一昨日の続きです。
レ・ミゼラブルは“『噫無情』(ああむじょう)”だったのです。何となく、『ああ無情』のタイトルに聞き覚えがあります。まあ、本は読んだことはないですが。
岩波文庫版で(豊島与志雄訳)全四巻、一巻辺り六百頁だそうです。1815年から1833年、18年間のフランスを描いたのですから、それなりの長編です。
そんな長編を2時間38分に圧縮するのですから、ある程度の事前知識がないとストーリーが理解できないのです。
私も、以前から、どうして?たかがパン一個で19年間も牢獄に?と思っていたのです。そんなことでは、牢獄は幾つあっても足りないと思っていました。
今回、映画を見終わった後、ちょっこと調べて判ったのですが、ジャン・バルジャンは、何度も、何度も、脱獄を図り、その度に刑期が延びて、その挙げ句の19年だったのです。映画のなかでもその事には触れていません。
※刑期について、お二人の方から冒頭で語られているとの指摘を受けました。「触れていません」は誤りで、単に私が見逃しただけでした。失礼しました!・・・2018年04月30日
それは、もう、観る人は判っていることが前提なのでしょう。それだけ有名なお話なのです。だから、フランスの小説が、イギリスでミュージカル化され、アメリカで映画化されたのです。
1985年にロンドンで初演され、27年後の現在も公演中で、世界中で上演されて、観客動員数が6000万人を超えているそうです。
どうして、何故に、これほどの人気があるのか?
確かに、映画は感動的でした。何に感動したかと云えば、格差、差別、
貧困に苦しむ民衆、
変革に立ち向かう若者、
悲しい恋があり、
友情があり、
貧しい母と、
少女、
※この有名な“コゼット”の挿絵、寒空に裸足で、ボロボロの服を着せられ、自分の背丈よりも長い箒を持たされ、掃除をさせられているのです。もう、これだけを見ても泣けてしまいます。
正義の意味を、
生きることの意味を、宗教の意味を、
バルジャンと、
ジャベール警部との駆け引きを縦糸に、
※この男、法の秩序が絶対であり、犯罪を憎み、犯罪者を許さない、そのことが正義であり、自分の使命だと・・・・・・。彼は両親が犯罪者で牢獄で出生した、つらく悲しい過去を背負っていたのです。でも、映画だけではその点が良く判りません。これも、誰でも知っている常識?
兎に角、波瀾万丈のてんこ盛りだから・・・・・・と、考えます。
観客は、いろいろなテーマを一つの作品で楽しめ、見終わって、それなりの満足感と感動があります。
最後は、不幸な少女時代を過ごした“コゼット”が、大金持ちの息子“マリウス”と結ばれ、
それを見とどけてジャン・バルジャンは天に召される・・・・・・、観客は、ヨカッタ!ヨカッタ!で、涙して席を立ち上がる。※原作はどうなっているのかは判りません。
それにしても、孫と同じ年頃の“コゼット”が可哀想で、可哀想で、
何で、そんなに虐めるの!と、でも、酒場を営む“こんな夫婦”に何故フォンティーヌは娘を預けたの?と、思ったりもして。
でも、この夫婦はコミカルに描かれているのです。極悪人では無いのです。小銭がほしいだけの単なるフツウの欲張り、本当の極悪人は他に居るとのメッセージだと・・・・・・。
それにしても、この浮浪児“カブローシュ” バリケードで軍の銃弾で命を落とすのですが、ジャベール警部は自身の勲章を外し“カブローシュ”の胸に献げ、勇気を称えるのです。このシーンは感動でした。もう少し、丁寧に時間を割いてほしかったです。
貧困、格差、富の偏在、99%対1%、遠い19世紀の昔話から、いま、この21世紀の世界で、新たに問題になってきています。
物語の幕は未だ下りていないと云うか、未だ、幕も上がっていない?
“レ・ミゼラブル”は「悲惨な人々」と、云った意味だそうです。
それにしても、兎に角、“レ・ミゼラブル”は観て損の無い作品です。明日から週末、みなさん映画館に駆け込みましょう。
それでは、また。
ミュージカル映画は好きじゃないからと思っていたのですが、2回も観に行って2回とも泣きました。
ガブローシュには私も泣きました。
賢くて生意気でやんちゃな彼の存在は暗い物語の中でも輝いてましたね。
>映画のなかでもその事には触れていません。
冒頭、ジャベールがバルジャンを仮釈放するくだりで、
「パン一つ盗んだだけだ」と言うバルジャンに
「残りは脱獄の罪だ」と言っていますよ。
ちょっと気になったので・・・。
生と死と愛と友情と正義と悪と幸福と不幸と、その他色んなことを考えさせられる映画でした。
それにしても、“(空)さん”コメントありがとう!