【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

森県知事選挙2015の意義と展望

2015-06-05 23:39:03 | 言論と政治
青森県知事選挙2015の意義と展望
                   櫻井智志


 前回第19回の青森県知事選挙は、2011年6月5日に行われた。投票率は、前々回の38.45%に次ぐ戦後史上最低から数えて2番目の41.52%である。再選を迎えた三村申吾候補が得票率74.53%を占めた。次点は、民主党と国民新党の推す山内崇候補が17.79%をとり、日本共産党が推す吉俣洋候補は7.68%、当選者が35万票を獲得したのに対して、3万6千票でほぼ十分の一である。

 しかし、今回の選挙は日本共産党と社民党が共に推薦し、緑の党や民主党一部分の党員も支持している。今までの過去の県知事選からすれば、必ずし も、自公推薦の現職候補の圧勝とばかりは言い切れない。県民を囲む社会の情勢が大きく変わっている。安倍自公政権は、憲法を解釈改憲で変えるとともに、「戦争法案」で一気に日本をアメリカに隷従する軍事大国つくりにしゃむに押し切ろうとしている。だが、自民党の推す憲法学者さえ、「戦争法案」は「違憲」であると言い切った。


 このような憲法改憲の一大策謀は、自公政権に連動するアメリカのネオコンの全面的支持が与えられたことで安倍総理が悠々と自信満々の余裕をもって行政にのぞむ結果となっている。だが、アメリカ軍産複合体そのものが世界的な位置の相対的下落を見る実態である。日本は、戦後の平和憲法によって他国民を殺したり侵略したりしないとい う国是によって、つい最近までは国際社会の信頼を得ていた。それも安倍総理のカイロ演説を画期として中東・ヨーロッパ諸国からアメリカの隷属国にさらに転換した事実があからさまになった。

 市民運動は、脱原発連合による国民的な支持と節度ある態度によって、社民党や共産党がしだいに結束する基盤となっていった。とくに日本共産党は宇都宮けんじ氏を候補とする二度の都知事選と都議選によって一気に国民的支持の高まりを得るようになった。その結果が2015全国統一地方選挙で空白自治体を一気に減らす快挙となってあらわれた。


 いままで青森県知事は、自民党の圧勝地域だった。けれど深まる不況による県民の生活不安と原発問題に対する県 知事行政の永田町任せのひらめ県政の連続に、県民は漠然とした不審を募らせている。そんな時点に、野党が相次いで結集して、知事選に立ち向かう構図は、今までの県知事選と異なる図式となった。


 いままでの森県政が一気に社共両党の推す候補に変わるかどうかは、投票日の結果が出るまではなんとも断言はできない。それでも、今回のような政党の結集するパターンは今後の青森県の政治地図を転換していく確かな予感をもつ。大江健三郎氏や鎌田慧氏、落合惠子さん、澤地久枝さんらが集う市民運動のような団体が動くと、青森県でもより確かな県民の意思にそった県政へと変換していくことだろう。

 ○か×かではない。当選か落選かではない。どのよ うな当選か、どのような落選か。その具体的な形態や特質に眼を向けることが必要である。その実態の科学的な分析によって、今後の青森県政界の未来が約束される。