私が初めてナイフを買ったのはまだ中学生の頃の事。サッカー部の仲間達とキャンプに行く時、持っていたら格好良いかな?程度の軽い気持ちで、5インチ位の登山ナイフを買いました。移動中もずっと腰に下げていたんですから、今から考えるとノンビリした時代でしたね(笑)。その後もビクトリノックスとか定番のバック110とかを買ったりはしてたけど、別に刃物に特に関心があるという程じゃありませんでした。この本、シューティングライフの1978年8月号を見るまでは・・・・・・
まぁナイフに関する連載も読んではいたんで、ランドールやラブレスの名前くらいは知ってましたけど、カラー写真で一流の量産ナイフから本格的なカスタム・ナイフまでずらりと並んでいるような特集記事を見たのはこれが初めてのこと。別に実用上は量産品のバックでも大きな不満はなかったけど、もし出来ることならば、持っているだけで満足できる上等なカスタム・ナイフを1本手に入れたいもんだなぁと思うようになりました。
さすがに当時でもラブレスやドーウェル、シュナイダー等は非常に高価だったので、最初は何とかギリギリで手が届きそうなランドールに狙いを定めていました。しかし・・・・・・実際に本物のカスタム・ナイフを色々見せてもらう内に、何故か洗練されたランドールより、むしろクーパーやフィッシャー、モーゼスみたいな少し荒削りな感じのナイフの方がより魅力的に感じられるようになりました。で、色々迷った末に手に入れたのがコレ、モーゼスの#6 ハンターズ・ボウイだったのです。
もちろん私が手に入れたときには既にA.G.ラッセルが製造権を受け継いだセミ・カスタム的な存在になっていましたし、シースもセイフ・ロック・タブ付きじゃありませんでしたが、当時はそんなことは全く知りませんでした。
ブレードはちゃんとハリー・モーゼス時代から継承されている “San-Mai” =“三層ラミネート鋼”を使って手作りされていて、私みたいな初心者が研いでもそこそこの刃が付くというフレンドリーな性格のナイフでした。当時は “知る人ぞ知る” 的なイメージもあって、そういう所もお気に入りのポイントでしたね。
実は最初に買ったヤツは長い間行方不明になっていたので、てっきり紛失したと思い込んでいました。そこで、eBayで良く似たヤツを見付けたときに思わずポチッとしてしまったのですが・・・その後、思いもよらない場所からひょっこり出てきたので2本に増殖してしまいました(笑)。製作された時代が最初のヤツよりも少し新しいようで、よくよく見ると細部は微妙に異なっています。
シースに入れっぱなしで保管してサビサビにしちゃったり、缶詰開けて傷だらけにしちゃったり・・・・・・私の無知で可哀想な状態にしてしまったこともあったけれど、かなり以前に一度専門店にお願いして仕上げ直しをしていただいたら、ピカピカになって戻ってきたので驚いたこともあったなぁ。いつの間にか、またサビの痕や傷が目立つようになってきたものの、このナイフに関してはもうこのままでいいかな・・・・・・
モーゼズのナイフに関しては、「The KEEN EDGE of PERFECTION A History of the Morseth Knife」 (James R. Beall、Gordon Morseth Sr.)という本も出ています。これを読んでから、モーゼス・ナイフのことがますます好きになりました。ランドールほど有名じゃないし、垢抜けしないデザインであるものの、今でもこちらを選んで本当に良かったなぁと思っています。もし最初に買ったのがランドールだったら、恐らく今ほどナイフに興味を持つこともなかったことでしょう。
このナイフ、炭素鋼なんでどうしても錆は出やすいし、今の私の用途には長すぎてほとんど使い物にならないこともあり、最近では1~2年に一度、マルセイユ石けんのビッグバーを切リ分けるとき程度しか出番がありません(笑)。頑張って買った最初のカスタムナイフでもありますし、相変らず大好きなナイフの1本ではあるんですけどね。というわけで、この “ナイフの話” はまだまだ続ける予定ですが・・・・・・さて、次はどのナイフにしようかな?。