<クロマグロ消える!? 100年後水温3度上昇→稚魚死滅>
産経新聞 ttp://sankei.jp.msn.com/ 2009年1月7日
沖縄南方の海域で産卵・孵化(ふか)するクロマグロの稚魚が、海水温が現在のペースで上昇を続けると育たなくなる可能性があることを、東京大学海洋研究所の研究チーム(木村伸吾教授)が突き止めた。気象庁は、日本近海の水面温度は今後約100年で平均2~3度上がると予測しており、予測どおりだと稚魚の大半が死滅し、現在の産卵場では卵の孵化率も低下するという。“海のダイヤ”と呼ばれ、世界中で人気が高まっているクロマグロだけに、研究結果に注目が集まりそうだ。(今泉有美子)
クロマグロは太平洋に広く分布し、日本人にもなじみの深い「クロマグロ」と、地中海などの大西洋に広く分布する「タイセイヨウクロマグロ」に分類される。研究で死滅の恐れが心配されているのは太平洋に分布するクロマグロだ。
研究チームは、産卵直後のクロマグロの卵を採取。水温ごとにグループ分けして、成長を観察した。
現在の海水温と同じ26度の環境では、3日以上経過しても7割近くの稚魚が生きていたのに対し、29度では1日で半数が死滅。2日以上経過すると、ほとんどの稚魚が死滅した。
卵の孵化率にも温度が大きく影響していることが分かった。26度から28度の間では、ほぼ100%孵化したが、29度では約8割、30度では約7割、31度では約半数しか孵化しなかった。
今後100年で日本近海の水面温度が2~3度上昇すれば、クロマグロの稚魚が育たない環境になる恐れがある。研究チームが稚魚を調べたところ、高温で育った稚魚は、体を構成するタンパク質に異常なものが多く生成された可能性があり、それが死滅の一因になったとみられる。
孵化率についても、木村教授は「クロマグロの稚魚はただでさえ外敵などの危険が多く、ほとんどの個体が孵化するのが望ましい。孵化率の低下は、個体数に大きな影響を与えるだろう」と指摘する。
クロマグロは「本マグロ」とも呼ばれ、引き締まった身はマグロの中でも特に美味とされており、国内外で人気が高い。東京・築地をはじめとした市場では高値で取引され、“海のダイヤ”とも称される高級食材だが、最近では乱獲による資源量の低下も心配されている。
クロマグロの産卵は毎年5~7月にかけ、太平洋一帯から沖縄南方の海域に集まって一斉に行われる。1カ所で産卵する理由は定かでないが、木村教授は海流の少ない同海域を“クロマグロのゆりかご”と呼ぶ。「流れが停滞するので、遊泳能力のない稚魚でも流されることがなく、プランクトンを捕食しやすい。外敵も少なく稚魚の育成に適している」という。
「(水温が上がれば)涼しい海域に産卵場が移る可能性もあるが、海流などにぶつかれば“ゆりかご”の機能がなくなってしまう」と木村教授。水温上昇は、稚魚にとって厳しい環境になることは確かだろう。
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オヤジが中学生だった今から約35年前。
ローマクラブが発表した「成長の限界」や、あるいは第1次オイルショックが起きて、石油はあと30年で枯渇すると言われていました。
でも、35年経った今でも相場の波動はあるにしろ、石油が明日にも無くなるなどという自体にはなっていません。まだまだ新たな油田が開発すらされています。
何故か?
それは今のままの消費状態が続けばということと、今の技術レベルで確認され採掘可能なものということの枯渇のための2つの前提が実際には変化しているからです。
冷静に考えれば前提が変化する方が自然の成り行きです。
この手の発表はこういった「前提が変化しなければ・・・」というワナがあって、鵜呑みにすると術中にハマります。
自然界において「一定であること」、「毎年同じことしか起きないこと」こういったことの方が異常なことであり、仮にそういう状況になる方が余程恐ろしいのです。
変化があることこそノーマルであり、地球上の壮大な歴史の中の米粒にもならない僅かな期間の変化をことさらに誇張したとて現実性ではほとんど意味をなすとは思えません。
変化によって進化があり、危機感によって知恵が生まれ革新が起こるのだと冷静に変化を受け止めることが大切です。
この記事にも「海水温が現在のペースで上昇を続けると」という前提があります。ひょっとすると今のクロマグロを食して楽しむ生活の視点ではもっと悪い状況もあり得ますが、変化を考えると必ずしも悪いことばかりにならないでしょう。
学者が仮説の前提として言うだけなら愛嬌で済みますが、マスコミがさも現実味があるように危機感を煽って、だから温暖化防止のために・・・などと環境ビジネスを後押しするような主張するのはいかがなものかと思います。
産経新聞 ttp://sankei.jp.msn.com/ 2009年1月7日
沖縄南方の海域で産卵・孵化(ふか)するクロマグロの稚魚が、海水温が現在のペースで上昇を続けると育たなくなる可能性があることを、東京大学海洋研究所の研究チーム(木村伸吾教授)が突き止めた。気象庁は、日本近海の水面温度は今後約100年で平均2~3度上がると予測しており、予測どおりだと稚魚の大半が死滅し、現在の産卵場では卵の孵化率も低下するという。“海のダイヤ”と呼ばれ、世界中で人気が高まっているクロマグロだけに、研究結果に注目が集まりそうだ。(今泉有美子)
クロマグロは太平洋に広く分布し、日本人にもなじみの深い「クロマグロ」と、地中海などの大西洋に広く分布する「タイセイヨウクロマグロ」に分類される。研究で死滅の恐れが心配されているのは太平洋に分布するクロマグロだ。
研究チームは、産卵直後のクロマグロの卵を採取。水温ごとにグループ分けして、成長を観察した。
現在の海水温と同じ26度の環境では、3日以上経過しても7割近くの稚魚が生きていたのに対し、29度では1日で半数が死滅。2日以上経過すると、ほとんどの稚魚が死滅した。
卵の孵化率にも温度が大きく影響していることが分かった。26度から28度の間では、ほぼ100%孵化したが、29度では約8割、30度では約7割、31度では約半数しか孵化しなかった。
今後100年で日本近海の水面温度が2~3度上昇すれば、クロマグロの稚魚が育たない環境になる恐れがある。研究チームが稚魚を調べたところ、高温で育った稚魚は、体を構成するタンパク質に異常なものが多く生成された可能性があり、それが死滅の一因になったとみられる。
孵化率についても、木村教授は「クロマグロの稚魚はただでさえ外敵などの危険が多く、ほとんどの個体が孵化するのが望ましい。孵化率の低下は、個体数に大きな影響を与えるだろう」と指摘する。
クロマグロは「本マグロ」とも呼ばれ、引き締まった身はマグロの中でも特に美味とされており、国内外で人気が高い。東京・築地をはじめとした市場では高値で取引され、“海のダイヤ”とも称される高級食材だが、最近では乱獲による資源量の低下も心配されている。
クロマグロの産卵は毎年5~7月にかけ、太平洋一帯から沖縄南方の海域に集まって一斉に行われる。1カ所で産卵する理由は定かでないが、木村教授は海流の少ない同海域を“クロマグロのゆりかご”と呼ぶ。「流れが停滞するので、遊泳能力のない稚魚でも流されることがなく、プランクトンを捕食しやすい。外敵も少なく稚魚の育成に適している」という。
「(水温が上がれば)涼しい海域に産卵場が移る可能性もあるが、海流などにぶつかれば“ゆりかご”の機能がなくなってしまう」と木村教授。水温上昇は、稚魚にとって厳しい環境になることは確かだろう。
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オヤジが中学生だった今から約35年前。
ローマクラブが発表した「成長の限界」や、あるいは第1次オイルショックが起きて、石油はあと30年で枯渇すると言われていました。
でも、35年経った今でも相場の波動はあるにしろ、石油が明日にも無くなるなどという自体にはなっていません。まだまだ新たな油田が開発すらされています。
何故か?
それは今のままの消費状態が続けばということと、今の技術レベルで確認され採掘可能なものということの枯渇のための2つの前提が実際には変化しているからです。
冷静に考えれば前提が変化する方が自然の成り行きです。
この手の発表はこういった「前提が変化しなければ・・・」というワナがあって、鵜呑みにすると術中にハマります。
自然界において「一定であること」、「毎年同じことしか起きないこと」こういったことの方が異常なことであり、仮にそういう状況になる方が余程恐ろしいのです。
変化があることこそノーマルであり、地球上の壮大な歴史の中の米粒にもならない僅かな期間の変化をことさらに誇張したとて現実性ではほとんど意味をなすとは思えません。
変化によって進化があり、危機感によって知恵が生まれ革新が起こるのだと冷静に変化を受け止めることが大切です。
この記事にも「海水温が現在のペースで上昇を続けると」という前提があります。ひょっとすると今のクロマグロを食して楽しむ生活の視点ではもっと悪い状況もあり得ますが、変化を考えると必ずしも悪いことばかりにならないでしょう。
学者が仮説の前提として言うだけなら愛嬌で済みますが、マスコミがさも現実味があるように危機感を煽って、だから温暖化防止のために・・・などと環境ビジネスを後押しするような主張するのはいかがなものかと思います。