森のなかまと楽しい10Holes

手のひらにすっぽり隠れてしまう小さい楽器10Holesについてボチボチと

ようこそ

まとめ:ハーモニカのお手入れについて
まとめ:ハーモニカの調整について

申し訳ありませんが現在ハーモニカ調整に関する技術的な質問にはお答えしておりません。質問して頂いても無視することもありますので予めご了承ください。

夢のハーモニカ Hohner XB-40

2012-09-03 00:44:55 | ハーモニカの機種
以前から興味津々だったベンド自在の「夢のハーモニカ」XB-40がようやくやってきました。

ある日「Pat Missin」さんのページを見ていたところ「XB-40 is to be discontinued」との記述を見つけてしまいました。

全ての穴でブロー、ドローベンドができる夢のようなダイアトニック・ハーモニカのXB-40
その大きさ、値段、そして保守的なユーザも多い10Holesの世界ではあまり数がでなかったようです。

Kinya Pollard さんのインタビューによれば。。
1980年初頭に Will Scarletさんによりプロトタイプが作成され Rick Epping さんにより製品化されたそうです。
Will Scarletさんについて調べてみましたがハーププレイヤーとしてこちらのページが見つかりましたが"XB"の文字もありませんでした。。
なお、Videoコーナーにある「Redfoot Boogie」はカメさんとバンプするクリップはなかなか良かったのであります。

XB-40については今は閉店してしまった「harponline」で詳しくリポートされていて多くを知る事ができたのですが、今紹介できるのは次くらいでしょうか。

PLANET HARMONICA」-「Playing Chromatically The XB-40

すぐには無くならないでしょうが、欲しいと思った時に手に入らず悔やむという事は良くある事です。
ハーモニカが好きで好きで好きでしょうがない人間が一生懸命知恵を絞って製品化した「夢のハーモニカ」を見逃せるほど大人ではありませんでしたので「近藤楽器のおっちゃん」にお願いして取り寄せてもらうことにしました。


なぜツイードの印刷物なのか?このケースについては様々な意味で驚かされます(笑)


開く度にその革新性とプロパガンダが目に飛び込みます。


外圧に対しては効果をもちませんが埃や汚れを防ぐには仰々しくなくミニマムで実用的であります。


黒い樹脂製のマウスピースがついたクロマチック大の10Holesです。


Marine Bandよろしくサイドホールがあります。
低音域でのチャギング、バンプは「あぁ Hohnerの10Holesだぁ」と思わせる音色です。


大きさの比較として上からコッホ、XB-40、通常の10Holesとなります。
写真だと大して差がないかと思いますが、通常の10Holesに慣れている方には巨大に感じるかもしれません。


通常の10Holesに比べ格段に音量がでるためフルオープンにする必要はないので昔ながらの折り返しタイプです。
中央にはカバーを支える差し込み式の支柱があるのもクロマチックと共通していますね。

購入前はその大きさから手によるワウは難しいかなぁと思っていたのですが、6ホールくらいはマフリングできますし、出せる最大音量も大きい事かダイナミックスが付け易くかなり効果的にワウをかけられるのは驚きでありました。見た目や経験だけでは分からないところであります。


値段が高めの機種に付属するクロスが付きます。あとインストラクションですね。


XB-40の凄さはこの音数であります。何処を吹いても、吸っても全音ベンド(2 Step)ができるのであります!もちろん3番「吸い」は全音半です!

その秘密は。。。


吹きリードを見てみます。リードの数が倍あります。
通常吹きリードは内側に入っているためリベットは見えません。XB-40も普通に吹くと内側のリードが発音します。

では、リベットの見えているリードは何かというと、内側のリードよりも全音以上低くチューニングされたリードでベンド専用のAuxiliary(補助)リードと呼ばれるものです。

今一度ベンドについておさらいしてみます。例えばCハープで3番吸いを「吸いベンド」すると以下のように3ステップのベンドができますよね。カッコの音は出ません。
 B -> Bb -> A -> Ab -> ( G )

これは、3番の穴に「吸いのB」と「吹きのG」があり、高い音から低い音の方へベンドできる事によります。一緒に同居するリードの音程差(インターバル)によってベンドで出せる音が決まります。

XB-40の場合、1番の「吹きC」に対して、より「吹きの低いA(ぐらい)」に調律されたAuxiliaryリードがあることにより通常の10Holesでは不可能な「吹きベンド」ができてしまいます。

 C -> B -> Bb -> ( A )


左が「吹き」右が「吸い」のリードプレートです。
ここで注目するのは各リードの「Gap:あげみ」です。
右の「吸い」リードはリベットが出ているのが通常発音するリードです。
左の「吹き」リードはリベットが出ているのがベンドの時に使用する補助リードです。

通常発音するリードはスリットから先端が僅かに出ていますが、補助リードは「Zero-Gap」と呼ばれスリットとリードの間に隙間がありません。

えーと。。かなりマニアックな話になってきました(笑)。
このあたりの話までお読み頂けている方は相当マニアな方かと思いますので気にせず続けますね。退屈な方は次の写真まで読み飛ばして頂いても問題ないかと思います(笑)。

あまり聞き慣れないかと思いますが、ベンドという現象に関連した説明をする時にある用語を知っておくと便利であります。

■「Close Reed」発音する時に最初にリード先端がスリットに沈むリード
平たくいうとストレート音を発する時のリードの振る舞いです。
「吸いリード」は外側にGapがついていて、吸う事によってスリットに沈められて発音します。
「吹きリード」は内側についていて、吹く事によって内側から押されて、やはりリードに沈められて発音します。

■「Open Reed」発音する時に最初にリード先端がスリットから離れるリード
普通に考えると「そんな事あんの?」と思われるかもしれませんが、ベンドの時に鳴りだす低い音程のリードはこのような振る舞いをします。
3番を吸うとClose Reedの"B"が鳴り、ベンドがかかり出すと"G"の「吹リード」の先端がスリットから離れ始め発音を始めます。
クドクなるので書きませんが「吹きベンド」も同様です。

と、このようにベンドの音はOpen/Close Reedのせめぎ合いで行われるようなのです。

さて、長くなりましたが「Zero-Gap」になっている補助リードはいずれも「Open Reed」になります。
通常の10Holesでは「1本のリードでClose,Open」の役割を担わせるため「Close Reed」の時に音が詰まらないようにある程度のGapが必要になります。このためGapがある事により、ある程度のロスが発生します。

しかし、XB-40のように専用の補助リードがある場合「Open Reed」にGapは不要になるようです。このためXB-40は「通常の10Holesに比べてベンドし易い」わけであります。

Open/Close Reed という考え方はまだまだ興味深い事が沢山ありまして、とても森のなかまが語れるものではありません。興味のある方は是非「Turbo Harp」社の「Harmonica Research Laboratory」をご覧下さい。本日見てみましたが更にパワーアップしていました。PDFをダウンロードしてゆっくりと楽しんでみたいと思います。

ちょっと話が長くなってしまいましたが、気にせず次に進みます(笑)


リードプレートを押さえているネジですが、実は2種類あります。長いのと短いのがあります。前縁用が短く後縁用が長いのであります。
知らないで組み立てると途中から「あれれ?」となりますのでご注意くださいませ。


特殊なネジの宝庫であるドイツ製ハーモニカですが、今回も「やりたい放題」でした(笑)。PB精密ドライバーセットに1本で#1,#0に対応するPoziブレードがあれば怖いものはありません。

ちなみに森のなかまの個体は。。

カバー、マウスピースを止めているマイナスネジは#0が適合でした。
プレートを止めているポジネジは#0番が適合でした。

こう書くと「プラスの#0でも回せたよ」という方がいらっしゃいます。
森のなかまは2度と手に入らなくなるかもしれない楽器の分解、組み立てにはそういった事はしません。それだけです。


リードプレートとマウスピースを外してみます。マウスピースとコームの間にはガスケットとしてクリーム状のものが塗られていましたので拭取らずにそのままにしました。
マウスピースを止めているネジはてっきり木ネジかと思ったのですが違いました(後述)。


ボディはこんなカンジに上下に分割します。面白いのはリードプレート側にではなくボディそれぞれにバルブが入っています。
このバルブのおかげで「吹く」時は「吸いリード」への空気は遮断されます。「Zero-Gap」の補助リードとも相まって通常の10Holesに比べ気密性が高くなり演奏性、音量がアップするようです。スゴイ。。


マウスピースのネジが入るところにはナットが入っていました。
ナットが締められる事により上下に分割されたボディが前方に締め上げられボディを固定するようです。面白いです。。

ちなみに、バルブは最近流行のエンボスタイプのものがセットされていました。
今回注文するにあたっては「おっちゃん」のところで直接モリダイラさんから取り寄せてもらったので最新版だったのかと思います。
流通在庫品はエンボスタイプのバルブで無いかもしれませんが、それは大した事ではないかと思います。気に入らなければエンボスタイプのバルブは購入できるようですので、取替えてしまえば良いだけです。


高音域のリードの根元を少し沈ませています。

XB-40で一番高いキーでもある"C"は高音域でベンドすると「キーン」とSquealingを起こす事があります。G, AやLow-D等を選択すればそうでもないのですが、何かと体に馴染んでいる"C"です。
明確な根拠や説明は出来ませんが個人的な経験則でこうすることで、やっかいなSquealingを押さえる事ができます。保証はしませんが。。。


根元から中央付近が少しスリットに沈むくらいにしています。先端まで沈ませてしまうと音がでなくなります。かなり微妙な調整になりますのでゆっくり時間をかけて焦らずチェックを繰り返しながら行います。保証はしませんが。。。

さて、いろいろと分解してしまいました。
かなりの数のネジがあります。一つのネジを一回で本締めしなながら組み立ててしまうと色々と歪んでしまいます。
プレートは一旦全てのネジを緩やかに締めてから、中心から端に向かって徐々に締めていきましょう。可能な限り均一な締め具合で。。そして渾身の力で強く締め過ぎないように。。


吹き、吸いどちらでも全音のベンドができる「夢のハーモニカ」ですが、ピッチは自分で作らなければなりません。それなりにピッチをコントロールする技術が要求されます。これを面倒と思うか自由とおもうかは人それぞれだと思います。そもそもダイアトニック・ハーモニカに何を求めるかも人それぞれです。

SuzukiからはSUB30というハープがそろそろ出ますが、こちらはベンドによるクロマチックスケールを主眼に置いているようです。ベンドによって追加される音は半音に留まっています。ミッシングトーンの代替えとして利用するだけであればその方が楽だと思います。

ただボーカルのように自由にピッチを作り出せ、全音のインターバルをゆっくり滑らかにポルタメントできるのは細かいフレーズを重ねるよりもグッとくる魅力があります。

そのまま吹けば既存の10Holesでありながら「ここでベンドできたら」と思うところでベンドできてしまうXB-40。
決してこの1本だけで全てを済ませる程世の中は単純ではありませんが「夢のハーモニカ」だから表現できる事だってあるのだと思います。

まだ付合い始めて日数は少ないですが、吹く度にニヤニヤさせらたり、広い自由度に戸惑ったりとエキサイティングなハープです。
クロマチックなプレイには特に興味はなくても「ベンド」にハープの魅力を感じるプレイヤーは是非、市場から無くなってしまうまえに手に入れておきたい楽器であります。

それでは!
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Suzuki Olive

2012-04-01 15:16:07 | ハーモニカの機種
3/22に発売されたSuzukiの新しい10Holes、Oliveがやってきました。

昨日は「ピューッ、ゴーッ」と台風のような風が吹き荒れていました。いかがお過ごしでしょうか。

このところ土曜日が荒れ模様で日曜日にお散歩という流れができていましたが、花粉と日頃のダメージであまり都内へ出かける事がなく発売後も購入を見合わせていたOliveですが。。。

「通販で買えば良いのでは」

と閃きました(笑)。
工具ならプロツール、ライトならアカリセンター、と通販を使うのが当たり前になっていたのですが、ことハーモニカをネットで購入するという習慣がなかっただけに思いつきませんでした。

ならば、「ハーモニカ担当のつぶやき」や実店舗でお世話になっている「谷口楽器」さんで購入してみようと平日にOliveを注文してみました。
本数にもよりますがポストに配達される普通郵便でしたら送料200円という選択肢があるのも嬉しいです。

店頭でも見た事がありますが出荷前にフイゴで「ブファー」と発音確認をしてくれていますし、ケースが潰れないよう段ボールでカチンと巻いてくれていますので郵送も安心なのであります。


いつもの樹脂ケースではなくカートンボックスです。

持ち歩き用にクリーナークロスのような素材でできた巾着袋がつきます。
打撃や圧力には無力ですが埃や汚れ避けには十分であります。

正直ハープのケースはこれで十分だと思います。
最初は不安かもしれませんが、これまでの樹脂ケース(特にSuzukiのものは大きい)は数が増えてくるとかさばりますし、何本も運搬する時は専用のケースの方が使いです。
また樹脂ケースがそれなりに丈夫なので「ぞんざい」に扱い鞄のなかでゴロンゴロンさせておくとケースが空いてしまいハープが外へ飛び出してしまう。。ので打撃や圧力がかからないように思わせるぐらいのもので良いのではないかと思います。

やや引き算的アプローチでしたが。。。

演奏するまでポケットに入れて楽器を温めておきたい時には裸でポケットにいれるよりもこの巾着に入っている方が断然よいでしょう。ポケットって意外に埃等が貯まっているので演奏中にリードに挟まって音がでないトラブル等が圧倒的に減るかと思います。


オリーブの名前を忘れても「緑のハーモニカください」で通じるくらいの個性です。


ちょっとライトを当ててロゴを光らせてみました。どちらがお好きでしょうか。。


裏側です。木の繊維を混入した樹脂で出来たコームは「もの凄く濃い茶色」です。


ローズウッド・コームのFireBreathと並べてみましたが引けを感じない出来です。



サイドホールが無く、リードプレート全長をカバーするボックス型のカバー。
Harp MasterManjiを除く全機種で交換が可能なので自分なりの組み合わせが楽しめるのです。

このカバーも随分と息が長く「そろそろ変わっても良いのかなぁ」という思いはあるのですが、外装の処理で印象をがらりと変えてくるあたりは毎回驚かされるのであります。

ボックス型カバーはMarine Bandのような明るい輪郭のハッキリした音を出す事が目的ではないので。。

「Marine Bandと違うから」

という理由だけで使わないのはちょっと勿体ないですね。。。
Special20, GoldenMelody等の音色が好みの方は一本トライしてみる価値は十分過ぎる程にあります。


カバーを取ってチューニング・マークを見てみます。レーザによるものかと思われますがリードの先端にしか見られません。ちょっと削っている部分が多いのでちょっと驚きました。なんだかUSB端子のパターンみたい。。

Suzukiの10Holesを購入するのはManjiが発売されて以来です。当時も先端部がレーザによって削られてはいたかと思いますが、個体によっては根元付近にキサゲかヤスリなどで処理されているように見えるものもありました。

個人的な経験則ですが根元付近の質量を減らすとチューニングが安定し難く、時間をおいて再度チューニングするケースが多いです。振動による変形の影響が根元付近の方が多いのではないかと考えています。

後日再調整。。工場でそんな事はやっていられませんので、比較的安定してチューニングできる先端部の質量を予め多くしておき、必要量レーザで削るというワークフローにしたのではないかと勝手に思っています(笑)。

そのせいなのか、Manji発売当初よりオクターブのチューニングが安定しているように思いました。数年ですが細かい所が改良されているのだなぁと思います。


相変わらず綺麗で緻密なアーチです。

音の出は詰まったりせずソフトに立ち上がります。平均律の採用、ボックス型のカバーからメロディを中心とした使い方をしてみたくなります。
OB,ODも出し易いですが、多用するのであれば個人的にはもう少しアーチの量が少なくしたのが好みではありますが、それは自分で調整すれば良いわけです。
OB,ODをしてもSquealingが殆どないのは高い工作精度によるものだと思われます。スゴイです。


高い精度で加工されたリードスロット。このリードプレートはManjiと共通に使用されているのか、写真左下にはカバープレートのネジ穴が二つ見られます。

もちろん、時間をかけて調整すれば更にセンシティブな反応を魅せてくれそうですが、箱から出してそのまんま結構イケてしまいます。
Hohnerといい、Seydelといい基本性能が高いハープが本当に増えました。


刻印一つない裏です。なかなか綺麗です。


いびつに凹んでいるように見えるのは写り込みです。


向きを変えてみるだけで微妙な色の変化を魅せてくれます。

Fabulousというハイエンド・ハープを作る事で得られた技術がふんだんに取り入られながらも、高い目標を掲げてコストダウンを果たしているのか、かなり戦略的な価格が付けられています。


何故か一緒に陳列用のケースが一緒に送られてきました(笑)。面白いので撮影してみましたが、森のなかまスタジオ(笑)ではかなり大物になってしまいバックがムラになってしまいました。
何故か天使が眠っていますね。スヤスヤ。。

全体を通して「Oliveを使った天然素材のコスメ」を思わせるようなパッケージングです。バリバリのアメリカンチックなCross Over, Thunderbirdのカートンボックすに比べてすごく柔らかいイメージですよね。

ブッ飛ぶような躍動感や生き様を感じさせるような濃密な側面を持つ10Holesですが、ふわふわの布団に優しく埋もれていくような。。そんな一面も10Holesにある事を改めて気付かされます。

「ハーモニカ始めようかと思うのですが、沢山あってどれを選んだらよいのでしょうか?」

と女性に尋ねられたら。。色々な選択肢が増えましたね(笑)。


最後に音色ですが、とても当たり前な音がします。

もちろん吹き方によるかと思いますが、味付けを濃くしていない分料理の仕方で素材(ハーモニカではなく自分自身です)の味がそのまま出てくるというカンジです。

それは、時には自身の青臭さ、未熟さを再確認させられるという恐ろしい事でもありますが(笑)、何かを「ストレートに表現してみたい」という気持ちに、どこまでも応えてくれる良い楽器だと思います。

手を出し易い価格、高い出来映えから、初めての方はもちろん、これまでボックス型カバーを試された事がないプレイヤーにも是非試して頂きたい一本であります。

しかし、毎度思いますがこれだけ選べるハープがあるということはハープ吹きにとって本当に幸せな事であります。

それでは!

P.S.
昨日、日本赤十字から12回目の義援金を送金しました。これでお終いなのかなぁと思っていたところ、期間が9/30まで延長になっていたようです
ネットでは2000円から受け付けています。

オリーブの花言葉「平和・知恵」は色々と思いを巡らせる事から始まるのだと思います。
余裕のある方は思いを巡らせていて頂ければと思います。
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HOHNER Marine Band Thunderbird

2012-01-04 17:15:59 | ハーモニカの機種
Joe Filiskoさんのシグネイチャ、雷の精霊の名を冠したThunderbirdがやってきました。

Marine Band CrossOver発売当時、ローキーが予定されていたので予約をしていたところキャンセルとなり残念に思っていたところ、突如アナウンスされたThunderbird。改めてLow-Cを予約し直したのは6月でした
幾つかのキーは既に日本にも入っていたのですがLow-Cはなかなか入ってきませんでした。

LC(Low-C)はSeydelのSessionSteelで手に入れたので、変更が効くなら「LLFにしようかなぁ」と思いつつもなかなか連絡を入れられずいたところ去年の12月初旬にLCが国内に入った事を知りました。

年末のバタバタや運命のいたずら(笑)から「年内に手にするのは無理かな?」と思っていたのですが1日早めに仕事を納めだった森のなかまは、ワイフがお仕事中の12/29に「おっちゃん」のところに単身とりに出かけてきました。
おっちゃんもこの日が仕事納めでありました。

こうやって思い返してみると随分長い間待った事になるのですね。


箱とインストラクションです(笑)。。

今更説明書等読まなくても良いとお思いの方も多いかと思いますが、森のなかまは読みます。読みます。読みます。。ハッ!何だコレは?

After playing, DO NOT tap the channel openings out into the palm of your hand, as this may put the heavy super-low reed out of alignment or gap.

-- 付属説明書からの引用です(ゴシック部は原文通りです)


普通、吹き終わった後に、歌口(穴が開いている面)を下にして、掌にトントンとやり水分を落とします。普通の機種はこれが推奨されています。

しかし、Thunderbirdの説明書では「トントンしないでね!」と書いているのです!

LC程度ではさほどではありませんが、LLF等はリードの振動速度を遅くするためにかなりの量の「おもり」をリード先端に乗っける事になります。
これを「トントン」とすると予想外のモーメントが発生してリード自体の変形、リベット止めされている箇所が回転してしまったりするという事らしいです。

Poziドライブの事もありますが、やはり説明書はきちんと読んでおくべきと再認識させられるのであります。


CrossOverと同じようなケースです。ただ文字の天地が逆です。Thunderbirdは蓋を立てた時に正しい位置になります。

最近のMacBookと同じでユーザからの視点ではなく他者から見られる事を主眼に置いているようにも思えますが、ベルト通しを使った時に開口部が上になるようにするとロゴが逆さまになるのがイケていないという実践的なユーザ意見を元にした改良とも思えます。


"Low-C"ではなく"Clow"と表記されます。これもキーを表す文字を極力小さくしないデザインかと思います。

何やら青い光がチラチラとしていますが「伝説のサンダーバード」といえば「羽の色は雷」という事から青を配置してみたかっただけです。

雷というと「ピカーっ!」のピカチューの黄色もアリなのですが。。

イギリステレビ番組のサンダーバードに出てくる国際救助隊の隊員の制服も青!
・現在はF-16を駆るアメリカのエアロバティックチーム「サンダーバーズ」の紋章も青!
#個人的な思いとしてはF-4,14,15,16,18,20の時代が好きでありまして、F-35はどうも馴染めません。。ステルス、電装、ベクタースラストと時代の流れなのでしょうね。。

特にCrossOverから始まった"Marine Band"の名称の横に走る2本線はウイングマークを思わせ、Thunderbirdに至るのも当然なのかという思いが密かにありました(キムさんからFablous Thunderbirdsを連想される方が圧倒的に多いかとおもいますが)


青い紙を映し込んでみました。なんだか着色したみたいになってしまいました。

という事から黄色ではなく今回は「青い」で行く事にしましたので「青い」のにお付合い下さい(笑)


なかなか良い佇まいです。


普通の写真も今のうちに載せておきます(笑)。トップカバーは特に変わりはありませんが。。


ボトムカバーはちょっと普通ではありません。まぁ、御存知かと思いますが。。


カバーの厚みが低い音の方が厚く、高い音へいくに従って薄くなります。

ボトム側は「吸い」リードが外側に配置されるため「吹き」リードよりもカバー内側までの距離が短くなります。
低い音を出す為には長いリードがゆっくりと大きく振動します。このクリアランスが狭いとリードの先端がカバーに当たってしまい、ガビッとなってしまいます。ならば大きくしましょうというのがThunderbirdであります。

カバーのデザインはハーモニカカスタマイズで有名なJoe Filiskoさんによるものです。


Hoherの"Low"シリーズだと"lo"と刻印される位置にJoe Filiskoさんのシグネイチャが刻印されます。"Low"を表す刻印はいつものキーに"L"が配置されます。こっちのほうが分かり易いかもしれませんね。

このカバー。単にリードがヒットしないというだけではなさそうです。低音域に十分な容積を持つ事から少なからず共鳴や演奏のし易さにも繋がっているような気がしていまして、今後CrossOver等にも付け替えてみるとどうなるかなと思いつつもThunderbirdとして楽しんでしまうに違いないないでしょう。

さて最後にCrossOverを購入したのが何時だったか忘れてしまいましたが、竹コームシリーズも細かい所が改良されたようで、それらを受け継いでいるようです。

 
左から古いCrossOver。右がThunderbird。新しいCrossOverも右側にならっているようです。

カバーの端っこから尖った箇所が消えました!
ハープを口の中にすっぽり入れてしまうスタイルがありますが、そんなときに尖っていると痛いですよね。でも大丈夫!


細かいところですが、左のCrossOverのリードプレートは角を直線で切り落としていましたが、新しいのはアールで処理されています。
更に細かい(笑)ですが、彫金部分が滑らかになりました。特に創業者のマティアスさんの顔はクロスで拭くと引っかかる位だったのですが、実にスムーズです(本当に細かい事で申し訳ない)。。


一番水分に晒されるコーム先端は重点的に塗装がなされています。


でも、それ以外は皮膜がないくらいにラッカーが落とされています。
よーくみると、繊維にそってラッカーが残っているところがあることから、一旦塗ってから削っているのではないかと思われます(もしくは浸透していまうぐらい薄いのかもしれません)。

これはプレートと接触する面についても同様でした。CrossOver発売当初は全面テランテランに塗装をされていました。
通常のMarineBandやDeluxeはプレートとの接触面が塗装されておらず、これが微妙なフィーリングの差になっていました。
どちらも持ち味なのですが、森のなかまは接触面に関しては塗装されていない方が好みなので嬉しい限りです。

多少は水分を吸ってくれ、そして吐き出してくれるますし、竹コームは水洗いしても、そうそう変形はしません(保証はしませんが)。


Joeさんのシグネイチャを撮影するためDA35 F2.8 Macro Limitedを付けていますので、折角なのでネジに迫ってみました(笑)

例によってPozi#1がピッタリでした。クロスした箇所にさらに微妙に凹みがあるのが見えるかと思います。これがPoziネジの特徴です。
デザインからするとマイナスがピッタリくるのですが。。それにしても工芸品のような美しいネジです。


「青い」に戻ります(笑)。

さて、いかにも「森のなかま的」なThunderbirdの紹介でしたが。。
ちょっと生意気ですが吹いた感想を書かせて頂きます。

これまで、MarineBand, SBS, 12穴364, Special20, MilteauModel, Seydel SessionSteelのローキーを吹いてきました。どれも悪くはありません。

でも、このThunderbirdは一息目からビーンとメータが振り切れました。
チャギング、バンプをした時の楽しさはこれまでに無い経験です。

Out of the box。。まさに箱から出したての何もしていない状態です。
とても素晴らしいです。
あまりに楽しいので2-3時間吹いてしまってからバラしてみました。

工作精度がかなり高いようなのでエンボスは一切しない事にしました。
OB/ODはセッテイングいじればそれなりに出るのかもしれませんがトレードオフになるものを考えると今現在は無理をしなくてよいかなと考えています。

一部のリードがチューニング時によるバリが僅かにひっかかっていたのでシックネスゲージでバリ取りをしたり、レンチでリードのセンターを合わせました(実は結構激しく「トントン」やってしまっていました)。

リードは結構柔らかいのか強くプリンキングすると直ぐに変形してしまいましたが何度かやっているうちに落ち着きました。
確かにリードプロファイルをご自分で作らないのであれば説明書通り演奏後の「トントン」は避けたほうが良さそうです。

湿気が残るのを気にされる方はカメラ用のブロワーでシュッ、シュッとされると良いかと思います。

なお、森のなかまはリスクを承知のうえでトントンと綿棒を中にいれてフキフキしてしまっています。高価なものなので各自のご判断でお願いします。

なお、リードレンチはHohnerのService-kit(MZ9933)にもあるのですが、お高いので「楽しきかなハープ調整の道具達」で紹介している3.2mmのレンチがあると、いざという時に心強いかもしれません。

2番の2ステップベンドは喉をきちんと開かないとシンドイのでありますが、そんなときは椅子に座るのを止めて、背筋を伸ばして立ってみましょう。
頭は少し上をむけて、なんならハープのお尻を角度をつけていつもより突き上げれば喉は拡がってきます。アゴを心持ち前に突き出せばさらに広がります。

ただ拡げるだけでも音はどんどん良くなるのですが、口の開け方や舌の位置、呼吸方法を変えると更に共鳴の仕方が変わってきます。どの音がよいのか最初は戸惑うのかもしれませんが、自ずと貪欲になるので何が良いのかは自分の耳を信じればよいのだと思います。

体をリズムに合わせて動かしながらリードで振るわされた空気がスリットを抜け、舌の上を通りすぎて喉ちんこに直撃する感覚は軽いトランスに近いものがあると思います。

また高い音域も忘れてはいけません。普段出しづらい10番1ステップベンドなども軽々と出せるので、ファーストポジションを始め様々なポジションで高音域にチャレンジしたくなるのであります。

時々通常キーのGやF等を織り交ぜながら吹いていると、新しい発見がありワイフが栃木から帰るのを待っている5-6時間があっという間に経ってしまいました(お正月で隣人がいない事を確認済みです)。

他のシリーズに比べて高価な事は確かでありますが、工業製品としてこれだけのハープを誰もが入手出来るというのは素晴らしい時代です。

「出来る事なら全キー欲しくなってしまう」

というのが感想であります。



体長が5mを超え雷を自在に操り獲物を仕留める雷の精霊サンダーバード。
バサッとはばたくかせる翼の音をイメージするか、雷のようにシビレる音を求めるのかは人それぞれ。。

現代に蘇る伝説の鳥に胸(翼?)を借りてみるのも悪くない年のスタートです。

それでは!
コメント (6)
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Seydel Stainless Steel Reed Series

2011-10-02 23:13:14 | ハーモニカの機種
元気がいいオレンジ色のボディが珍しいSeydel Session Steel

めっきり寒くなってきました。
3連休が2回もあった週のフルタイムだったので結構こたえているうえワイフの体調もあまりよろしくないので今週末は外出なしです。

というわけで、先週に引き続きSeydelをチクチクと調整していました。
やはり暑い時期にはこういう細かい作業は向きませんので秋冬に精がでます。

今週は久しぶりにフル・ハーモニカネタです。


Seydel Blues 1847 Silver」です。

一年近く前にNobleを紹介
しましたがSilverはコームがアルミではなく白い樹脂、カバープレートが普通のツルルンメッキ、サイドホールはありません。

白い樹脂は通常ハーモニカに使われているツルルンとしたABS樹脂とは違いマットでサラッとした感触です。鉛筆でカキカキ出来てしまうメンディングデープと言えばよいでしょうか。
唇や舌へのタッチも心地よく、見た目も落ち着いた感じがして品があります。


カバープレートの後ろも今風に全開口しています。といいますか工場出荷品で開口部を全開にしたのはSeydelが初めてだったような気もします。
この後ろ姿はなかなか好きです。


コーム先端は綺麗にミニマムなアールがつけられています。
Over Blow/Drawのかかり具合によってはハープをバラさずヘラやピンでリードを調整したりしますが、明るい色のコームのおかげで中が見易いのであります。


カバープレートの裏側です。森のなかま的にはこちらが表でも良いかなぁとおもったりする渋さです。

サラリと流しましたがこれらの写真を撮るのが本当に面倒でありました。
普通に撮るとカバープレートが光を反射したり、変な映り込みで彫金部分が出てきません。
黒いラシャ紙を映し込んでみたり多灯を試みましたが最終的には蛍光灯一本とラシャ紙、味付けでZEBRALIGHT H51Cを使用しました。


付属品はNobleと全く同じでしたのでラグジュアリな箱と一緒にパチリ。

黒革を張ったケースもあるのですが今回選んだ機種にはありませんでした。残念!(何気に古い。。)


おもちゃの缶詰のような佇まいのBigSixです。

脱着可能なネックストラップが付属します。
缶はそのまま「ワウに使えるよ!」との事です(笑)。
別にこの缶じゃなくてもマグカップやビールジョッキでも良いのですがパッケージが利用できる所が面白いんですよね。

これまでカップ等を使ったワウを試された事がない方は是非トライしてみて頂きたい組み合わせです。ハープと缶の間を隙間無く手で覆い密閉することで普段は聞いた事が無いような音がでてきます。是非!是非!


本体です。ミニではなく通常モデルの6番以降をバッサリ切っています。

リードはステンレス製で他のステンレス製モデルよりも購入し易い値段設定になっています。話題性もある機種にステンレスリードを搭載しているあたりは戦略的な位置付けの製品なのかと思われます。

コームは木製で厚めに塗装されているため変形は殆どありません。
試しに水洗いしましたが変形はありませんでした。あっ。ボディの水洗いはもちろん保証はしませんです(汗)。。

店頭で見た限りでは舌が当たる所がClassicはアイボリーなのに対してBigSixは濃い茶色でしたが、おそらく同じ材質と仕上げかと思われます。
個人的には薄い塗装で持ち味を活かしたものが好みですが木製コームの変形は気にされる方も多いからと思われます。

さて、この二機種ですが。当たり前のように鳴ってくれますが、以前手に入れたNobleとは若干異なる印象でした。心持ちGapが高く感じました。
まぁ、日本製のハープも同じモデルでもセッティングはまちまちです。

ちょっと脱線しますね。

セッティングが自分に合っていれば「吹き易い」とか「当たりっ~!」になるのでしょうが、合わなければ「なんか違う」と思ってしまいます。

谷口楽器さんでは全機種試奏が出来るようになっています(Fabulousのクロマチックも!)。吹いた事がないハープを実際に音を出して確かめられるのは素晴らしい事だと思います。
#試奏後はお店の方がクリーニングしていました。気になる方は吹かずに手でもってみるだけでも製品の雰囲気は伝わるかと思います。

ただ、ベンド、オーバーブローが出来るようになった頃を思い返してみて下さい。随分楽器に負荷をかけるような吹き方をしていなかったでしょうか。
自分も経験がありますが相当セッティングが変わってしまいます。
また試奏される方にはリードを一晩で折ってしまうようなハードブロワーの方もいるかもしれません(別にハードブロワーが悪いと言っている訳ではないのでお間違いなく)。

なので試奏で「こーんなもんか」と思って頂きたくないのです。


最近お気に入りの琥珀色のライトで照らしてみました。

ブラジルでつい最近できたBendという会社もなくなってしまい、国内ではHeringの取り扱いがなくなっている現状でハープの選択肢を減らしてしまうのはハープ吹きにとって哀しい事だと思います。

もし試奏のチャンスに恵まれたらストレート音を聞くぐらいにして「むむ!?」と思ったら自分で自由に出来る一本を先ずは購入してから判断しても良いのではないでしょうか。

森のなかまはHohner, Heringとも違うSeydelのステンレスリードが気に入りました。もちろんコンベンショナルなMarineBandも大好きです。Fabulousで吹きたいと思う事もあれば、UltimoやVintageHarpだってあります。

それぞれ違う個性があるんだから、それらを試したり選択できるということはとても楽くて幸せな事だと思います。
この楽しみにはちょっとした投資が伴いますが人の評価で切り捨ててしまうには惜しいものでありますので是非御自身でご判断して下さい。

脱線終了。。

ということで自分に合うようセッティングを変えるのですが、そのためにはネジを外さないといけません。

Nobleの時はオスネジがPozi, メスネジがプラスだったのですが、なんだか仕様が変わったのかPozi側のハマリ具合が浅くなっています。。
2011.11.14 Seydelのホームページに依るとPozi#0だそうです。

かなり固く締めてありますのでネジ山を潰しそうだと判断したら、プライヤ等でネジの頭を緩めてからドライバを使うと良いでしょう。
このネジに関して「だけ」はNobleの頃に比べグレードダウンを感じました。多分現在のNobleもそうなのでしょう。ちょっと残念です。

リードプレートは酸化によるくすみを防ぐためか、調律中に素手で作業しても指紋が残り続けないための配慮でしょうかクリームのようなものが薄ーく塗られているようです。
素手でブラスを触ると指紋後がくっきり残る事から予めクリームをプレートに塗るのは良いアイデアです。
これは拭取れますし、中性洗剤で直ぐに落ちますので気になる方は洗ってしまえば綺麗になります。


Session Steel」はMeisterMSのようなカバーと陥没式の樹脂ボディにステンレスリードが装備されています。

森のなかまは暖色系の色が好きで、このオレンジを見た時も「好き!」と思ったのであります。
ボディーは良く出来ていてパーティングラインやヒケは殆ど見当たりません。
音に関係あるわけではありませんが日本製のものより良く出来ています。
尖った箇所がないのでグリップし易くしっかりとマフリングできて快適です。

森のなかまは陥没式よりもサンドイッチタイプの方が好みですがこのSession Steelは大変気に入ってしまいました。
あまりに気に入ってしまったので通常よりも2倍の時間をかけて調整をしたところ「あはは」なくらい自分好みのセッティングになりました。


なんと合皮ではなく本当に革のケースです!

Heringなんかは合皮なんですけど、力の入れる方向が違うというか(笑)でもハープと革という組み合わせは好きな方は多いのではないでしょうか。
結構裏側の起毛部分が抜けますので気になる方はブラシで払う、なんならいっそサドルソープ等で水洗いしてしまっても良いかもしれません。
カタチを整えて干したら「デリケートクリーム」を薄く塗ればいい感じになります。

洗っている時に黒い染料がドーンと抜けてきましたので1847 Silverのボディを長時間いれておくと色移りするかもしれませんが、ツルルンとしたSession Steelのコームであれば問題ないでしょう。
触感もよくてお気に入りです。

Session Steelの一式です。なんか「いっぱい」感があって楽しいですよね。
ポップなイラストのシールが付いてくるのが面白いです。


Nobleも交えて手持ちのSeydel全部と誇らしげなラグジュアリボックスを撮ってみました。写真的にはなんの面白さもないのがナンですが(汗)。。

同じステンレスリードですが、それぞれ個性や主張があって楽しいハープ達です。


埠頭なんかで見られるナトリウム光に似たこの光を見ると夕焼けにも朝焼けにも見えます。
夕暮れの川原や、"Till dawn"でホットに夜を明かしてしまってもお気に入りのハーモニカがポケットや鞄に入っていると吹かなくても落ち着くのであります。

お気に入りの一本に出会えると良いですね。

それでは!

P.S. 2011.10.5


新婚旅行のドサクサに紛れてハワイで購入した「12穴 Hohner Marine Band 364

写真的にはお気に入りでしたがSeydelと関係ないからお蔵入りさせていました。
でも、やっぱり貼りたくなっちゃいました(笑)。
コメント (8)
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複音ハーモニカ 昭和楽器

2011-04-03 22:47:26 | ハーモニカの機種

外装フィルムに貼られていたシールです。別にナショナリストではありませんが、なんか元気がでますね。

今週一週間はこの写真をトップにしたいと思いますので後から投稿した「からふるハーモニカ」より前に(時間的には後ろか。。ややこしい)もってきます。ご了承下さい。
#可愛いですから次の「からふるハーモニカ」も是非見ていって下さいね。それと次の二つも。。エヘヘ。

さて本編です。

Hohner, Seydel, Hering, Tombo, Suzuki と優秀なハーモニカを製造するメーカは色々あります。

小さくて、一見単純な構造の楽器ですが、それぞれに工夫が凝らされ、熟練者によって調整されたハーモニカは時に演奏者の想像を超えるような振る舞いで我々を楽しませてくれます。

今回は楽器製造のメッカ静岡県浜松市で「Made in Japan」に誇りをもってハーモニカを作り続けている昭和楽器さんのハーモニカを紹介します。

昭和楽器さんを初めて知ったのは随分前です。
「へぇー、トンボやスズキ以外にもあるんだ」というのが最初の印象でした。

ところが最近になってワイフのお姉さんよりミニハーモニカをプレゼントして頂き鳴りの良さから調べた所、昔みた昭和楽器さんが製造元でした。

その後昭和楽器さんのブログを見つけ、そのなんとなく和んでしまう投稿の中に何十年も前からハーモニカを作り続けている記事を見ているうちに段々と興味が湧いて来たのです。

真空管のクロマチックチューナーや、昔の工場の話とかはハーモニカ吹きに限らずイマジネーションを掻立てられます。

森のなかまは10Holesとクロマチックという最近ではあまり珍しくない組み合わせをメインでやっています。
昭和楽器さんが製造されているのは、日本配列の複音と教育用のハーモニカがメインです(ミニハーモニカもですね)。

複音に似たものでトレモロ(ダブルリード)といって同じ音階のリードを二つもち、片方のピッチを微妙にずらす事で「わんわんわん」とトレモロがかかるハーモニカは海外にもあります。HohnerのEcho等がそれにあたります。

どことなく懐かしく、ちょっと寂しい、それでいてカランと明るく爽やかにもなれる音色は多くの方が「あっ、ハーモニカだ」と思うものです。

私も短めのEchoは持っていて時々吹きます。レンジが狭いのでGolden Melodyのダブルリードを購入したのですが出荷時の調整があまり行われていないのか片方のリードしか鳴らないのに少しガッカリした記憶があります(たまたま当たった個体差だと思います)。


生まれて初めて購入した日本式配列の複音「複音ハーモニカ21穴C調」です。
Seydelの時もそうでしたが、またもや立派なカートンボックスです(笑)。
今でこそ普及価格帯の複音ハーモニカも樹脂ケース等が多くみられますが、やはりカートンボックスは上位機の証なのでしょうか。いずれにせよとても良い出来です。


上品なエンボスが施され、多少の水に濡れても大丈夫なように(多分)処理された紙に銀色の箔押しがされています。
なお、角っこが白く汚れているように見えるのはエンボスに光が当たっているためですのでご心配なさらないように。


蓋を開けてみます(笑)。
開封時にはハーモニカが更に袋に入っていましたが今は取っています。
シックな紺色の外装に対し、内側は対照的に明るいマゼンタ色です。かなりラグジュアリな感じで飛ばしています(笑)。

いつまでもカートンボックスに捕まっているわけにはいきません(笑)。


本体です。彫金部分は社名とモデル名のみというシンプルさ。金属プレートの美しさが映えます。
#写真を撮るのがムチャクチャ難しかったです(笑)。

写真を撮るのを忘れてしまいましたがカバーにはMarineBand同様にベンチホールが開いています。トレモロの軽やかな音をより際立たせるものかと思われます。

色々とハーモニカは手にしましたが、この複音を手にした時は重さのバランスに思わず「ニヤリ」としてしまいました。

手にとって何かをするモノには「大きさに対して程よい重さ」があります。別にJIS規格で決まっているわけではないのですけどね(笑)。

10Holesやクロマチックに比べ縦横比が大きく細いのですが、この複音ハーモニカは見た目のイメージより僅かに重さがあり、それが濃密な感じを醸し出しているように感じるのであります。

むかし吹いていたおじいちゃんとかが、こんなの贈られたらシビレルだろうなと思ってしまいます(笑)。
#森のなかまもシビレてしまいますが。。


開口部です。感心したのは樹脂で出来たボディに「ヒケ」が少ない事です。
樹脂は整形時の過程やらなんやらで、結構表面に窪み「ヒケ」が出来ることが多いのです。国産の10Holesの樹脂ボディなんかをみても「ヒケ」が結構多いのです。
まぁ、リードと接触する箇所に「ヒケ」が発生していなければ性能には関係ありませんので、目くじらを立てて「ヒケ」を排除する必要はないです。

でも、殆ど「ヒケ」が無いのです。精度が高いのでしょうね。
また、パーティングライン(金型が組み合わさる箇所で少し樹脂が漏れてスジができるのです)も全く見当たりません。

ご年配のユーザや伝統が古い事から、こういった事には厳しい要求事項があるのかもしれません。
いずれにせよ、とてもお金が懸かった金型が使われていると思われます。10Holes(陥没式)でもこのレベルのものがあったらなぁと思うばかりです。


リードプレートはSuzukiのプレートに似ています。
プレートがニッケルと思われるメッキがかけられ変色し難くなっています。非常に美しいです。


拡大してみます。リードを直接触れてもリードを整形する時にでるミーリング(切削)跡を感じないくらいに磨かれています。

また、アーチング、ギャップ調整に殆ど乱れはありません。
ピッチ調整もミニマムに行われているためリードが殆ど削られていません。
すごい、すごい♪


コームを前から見てみます。歌口の白いパーツは「ポジションマーク」と言って「ド」を表します。10Holesには無い文化ですね。


樹脂を切削しているのかな?と思う位ですがよく見ると突き出しピンの丸い跡もあるように見えます。うーん、良く出来ている。。


ポジションマーク部分のアップです。色が塗ってあるのではなく異なるパーツが組み合わさっているのです。
コームの角は全てアールが付けられているのでベースを入れても痛くないのです。

ここに凄い力が加わったりするわけではありませんが、隙間ができれば息が漏れてしまうような箇所に、わざわざリスクを冒してまでこのような細工を施せるのは精度の高さと拘りが感じられます(他社の複音にも多くみかけます)。

また短辺側を見てもパーティングラインがありません。陥没式の樹脂製10Holesは必ずといって良い程ここに何かしらのヒケやパーティングラインがありますが、このコームにはありません。

例によって随分と偏った見方をしてきましたが(笑)、作りは非常に素晴らしいです。
複音はみんなこのような品質なのでしょうか。少し羨ましいです。

さて、吹いてみた感想ですが。。
森のなかまはあまり日本式の配列に慣れていません。
またベンドやOB/ODの奏法が無いことから(クロマチックのようなベンドはある程度は可能ですが、トレモロが効き難くなります)、C調、又はAマイナーの簡単な曲を吹いてみます。

立ち上がりも軽く、音詰まりもなく、美しく軽やかに鳴ります。メロディだけでも美しいです。

そこにタングブロックでベースを入れてマイナー調で吹くと独特のトレモロ音が否応無しに昭和の懐かしい世界へと森のなかまをダイブさせるのであります(笑)。昔はこの感じが苦手だったのですが。。

「なんかいいじゃん」

という感じになります(笑)。

レスポンスもよくザッ、ザッとベースを切るときの歯切れも素晴らしく、ちょっとクセになってしまいそうなのです。。。

森のなかまが言うのもなんですが「High Quality Made in Japan 日本製」を掲げる意気込みを感じます。
また今だからこそ、その言葉の持つ意味と重さを考えずにはいられません。

10Holesやクロマチックを演奏される方にはあまり縁のない複音ハーモニカですが、この記事をきっかけに手にしてみて頂けたら無類の喜びであります。

また「昔じいちゃん、ばあちゃんが吹いてたみたいだけど」という方がいらっしゃったらドーンとプレゼントしてみると喜んでもらえるかもしれませんね。
ステキな演奏をきかせてくれるかもしれませんよ。

それでは。

P.S.
いつもは逃げていたのですが、この複音ハーモニカのカバーは鏡面箇所が多く、光がやんわり回ってしまうと真っ白になってしまうのです。

で、今回はこんな風に撮影してみました。



本当は黒い紙等を使いたかったのですが無かったので、黒っぽいファイルを台に乗せて、それをハーモニカに映り込ませて彫金部分を出してみました。

こんな間に合わせで申し訳ないです。

P.S.2

せっかくなので我が家のダブルリード軍団と大きさ比較用の10Holesで記念撮影したのを忘れていました。


左からGolen Melody Double Reed, Special-21, Echo, Master Bluesとなります。

手を抜いて黒の映し込みをしないとこうなってしまいますよ、という例になってしまいますね(笑)。。。みんな真っ白です。。
コメント (2)
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