雪に埋もれないうちに割ろう。数日前に伐採したカラマツが気になっている。昼近くになってから割り始める。割った薪は庭に積む。そしてまた割る。葉を落とし、冬を迎えるカラマツには驚くほど水分が少ない。まるで乾燥した薪のようである。すぐにストーブにくべられる・・・雨が降り出した。今日はこれで作業終了。
生木といえば学生のころの冬合宿は北アルプス遠見尾根、地蔵の頭にある山小屋が舞台であった。小屋に入るや、まずは薪の確保から。営林署から許可をもらってあるブナを伐採に行く。鋸だから太い木は切れない。玉切りにしたブナは背負子に縛り、スキーで小屋に向かってスイスイと。ああうらやましい・・・下手な私は無様にワカンを履いてズボズボと雪に穴を開けて・・・生木を燃やして暖房、そして炊事。冬の生木は意外に燃えるのである。国立公園でのいい加減な樹木の伐採、自然保護の厳しい今では考えられない事であろう。
薪割り、飯炊き、小屋掃除、みんなでみんなでやったけ・・・その他の時間は毎日スキー。チャンスを狙ってテントを担ぎ五竜岳アタック。途中天候が悪くなればテントの中で寝たり、食べたり、哲学を、愛を、The Art of Loving (Erich Fromm)を 論じたり?。時間、食料はたっぷりある実にぐうたらな山登り。合宿も最終日となれば猛者が神城まで酒を求めて下り、夜はストーブを囲みドンチャン騒ぎ・・・そんな10日間であった。
今は遠見尾根にはゴンドラが架かり、あっという間に地蔵の頭らしい。昭和41年以来この地に足を踏み入れてないのでまったく解らない事であるが・・・(割りたてのカラマツ 昭和41年2月、雪焼けで真っ黒の岳友)