きょうも雪。久しぶりに一日怠惰に過ごす。
いつか観るだろうとハードディスクに撮りだめたビデオの中から気分の乗らないままバリー・リンドンを観始める。
1975年制作、すでに35年以上前、シャイニングの5年前に作られた映画。
キューブリックの作品では2001年宇宙の旅がベスト、以後の作品は残念ながらそれを超える作品はない。遺作、アイズ ワイド シャットにいたっては・・・
と思っていたが、今日初めて観た、バリー・リンドン、改めてキューブリックの偉大さを思い知らされることとなった。
18世紀のヨーロッパの貴族社会、田園風景、銃弾に倒れ行く兵士の戦闘でさえ・・・
それは一コマ一コマがまるでルーヴルの壁に並べられた壮大な絵画のように、これが映像だろうかと疑うほど美しい。映画館に足を運んでいたら、大型スクリーンだったらどんなにすばらしかろう。
少なくともこれはDVDではダメ、ハイビジョン、大型画面でなければなるまい。
キューブリックのクラッシック音楽の使い方の見事さにも舌を巻く。2001年のツァラトゥストラ、美しき青きドナウ、そして今回のヘンデル、サラバンド・・・
近い将来、2001年宇宙の旅を超えるキューブリックのベスト作品と評価されることになる、かも知れない。
だが、3時間をこえ、観終わった後に残る、心の底に重く沈みこむ虚無感、あの美しいものは、富とは名誉とは、世俗のものが必死で追い求めるものはいったいなんだったんだろうか・・・
エピローグに・・・ともに生き、争った人々の物語。美しい者も、醜い者も今は同じ、すべてあの世。
これがキュウーブリックの言いたかったことか・・・すべてあの世、か・・・