外装フィルムに貼られていたシールです。別にナショナリストではありませんが、なんか元気がでますね。
今週一週間はこの写真をトップにしたいと思いますので後から投稿した「からふるハーモニカ」より前に(時間的には後ろか。。ややこしい)もってきます。ご了承下さい。
#可愛いですから次の「からふるハーモニカ」も是非見ていって下さいね。それと次の二つも。。エヘヘ。
さて本編です。
Hohner, Seydel, Hering, Tombo, Suzuki と優秀なハーモニカを製造するメーカは色々あります。
小さくて、一見単純な構造の楽器ですが、それぞれに工夫が凝らされ、熟練者によって調整されたハーモニカは時に演奏者の想像を超えるような振る舞いで我々を楽しませてくれます。
今回は楽器製造のメッカ静岡県浜松市で「Made in Japan」に誇りをもってハーモニカを作り続けている
昭和楽器さんのハーモニカを紹介します。
昭和楽器さんを初めて知ったのは随分前です。
「へぇー、トンボやスズキ以外にもあるんだ」というのが最初の印象でした。
ところが最近になってワイフのお姉さんより
ミニハーモニカをプレゼントして頂き鳴りの良さから調べた所、昔みた昭和楽器さんが製造元でした。
その後
昭和楽器さんのブログを見つけ、そのなんとなく和んでしまう投稿の中に何十年も前からハーモニカを作り続けている記事を見ているうちに段々と興味が湧いて来たのです。
真空管のクロマチックチューナーや、
昔の工場の話とかはハーモニカ吹きに限らずイマジネーションを掻立てられます。
森のなかまは10Holesとクロマチックという最近ではあまり珍しくない組み合わせをメインでやっています。
昭和楽器さんが製造されているのは、
日本配列の複音と教育用のハーモニカがメインです(ミニハーモニカもですね)。
複音に似たものでトレモロ(ダブルリード)といって同じ音階のリードを二つもち、片方のピッチを微妙にずらす事で「わんわんわん」とトレモロがかかるハーモニカは海外にもあります。HohnerのEcho等がそれにあたります。
どことなく懐かしく、ちょっと寂しい、それでいてカランと明るく爽やかにもなれる音色は多くの方が「あっ、ハーモニカだ」と思うものです。
私も短めのEchoは持っていて時々吹きます。レンジが狭いのでGolden Melodyのダブルリードを購入したのですが出荷時の調整があまり行われていないのか片方のリードしか鳴らないのに少しガッカリした記憶があります(たまたま当たった個体差だと思います)。
生まれて初めて購入した日本式配列の複音「
複音ハーモニカ21穴C調」です。
Seydelの時もそうでしたが、またもや立派なカートンボックスです(笑)。
今でこそ普及価格帯の複音ハーモニカも樹脂ケース等が多くみられますが、やはりカートンボックスは上位機の証なのでしょうか。いずれにせよとても良い出来です。
上品なエンボスが施され、多少の水に濡れても大丈夫なように(多分)処理された紙に銀色の箔押しがされています。
なお、角っこが白く汚れているように見えるのはエンボスに光が当たっているためですのでご心配なさらないように。
蓋を開けてみます(笑)。
開封時にはハーモニカが更に袋に入っていましたが今は取っています。
シックな紺色の外装に対し、内側は対照的に明るいマゼンタ色です。かなりラグジュアリな感じで飛ばしています(笑)。
いつまでもカートンボックスに捕まっているわけにはいきません(笑)。
本体です。彫金部分は社名とモデル名のみというシンプルさ。金属プレートの美しさが映えます。
#写真を撮るのがムチャクチャ難しかったです(笑)。
写真を撮るのを忘れてしまいましたがカバーにはMarineBand同様にベンチホールが開いています。トレモロの軽やかな音をより際立たせるものかと思われます。
色々とハーモニカは手にしましたが、この複音を手にした時は重さのバランスに思わず「ニヤリ」としてしまいました。
手にとって何かをするモノには「大きさに対して程よい重さ」があります。別にJIS規格で決まっているわけではないのですけどね(笑)。
10Holesやクロマチックに比べ縦横比が大きく細いのですが、この複音ハーモニカは見た目のイメージより僅かに重さがあり、それが濃密な感じを醸し出しているように感じるのであります。
むかし吹いていたおじいちゃんとかが、こんなの贈られたらシビレルだろうなと思ってしまいます(笑)。
#森のなかまもシビレてしまいますが。。
開口部です。感心したのは樹脂で出来たボディに「ヒケ」が少ない事です。
樹脂は整形時の過程やらなんやらで、結構表面に窪み「ヒケ」が出来ることが多いのです。国産の10Holesの樹脂ボディなんかをみても「ヒケ」が結構多いのです。
まぁ、リードと接触する箇所に「ヒケ」が発生していなければ性能には関係ありませんので、目くじらを立てて「ヒケ」を排除する必要はないです。
でも、殆ど「ヒケ」が無いのです。精度が高いのでしょうね。
また、パーティングライン(金型が組み合わさる箇所で少し樹脂が漏れてスジができるのです)も全く見当たりません。
ご年配のユーザや伝統が古い事から、こういった事には厳しい要求事項があるのかもしれません。
いずれにせよ、とてもお金が懸かった金型が使われていると思われます。10Holes(陥没式)でもこのレベルのものがあったらなぁと思うばかりです。
リードプレートはSuzukiのプレートに似ています。
プレートがニッケルと思われるメッキがかけられ変色し難くなっています。非常に美しいです。
拡大してみます。リードを直接触れてもリードを整形する時にでるミーリング(切削)跡を感じないくらいに磨かれています。
また、アーチング、ギャップ調整に殆ど乱れはありません。
ピッチ調整もミニマムに行われているためリードが殆ど削られていません。
すごい、すごい♪
コームを前から見てみます。歌口の白いパーツは「ポジションマーク」と言って「ド」を表します。10Holesには無い文化ですね。
樹脂を切削しているのかな?と思う位ですがよく見ると突き出しピンの丸い跡もあるように見えます。うーん、良く出来ている。。
ポジションマーク部分のアップです。色が塗ってあるのではなく異なるパーツが組み合わさっているのです。
コームの角は全てアールが付けられているのでベースを入れても痛くないのです。
ここに凄い力が加わったりするわけではありませんが、隙間ができれば息が漏れてしまうような箇所に、わざわざリスクを冒してまでこのような細工を施せるのは精度の高さと拘りが感じられます(他社の複音にも多くみかけます)。
また短辺側を見てもパーティングラインがありません。陥没式の樹脂製10Holesは必ずといって良い程ここに何かしらのヒケやパーティングラインがありますが、このコームにはありません。
例によって随分と偏った見方をしてきましたが(笑)、作りは非常に素晴らしいです。
複音はみんなこのような品質なのでしょうか。少し羨ましいです。
さて、吹いてみた感想ですが。。
森のなかまはあまり日本式の配列に慣れていません。
またベンドやOB/ODの奏法が無いことから(クロマチックのようなベンドはある程度は可能ですが、トレモロが効き難くなります)、C調、又はAマイナーの簡単な曲を吹いてみます。
立ち上がりも軽く、音詰まりもなく、美しく軽やかに鳴ります。メロディだけでも美しいです。
そこにタングブロックでベースを入れてマイナー調で吹くと独特のトレモロ音が否応無しに昭和の懐かしい世界へと森のなかまをダイブさせるのであります(笑)。昔はこの感じが苦手だったのですが。。
「なんかいいじゃん」
という感じになります(笑)。
レスポンスもよくザッ、ザッとベースを切るときの歯切れも素晴らしく、ちょっとクセになってしまいそうなのです。。。
森のなかまが言うのもなんですが「High Quality Made in Japan 日本製」を掲げる意気込みを感じます。
また今だからこそ、その言葉の持つ意味と重さを考えずにはいられません。
10Holesやクロマチックを演奏される方にはあまり縁のない複音ハーモニカですが、この記事をきっかけに手にしてみて頂けたら無類の喜びであります。
また「昔じいちゃん、ばあちゃんが吹いてたみたいだけど」という方がいらっしゃったらドーンとプレゼントしてみると喜んでもらえるかもしれませんね。
ステキな演奏をきかせてくれるかもしれませんよ。
それでは。
P.S.
いつもは逃げていたのですが、この複音ハーモニカのカバーは鏡面箇所が多く、光がやんわり回ってしまうと真っ白になってしまうのです。
で、今回はこんな風に撮影してみました。
本当は黒い紙等を使いたかったのですが無かったので、黒っぽいファイルを台に乗せて、それをハーモニカに映り込ませて彫金部分を出してみました。
こんな間に合わせで申し訳ないです。
P.S.2
せっかくなので我が家のダブルリード軍団と大きさ比較用の10Holesで記念撮影したのを忘れていました。
左からGolen Melody Double Reed, Special-21, Echo, Master Bluesとなります。
手を抜いて黒の映し込みをしないとこうなってしまいますよ、という例になってしまいますね(笑)。。。みんな真っ白です。。