【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

東京新聞社説「代表質問 『改革』と叫ぶだけでは」を読む

2015-02-19 20:57:43 | 転載と私見
【東京新聞  社説】

代表質問 「改革」と叫ぶだけでは

2015年2月17日


 「改革」と叫ぶだけでは国民の暮らしはよくはなるまい。国会で議論を尽くして真に必要な改革を見極め、関係者を説得して断行する。数の力で押し切る傲慢(ごうまん)さではなく、その粘り強さこそ必要だ。
 改革を競い合うかのようだ。安倍晋三首相の施政方針演説に対する代表質問で、野党党首は口々に「改革」断行を主張した。代表質問の一番手は民主党の岡田克也代表。先月の代表選勝利で再び就任して以来、初の登壇である。
 岡田氏は「生活者」や「働く者」の立場など党の立ち位置や互いに支え合う「共生社会」を目指すと述べ、「民主党は既得権と戦う未来志向の改革政党でなければならない」と強調した。
 維新の党の江田憲司代表も大胆な規制改革を断行し、民間の能力を最大限に発揮させるなどの「新陳代謝」を「利権圧力団体に一切依存しない、全くしがらみのない立場から断行する」と述べた。
 二人の野党党首が「改革」を声高に叫んだのも、首相が先の演説で「改革」を三十六回も繰り返したことと無縁ではなかろう。
 改革自体は否定しない。既得権益を守ったり、民間の活力をそぐ規制を撤廃すべきは当然だ。問題は中身であり、妥当性である。
 首相は施政方針演説で、経済再生、復興、社会保障改革、教育再生、地方創生、女性活躍、外交・安全保障の立て直しを「戦後以来の大改革」と呼び、国民に「力強く踏みだそう」と訴えた。
 しかし、江田氏の指摘のように「戦後の改革」は戦争放棄、国民主権の確立、教育の民主化、農地解放、財閥解体など「国のかたちを根底から変える改革」を指す。
 首相が目指す改革はとても「戦後以来の大改革」とは呼べない。第一次内閣で強い批判を浴びて旗を降ろした「戦後レジームからの脱却」に向けた再挑戦の意図があるのなら見過ごせない。
 首相主導の経済政策は恩恵が広く行き渡らず、格差を拡大していると指摘され、集団的自衛権の行使容認など外交・安保の立て直しは憲法逸脱の危険性がある。
 そうした問題点は国会で徹底議論すべきだ。野党はどこが問題なのかを具体的に指摘し、対案を示すことが望ましい。
 与党側も実績づくりのために功を急ぎ、数の力で押し通すべきではない。首相に必要なことは、野党側の指摘を「この国会に求められていることは、単なる批判の応酬ではない」などと突っぱねず、批判と向き合う真摯(しんし)さである。

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私見

 野党議員の質問にきちんと応えず、はぐらかし詭弁を弄して自分の言語に酔って空理空論を繰り返し続ける。
 この総理は、理解能力が乏しいのか、まともな人間性に欠陥があるのか。やはりその両方を両輪として突っ走っている。
 国民を不幸の破滅の沼にひきずりこむ。
それが自公安倍政権の正体なのだ。
こんな総理になにをも望まず、国民は自らを擁護するための生活債権の国民運動に立脚すべきだ。

諸外国に情けない内閣、戦後最低最悪の内閣。戦後そのものをなかったごとくにしてしまおうと魂胆をめぐらす内閣。
い内閣、い内閣、ばぁぁぁ・・・こんな内閣のために、どれだけまっとうな全国各地の民衆がふがいない想いに貶められているか。

もしかしたら北海道に「オール沖縄」の再現か?

2015-02-19 01:08:25 | 言論と政治
もしかしたら北海道に「オール沖縄」の再現か?
櫻井智志

 ある新聞は、北海道知事選について以下のような論評をおこなっている。

----(日刊ゲンダイ2月16日3面)-------------
4月の北海道知事選が、俄然面白くなってきた。

 15日、民主党道連が独自候補の擁立を断念、既に出馬を表明しているフリーキャスターの佐藤のりゆき氏(65)を支持する方向となった。4選を狙う現職の高橋はるみ知事(61)との事実上の一騎打ちの公算大。すでに「新党大地」は佐藤支援を決めていて、これに民主だけでなく共産も乗っかる可能性が高い。自公の推薦する高橋知事との与野党激突の構図になりそうなのだ。

「現状は現職の高橋知事が頭一つ抜けていますが、佐藤氏は元北海道放送のアナウンサーで『北海道のみのもんた』と呼ばれるほどの地元の有名人。与野党対決の構図になれば、知名度があるだけに侮れない。勝ち目が出てくれば、安倍首相が進める農協改革を苦々しく見ているJA北海道も佐藤支持に回る可能性が出てくる。安倍自民が滋賀、沖縄、佐賀に続いて4連敗するかもしれず、官邸も焦り始めました」(永田町関係者)
 それにしても、佐藤氏の出馬表明は昨年11月。もっと早く与野党一騎打ちの構図にしていればいいものを、ここまで遅れたのは、独自候補にこだわった民主党の道連会長・横路孝弘がネックになっていた(擁立断念の責任を取って15日付で会長辞任)。

「地元では早くから佐藤氏を野党統一候補にしようという機運が高まっていました。なのに、『人格的に問題がある』とか言って首をタテに振らなかったのが横路さんです。昨年末の衆院選でも民主党独自候補に執着して野党連携を反故にしている。『北海道は民主の牙城』という意識が強く、毎度、自分の息のかかった候補を立てたがるんですよ」(地元記者)

 そんなことで、いまや地元の与野党議員の間では「北海道から老害2人(横路と町村信孝衆院議長)がいなくなったら新鮮な空気に変わる」なんて囁かれているらしい。

-----引用終了--------------------

 北海道は伝統的に、旧社会党の強い土地柄で選挙でも自民党と社会党が議席をわけあってきた。記事の横路孝弘氏は、北海道知事を務めてから国政に転じた。国会議長をつとめたこともある。実は沖縄協定密約事件で、国会で密約を政府に厳しく追及した。しかし、これには大問題がある。この密約は毎日新聞政治部の西山太吉記者のスクープだった。横路氏は、西山氏のスクープを知ると、絶対にニュースソース源を秘匿するという約束のもとに、西山氏から詳細な情報を教えてもらい国会で政府を追及した。ここまではよい。しかし、その後にニュース源が誰かを軽はずみにマスコミにあかしてしまった。このため西山記者は筆舌に尽くしがたい苦難を背負う結果となった。

 
 このような横路孝弘氏は、地元でも野党統一候補擁立を否定し続けてきた。その呪縛が解け、影響力が低下した。
北海道には抜群の人気を長年得てきたシンガーソングライターの松山千春がいる。松山千春の足寄高校の先輩が鈴木宗男である。鈴木が自民党で対ロシア交渉で外交ルートの政治力を発揮すると、父親が社会党十勝支部の支部長で自身も革新側にいた千春は、郷土の過疎化などに取り組む鈴木宗男を支持して自民党の宣伝カーに同乗した。しかし、鈴木宗男が金権問題で司直の手が及び自民党を離れると、不遇な鈴木に同情して、自らのヒットソング「大空と大地の中で」にあやかり、『新党大地』を立ち上げるのに貢献した。新党大地は、自民党系の道知事候補を支持することは、これまでの経過からしてあり得ない。

 横路抜きの民主党は、反自民で野党共同候補擁立に傾いている。それに新党大地が乗り、なんと日本共産党も共闘する可能性が高いという。この取り組みは、現実化するかどうか今の時点ではなんとも言えない。
 しかし、自公与党系の高橋知事に、反自公で野党の共闘がなされ、それに共産党も加わると、南の「オール沖縄」は北の「オール北海道」に限りなく近づく可能性がある。今後を見守りたい。