときに伝票を出して支払う、というシステムです。
そして食事代がおそろしく安く、300円で腹いっぱいに、500円以上食ったらかなりキツく、1000円分食べることは人間の限界に挑むレベルでした。
味はともかく、コスト・パフォーマンスにきわめて優れた食堂で、よく「エサのはんだや」と呼ばれたり、はんだやへ食事することを「エサる」ということもありました。
そういった店でしたから、店内で女子供を見た記憶はなかったと思います。
「めしのはんだや」から「大衆食堂 半田屋」へ、何がどのように変わったのでしょうか。
12年ぶりに闘いを挑みます。
店内に入ると、なんとも小ぎれいな内装。
食事するテーブルも団体用のものが据えられています。
客層も家族連れが多く、かつての「めしのはんだや」とは全く別物です。
食事は、かつての「伝票方式」から「カフェテリア方式」に変わっています。
陳列棚にあるおかずを取って、おばちゃんにめしと汁物をオーダーしたら、そこでお勘定です。
私がいただいた昼食です。
めし並 108円
みそ汁 86円
メンチカツ 129円
里芋煮 97円
ひじき煮 97円 合計 517円 (消費税込み)
めしは以前はなかった「並」サイズが登場しています。
12年前は「ミニ」が普通の茶碗1杯、「小」が大きな茶碗1杯、「中」が丼1杯というサイズでした。
ですが現在は「並」が「小」と「中」の間にできて、「小」が小さくなっていました。かつての「小」が現在の「並」といったところです。
「めし大」は相変わらず幻のメニューとなっていて、店内にもしっかり「とても食べられません。中で充分です」とありました。
おかずも、かつてと比べるとおいしくなっていた感じがしました。
里芋煮のように温かいおかずは、しっかりと保温されていたように思います。
時代の流れなのか、めしやおかずが少しばかり値上がりしていたのも、かつての「エサのはんだや」時代を知る者としてはちょっと残念に思いました。
はんだやといえば、店内の目立つところに堂々と掲げられていた標語がありました。
「貸借は友を失う ゲーテ」
おばちゃんから渡される伝票にも記載されていた、はんだやの顔ともいうべき?標語です。
要するに「はんだやではツケは許しませんよ」ということなのですが、ゲーテがこんな言葉を言ったのか? と疑問に残るところです。
さて店内を見回して「貸借は友を失う ゲーテ」を探してみたのですが、どこを見てもまったくありません(T_T)
伝票はなくなったけどレシートにならば、と見ても書いてない。
おそらくオーダーの方式が変わり、ツケの生じる可能性がなくなったため、この格言も消えてしまったのではないかと思います。
「ゲーテ」の格言はなくなっていましたが、こちらは健在でした。
小さな女の子がめしを頬張る「生れた時からどんぶりめし」のポスター。
このキャッチコピーに違わず、めしを腹いっぱい食べられる食堂でした。
お米は宮城の銘柄米・ササニシキをはじめ国産米を使用し、大凶作の年でも値上げこそしましたが国産米で乗り切ったそうです。
そういうこともあり、おかずがアレだとしてもめしだけはうまかったです。
そして現在もなお、めしだけはうまかった。
おかずも少しばかりおいしくなりました。
10分で完食。
食事に対する満足感よりも、私の記憶に残っていた「めしのはんだや」ではなくなっていたことへの寂寥感をおぼえつつ、店の外へ出ました。
◆参考文献
あなたの街の食堂 半田屋 http://www.handaya.jp/
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