色々考えてこれになりました。
これまで色々と懐中電灯を紹介してきました。森のなかまは手元をポッと照らすような用途が多いせいか、小型でやんわりした光の懐中電灯が好きだったりします。
今回はちょっといつもと異なりまして。。「防犯ライト」です。
防犯といっても不審者や不審物がないかを見回る能動的防犯ではなく危害を加えられそうになったときの対処としての受動的防犯。森のなかまが求めたのは。。
逃げる一瞬の隙をつくる
この1点だけがテーマです。なので圧倒的な優位にたって制圧を試みるようなものではありません。
帰宅時間が遅くならざる得ない女性。防犯ブザーやホイッスルに追加する防犯グッズとして参考にして頂ければ幸いです。
ただ。。なんというか。。想いが先行してしまい長いです。。うまくまとめられずすみません。
Streamlight社の
ProTac 1L-1AAという懐中電灯です。写真のはコヨーテというカラーで他に黒があります。
こちらで購入しました。一番軽いCR123Aとの組み合わせでは66グラムと非常に軽いです。
先日自衛のため
催涙スプレーや
スタンガンの購入を検討されている女性の方にお話を伺う機会がありました。最初はちょっと過剰かな。。と思ったのですがお話を伺うと。。「無理もない」と思うような恐ろしい体験でした。
しかし対象に接触が必要なもの。広範囲に影響が及ぶものは風向きや距離によっては自爆。市街地では関係のない人を巻き込んでしまい加害者になってしまう可能性も高いです。
そして、そういった失敗以上に強い装備を手にしたときの過信から必要以上の深追いをしてしまい望まぬ事故を起こしてしまうことを懸念しました。
また。。そのお話を伺う2ヶ月ほど前。お風呂上がりに少し開けた風呂場の小窓に両手のひらを押し当てられたのをワイフが目撃しました。酔って自分ちと間違えて伴侶を驚かそうと思ったの「かも」しれませんが、なんらかの対策が必要です。
対策として一番妥当と思われる「
Thurunite TN12 2016」を予め設定しておきスイッチ一発でMAX照射するようにしたものをワイフに渡しました。森のなかま夫婦間でのコードネームは「うえぽん」。
風呂場の照明を点けた状態で森のなかまが外から中を覗き込む状態で照射してもらったところ暫く視界が奪われることを確認しました。改めて通常は「人に向けて照射してはいけない」と思うのでありました。
話が逸れましたが、何も危険を犯したり他人巻き込んでまで相手を行動停止にするのではなく「一瞬の隙を利用して逃げる」のが目的です。
「1000ルーメンを超えるライトがポケットに入る時代なんだからなんでもよいのでは?」
「タクティカルライトならいいのあるじゃないですか」
確かにいくらでもありそうです。森のなかまも軽く考えていました。しかし人に勧めるとなると。。そう簡単なことではなかったのは驚きでした。
「1L-1AA」という妙な名前は異なるサイズの電池を使えることから来ています。写真左は単3電池サイズのリチウム電池。もちろん単3型のアルカリ電池、ニッケル水素電池も使えます。真ん中の短いのはCR123Aリチウム電池で単3型よりも電圧が高く最大の明るさが高くなります。
一番短いCR123A電池を抑えるストッパーがあります。その奥にスプリングで支えられたもう一つのストッパーで長さの異なる電池を使用することができます。
普段は防犯ライトとして最大出力の高いCR123Aを使い、災害時には入手し易い単3電池が使える防災ライトとして機能します。一見色物ちっくに思えますがきちんと機能するので心強いものであります。
スイッチは柔らかくセンシティブです。軽く押すと点灯、離すと消灯という間欠点灯とモーメンタリとして動作します。押し込むと常時点灯とオルタネイトで動作します。
間欠点灯はスイッチから手を離せば消灯することです。
細心の注意を払ってタイミングを見計らい照射。そして次の行動。
何も考えず対象に向けて照射。そして逃げる。民間人では後者が殆どかと思います。
この時、ライトが点灯しっぱなしでは自分の位置を知らせてしまいます。幻惑して瞼を閉じても光源がどちらへ移動したのかはわかるものです。
また対象への的中が不十分なまま点灯し続ければ眩しさに慣れさせてしまう時間を与えてしまうことになります。スイッチから手をはなしたら勝手に消灯するのが合理的だと考えています。
まぁ、常時点灯になってしまっても再度深く押し込めば消灯できます。ただ。。この再操作を意図的に行う必要があります。そして再度点灯するときも同じ操作が必要です。個人差はあるかもしれませんが極度の緊張状態でこういった操作を的確に行う自信はありません。
ちなみに全てのライトが間欠点灯できるわけではありません。
カチンと押し込んでスイッチから指を離すと初めて点灯するものをリバースクリック式等といいます。
間欠点灯できるスイッチはフォワードクリック式などとよばれ、調光できるものはカチンとスイッチを押し込む前に明るさを決め、変更するときは一旦オフにする必要があります。
リバースクリック式は点灯してから半押しすると電気回路がオフを検出し指を離すと調光したりできるのが特徴です。多機能なライトはこの方式を採用しているものが殆どです。どちらにも使い方によって向き不向きがあります。
ちなみに、ワイフに渡した「うえぽん」はヘッド側に調光専用のサイドスイッチを備えています。なので間欠点灯ができて点灯中に調光もできます。
おまけに、最後に点灯した明るさを覚えているのでMAXに設定しておけばいつでもMAXで点灯します。が。。眩しい。。と思って暗くしたまま消灯すると次回はそのモードで点灯してしまいます。頼りにしていた器具が期待通りに動かない。。しかも極度の緊張状態で。。パニックです。ただワイフは調光という概念がありません。ある方が珍しいと思います。
じゃぁ。。「必ずMAXでスタートすればいいじゃん。。」と思われるかもしれませんが近くを見ようと点灯したらいきなりMAXではこれはこれで困ります。。。で、最近は電子スイッチが賢くなってきてショートカットというものが用意されているものが多くなりました。多くはサイドスイッチ式のものですが。。
シングルクリックで前回の明るさで点灯。ダブルクリックで最大。長押しで最少。。など。。覚えてしまえば結構カンタンです。リラックスした通常時であれば。。
Streamlight社のProTacシリーズはTEN-TAPという非常に優れた方法でユーザのニーズに応えてくれます。TEN-TAPがあるからからこそ1L-1AAを選んだと言っても過言ではありません。これは後ほど説明します。
スイッチの周りに切り欠きが3つあります。出っ張ったところにランヤードをつけるための穴があります。
天井のあるところで懐中電灯を上に向けて立て間接照明のような使い方をすることができます。キャンドル立てなどと呼ばれていたりします。
このライトも一見ライトを上に向けて使うキャンドル立てができるようにも見えますが、スイッチが出っ張っているので殆ど安定しません。
出来ないより出来た方が良いですが、そのために失うものが大きければ出来ない方が良い事はあります。このライトにキャンドル立てを求めるのはナンセンスだと思います。
実際出っ張りによって常時点灯させるためには指の先端でスイッチを押さないと押し込むことができないようなストローク配分になっています。突起物でもなければ誤点灯はありません。
人によっては「常時点灯させにくい=使いにくい」と思われるかもしれませんが、ライトを強く握ってしまうような緊張状態で不用意に常時点灯させない優れた設計なのかなと感心しました。
まぁ、押しやすさ優先でスイッチが完全に出っ張っているほうが良いという意見もありますので一概には言えませんが。
このスイッチの特徴は実際手にとってみて初めてわかりました。
スペック値だけではわからない事は結構あります。
森のなかまの体格では常時点灯するために指の先でスイッチを押す必要があります。この時ライトを握りを緩めて4本の指だけで保持することになります。
ちなみに、親指でテールスイッチを操作するこの持ち方を「逆手持ち」などと呼びフライパンみたいに持つのを「順手持ち」と呼ぶそうです。
やってみればわかりますがスイッチ操作の速さ、目線の高さへの照射を維持するには逆手持ちに利があります。前に突き出さなくても良いので奪われる可能性も低く、高い位置からの次の動作へ移りやすいなどのメリットもあります。
手のひら全体でライトを保持した場合、親指の付け根あたりでスイッチを操作することになります。スイッチ周りの切り欠きにより押し込むのが難しくなるようになっているので緊張状態でも常時点灯してしまう可能性は低いです。
精悍に付けられた菱目のローレット(滑り止め)はスイッチの周辺一部にしか付けられていません。ライト全体についていても見た目もグリップ力も上がると思われるのですがライトを抜き出す時に衣類に引っかからないようにとの配慮かと思います。
親指の付け根付近でスイッチを操作しようとした時にちょうど人差し指に引っ掛かりができる位置にあるのもうれしいです。
スイッチだけで随分な量の駄文を書いてしまいました。申し訳ありません。
一言添えると(笑)
米国ではこれに銃が加わります。強すぎる武器ですが。。それはさておき。。銃が加わるとどうなるのか。
利き腕はガンをもち、もう片方でライトを操作するのが自然だと思われます。そう。ライトの操作性を利き腕だけで判断してしまうと色々不都合がでてくるかもしれません。
防犯であれば利き腕で防犯ブザーや
緊急通報位置通知を起動させる事になるのかもしれません。なので簡単明瞭で素早く確実な動作を異常なくらい求めてもバチはあたらないと思っています。
どんだけ優れたライトであってもカバンの奥のポーチに入っていては単なるウエイトです。そんな時役に立つのがこのクリップです。割と幅広で適度な硬さなので差し込むのに一苦労というようなことは少ないかと思います。
一度折り返したZ字状になっているので差し込む方向が選べます。ヘッドを上にして差し込めば親指ですくい上げるようにすればそのままスイッチを操作できたりもしますが状況に応じて使い分けるとよいでしょう。
クリップが使用できないような状況であればランヤードで首からかけたり、暗い道に差し掛かる前や、玄関のドアを開ける前に手に持っておくのがよいのかもしれません。その時は腕にかけられるランヤードがあると落としてしまう心配がありません。
一応撮るには撮ってみました。おそらくXPG系のLEDかと思います。普段ならリフレクターの仕様などが気になるところですが防犯目的で購入したので確実に光ってくれれば良いと思っています。
CR123A Low:40Lumens(14H), High:350Lumens(1.5H)
写真には撮影しませんでしたが単3型では以下のようになります。
アルカリ単3電池:Low:40Lumens(7.5H), High:150Lumens(1H20M)
リチウム単3電池:Low:40Lumens(14H), High:150Lumens(4H15M)
Lowは同じですがHighの明るさが異なります。
リチウム単3電池を使用するとLowが倍近くなります。リチウム電池はアルカリ電池のような液漏れも殆どなく保存も10年以上利きます。普段あまり使わない方が使おうとしていたら放電しきっていた。液漏れしていて機器が壊れていたといったアクシデントが起きることが非常にすくないです。
その分高価でありますがネット通販を探せばそこそこのお値段で入手できるかと思います。
中心に明確なスポットがありメーカー表記では160メートルと飛距離はそこそこあります。
Lowの40ルーメンが明るくかなり使い出があります。しかもStreamLight社では珍しくLowでチラツキを感じません。
パッケージに書かれているグラフは縦が明るさ。横が時間を表しています。
常時点灯させた時のグラフかと思います。初期照度の350ルーメンは30分で200ルーメン程度に落ちていきます。誇大表示を見たことがないStreamLightらしい正直なグラフだと思います。
充電式のRCR123Aの記述は見当たりませんでした。使わないのが無難かと思います。
さて、この1L-1AAにはTEN-TAPという素晴らしい特徴があります。
スイッチを半押しをトントントンと続けます。10回目で押し込むと1秒ほどの合図と共に消灯するとライトのプログラムを変更してくれます。タイミングは
メーカーのビデオが参考になるかと思います(0:52あたり)。
ストロボの合図:High, ストロボ, Low, Low〜
Highの合図:Highオンリー
Lowの合図:Low, High, High〜
TEN-TAPするごとにプログラムが変わります。デフォルトはストロボを含む3モードのプログラムです。
設定されたプログラム内のモード変更も半押しで遷移させますが、変わっているのはターンアラウンドではないことです。2モードであればLow, High, Low, HighではなくLow, High, High, Highとなることです。
3モードは置いておくとして。。2モードはかなり魅力的です。
使い出のあるLowを普段使いに。緊急時には半押し2回でMAXです。しかも失敗して何回押してもHighのままですので防犯目的にも合致します。
よくあるLow, Mid, High → LowではHighに入れたつもりが勢いあまってLowになってしまいパニックになるのを防げます。
実際しばらくは2モードで使っていました。とてもメリハリがあって使いやすく「これでよいのでは?」と思いました。が。。。そうなると光の色とかが気になりだし「高演色だったら」と本来の目的からだんだんずれていく事に気づきました。それほど魅力的なセッティングです。
もし、防犯目的よりも日常使いとして2モードを優先させるのであれば
H2Tさんのカスタムを利用するのも良いかもしれません。
現在はHighオンリーで設定しています。Low, Highの2モードの時より使用頻度は減りましたが液漏れの少ない保存が効くリチウム電池。おまけに軽いのでバッグの内ポケットに引っ掛けっぱなしでスタンバイさせています。
ようやく書きたい事を殆ど書き終えられました(笑)
同じ単3を使用するお気に入りの
PELICAN 2350。今は
マイナーバージョンアップのGen2というのが出ていて明るさも100ルーメンから178ルーメンへとアップしTEN-TAPと同様にプログラム変更を備えるようになっています。どこか国内で取り扱ってくれればと願うばかりです。
ちなみに
7110 Tactical Flashlightというのもあり、こちらは1L-1AAと同じように単3とCR123Aの両刀使いです。
PELICAN 1910。私がもっているのは72ルーメンですが現在は106ルーメンになっているそうです。Highから始まる2モード。現在の仕様であれば防犯目的にも使えるかと思います。
高価なタクチカルライト。
Surefire L4。最近までは16650という充電池でやんわり使っていました。175ルーメンという数字は今となっては見劣りするスペックですがCRA123A x 2で使うと随所にその良さを再認識させられるのでした。
最大470ルーメンと明るさは明るいもののLow始まりで間欠点灯ができない
ReyLight Brass Pineapple。
このライトを防犯ライトとして使おうとは思っていません。そういう風につくられていないからです。重くても大好きな真鍮性。趣味として持ち歩いていたり。。
お風呂に浸かる時にキャンドル立てして楽しんでいます(笑)
最後になりますが。。冒頭にお話を伺った女性に
OLIGHT S1Rと
ナースライトをお試しで使ってもらいました。
S1Rはサイドスイッチ式なのでスイッチの場所が分かり難く速射性は皆無です。森のなかまが考える防犯ライトとしては不適格ですが500ルーメンくらいの明るさがどれくらいのかを知ってもらった上でどれくらいあれば良いかを伺うのが目的でした。S1Rはそのコンパクトさと多機能ゆえ最終的に日常使い、防災ライトとして落ち着く事になりました。
一方ナースライトは。。オマケのつもりでしたが、ボールペンライクのスイッチと細さで収納性が良いことを気に入ってくれました。
ということで最終的に提案したのは二つ。
Streamlight Micro Stream USB 注:コヨーテだけがHigh始まりです。他はLow始まりです。
Streamlight Stylus Pro 90ルーメン 注:
2019/11/24現在100ルーメンが最新です
そしてStylus Proの赤を購入することになりました。
Stylus Proを推したのは理由は予算的なこと、電池の入手のしやすさもありますが。。
どんな操作をしても常に最大の明るさで点灯する。
ことに尽きます。シングルアウトプットの強みであります。
中国のライト専門メーカから同じ価格帯でよりハイルーメンで多機能なものは沢山あります。しかし多機能が必ずしも「使える」かは別な話です。
中国メーカーの懐中電灯大好きな森のなかまですが見落としはあるかもしれませんが今回は候補にあがるものはありませんでした。
「携帯しやすいよう小さく女性の手でもしっかり握る。モバイルバッテリで充電でき間欠点灯が可能なシングルアウトプットのライト。ただし危険を感じるような熱は発しない」
技術的な問題は無いはずですが商業的に成り立つかというとこに疑問符がつくのかもしれません。ただ。。それくらい割り切った製品にしないと高い緊張状態で使用することが予想される防犯ライトとして人に勧められないというのが今回感じたことです。あくまでも森のなかま個人の考えですが。。
プロモーションしにくいかもしれませんが先鞭をつけてみる中国メーカーさんいらっしゃいませんか?
Low始まりのやんわりした趣味的な懐中電灯が好きな森のなかまが、まさか1L-1AAのようなライトを紹介するとは思っていませんでした。お値段が高いことを除けば相当練られた製品だと思いました。
今回改めていろいろと勉強させてもらいました。お話を伺った女性には改めてお礼を言わせて頂きます。
ありがとうございました。
そして長々した駄文にお付き合い頂いた方。おつかれさまでした。
それでは!